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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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九十九話・その洞窟が崩壊しない理由を、僕らは知らない

 モグランたちの生息域は、正直足場がないと言っていいくらいに穴だらけだった。

 殆どの冒険者が土の中を移動するモグランを駆除しないせいでどんどん数が増えているらしい。

 一度なんて小玉君が踏んだ地面が崩落して死にかけたし。

 凄い奥まで崩落したよ。


 つまり、この周辺の地面はモグランのせいで地盤が軟らかく、スポンジ現象化、いや、むしろ空洞化してるらしい。

 つまり踏み出した場所全てが落とし穴である可能性すらあるのである。


「これは、進めないのでは?」


「うーむ、さすがにここまで酷いとは思わなかった。良い稼ぎ場所だと思ったんだがなぁ。ちょっと来ないだけでここまで酷くなるのか」


 グーレイさん、さすがにこれは無理じゃない?


「そうだね。残念だけどこの洞窟攻略は諦め……アーデ!?」


 パッキーとキャットハムターを頭の上に乗せたアーデが何かを見付けて走りだす。

 とたたたたっと僕らが止める暇もなく、ええい、Gババァ、行くぞっ。

 それを見た瞬間、僕はGババァの腰に捕まった。

 Gババァはそれを確認することも無く走りだす。


 空中を走るGババァなら地面崩落なんて関係なく走れるからね。


『バグさんっ!?』


「っ!?」


 僕がGババァの腰に掴まってアーデを追った事に気付いて走りだしたのはリエラとくねくねちゃん。

 リエラは足場が崩れるのも構わず走りだし、崩落する砂地を蹴りあげ雷光の如く駆け上がりながら追って来る。

 くねくねちゃんは足場が崩れるより早く、踊るようにアーデの元へ。


「お、おい!?」


「仕方ない、ガーランドさん、私達は一度洞窟から出よう。崩落に巻き込まれては敵わない」


「それはいいが、あいつらどーすんだ!?」


「Gババァが向ったし、大丈夫だろう、外で待っておけばすぐに戻るさ」


「ま、まぁ空走れるもんな……んじゃ、とりあえず出ようか」


 グーレイさん達が去って行く。

 アーデは……ってもう次の階層への階段に着いてるし。

 笑顔で手を振ってる場合じゃないよ!?


『バグさん、そのまま先に進みましょう、このまま戻る方が危険ですよ』


 了解。確か10層越えたあたりで洞窟前に戻れるんだっけ。

 というか、今までここまで崩れたことないんでしょ、明らかに異変有でしょ?

 大丈夫かなぁ。


『事前の情報では10層で終わりらしいですよここ。国営ダンジョンらしいですからダンジョン核を壊さなければ何度でも来れるらしいですし、しばらくしたらダンジョン内が更新されて元の状態になるそうです』


 じゃあ、丁度間の悪い時に来たのかも。

 道が殆ど空洞になってるってある意味天然トラップだよね。


「ちゅあ!?」


 階段前で待ってたアーデに追い付いた瞬間だった。

 キャットハムターが何かに気付いて階段を下りはじめた。


「おや?」


「おー?」


 気付いたGババァとアーデがキャットハムター追って階段を下りて行く。

 ぎゃぁぁ!? 天然ジェットコースター!?

 Gババァがカクカクとジグザグ移動するからジェットコースター乗ってるみたいな状況になっている。


 階下に降りる、するとそこには……キメラが一匹。

 二階がボス部屋!?


「キュゥアァァァッ」


 突撃したキャットハムターはキメラが気付くより早く駆け寄り、ガチムチ化してラリアット。


「ガァァ!?」


 直撃を受けたキメラが掬い上げるようなラリアットで上半身を浮かせる。

 尻尾は蛇、コウモリの羽、トラの手足にヤギ頭とライオン頭の……多分このライオンに反応したな。


「チュゥララララアァァァッ!!」


 さらに秘奥・猫殺爆砕拳。

 僕らが止めに入る暇すらなかった。

 キメラさんは悲鳴しかあげることなく肉塊へと進化した。


 相変わらずえげつない。

 って、アーデ。木の枝でつつかないのっ。


「おー?」


 返事がないよ? じゃないよ、キメラさんはオネムの時間だからそっとしてあげて。ほら、次行くよ次。


 階段を下りてさらに下へ。

 おお、本格的な鍾乳洞世界だ!

 暗がりに広がる鍾乳洞。

 なのに何処からか光がでているようで、目視が可能。


 水溜まりはエメラルドグリーンに輝き、目が退化した魚が、魚が……あれってどう見てもアジ?

 アジだよ鯵。アジの群れが地底湖泳いでるよリエラ!


『海と直結してるんですかね? それともそういう生態?』


 釣り竿持ってくれば良かった。


「おー?」


 おっとアーデ、不用意にため池に飛び込まない。普通の水ならいいけど、溶けたりTSしちゃったりしたらどーすんのっ。

 まずは普通の水かどうかを調べてからだよ。ファンタジーなんだから。


『んー、一応、普通の水みたいですね』


 だぁかぁらぁっ、リエラも、超健常持ってるからって不用意に水に手を突っ込まないっ。

 変な奇声生物いたらどうすんの。じゃなかった寄生生物いたらどうすんのっ。


『あはは、寄生も私には効きませんよ』


 だからそういう問題じゃないのーっ!

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