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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1545/1818

九十七話・その冒険者たちがパーティーに加わることを、彼は知らなかった

「かーっ、うめぇっ」


 冒険者ギルドはカッパーちゃんが煙玉使ったせいで居づらくなったので酒場にやってきました。

 ガーランドさん行きつけの酒場らしく、バーカウンターでバーテンダーのおっちゃんと二言三言話し合った後、僕らを誘って隅の方にあるテーブルを陣取る。


 本来は後ろ暗い話し合いをしたりする席らしいが、ガーランドさんはいつもここで酒を飲むらしい。

 他の面々? ジャスティンはナンパに行くし、ニャークリアさんは宿に帰って寝るしでいつもはエストネアさんと二人きりで飲んでいるそうだ。

 今日は僕らも合わせて大人数での飲み会兼報告会である。


「さて、まずはあの矢に関する話とナイデリアで起こったことに付いて、だ」


「わざわざすまないね。私達が面倒臭がったばかりに」


「気にすんな。俺らも放置してあそこでいつも通りの冒険者稼業してても問題無かったんだ。それを取り辞めて合流して来たってこたぁ。お前さん等のせいじゃ無く俺らの問題さ」


「ま、要するにグーレイさんが謝る必要はないってことよ殆どガーランドの独断で別れるには早いって思ったから追って来ただけだし」


「うにゃー。助けて貰った恩も返せてないしにゃー」


「俺としちゃメロンさんとご一緒できるならそれに越したことはないけどね。あ、でもガーランド、グーレイ達とパーティー組むなら先に言っといてくれよ。俺はパーティーメンバーとの色恋は無しにしてるんだ」


「それは、また刺されるから?」


「はは、前回の話し覚えててくれたんですかメロンさん。そうなんすよ、俺ってば顔が良過ぎて女性が放っておかなくてですね……」


「……ちょっと銀色、この緑娘なんなのよ? なんで私の上に乗ってんの!?」


 ブロンズちゃんが気に入ったらしいアーデが太ももの上に座っていらっしゃる。

 うーむ、僕かリエラだけの役得だったのに。ぐや゛じい゛っ。


『あはは。バグさん嫉妬ですね』


「あー、と、なんかこんだけ人数居ると話がとっちらかるな。とりあえずグーレイ、冒険者ギルドで報酬受け取ったか?」


「あー、いや、矢を届ける報酬はまだ貰ってないね」


「一応、俺らと折半ってことで半額が入ってる。後で確認しといてくれ」


「了解」


「店員さーんっ、このビッグタートルのステーキあと三つーっ」


「檸檬、あんまり食うなよ? ガーランドさんの奢りだって言っても限度あるからな」


「わかってるよー。ちゃんと遠慮してるから安心してよ」


 全然安心できないのはなんでだろ?


「っ!?」


 あ、キャットハムターがくねくねちゃんのガードをすり抜けたっ!?


「ふにゃ?」


 テーブルに飛び乗ったキャットハムターはニャークリアさんの前へと躍り出る。


「なんだにゃ? あ、これ食べるにゃ?」


 自分が頼んでいた食事をキャットハムターに手渡すニャークリアさん。

 待って、今君は猛獣を前に手渡しで食事を与えようとしてるんだよ!? 自分が食事にされちゃうよ!?


「あ、不味い、ニャークリアさ……」


 グーレイさんが気付いて止めようとするより早く、ニャークリアさんから手渡されたナッツを手に取るキャットハムター。

 じぃっとニャークリアさんを見つめる。


「にゃは?」


 にこやかな笑顔で微笑むニャークリアさん。

 円らな瞳でジィッと見つめるキャットハムター。

 これ、ニャークリアさん死ぬのでは……


「きゅーっ♪」


 と、思った次の瞬間、ニャークリアさんが手渡したナッツを美味しそうに食べるキャットハムター。

 よ、良かった。血の惨劇は起こらなかったようだ。


「あはは、かわい~。も一つどーにゃ?」


「ちゅぁ」


 ニャークリアさんからナッツを受け取り口に放り込むキャットハムター。その頬がナッツ型に膨らむ。二つ入れたらもう入る場所ないよね?


「んでな、グーレイ。一応俺らにゃ賞金掛けられてねーんだが、そこの婆さんと一緒に居ることがナイデリアの司祭にバレたら確実に仲間と思われるぞ。どーすんだ?」


「ふぇっふぇっふぇ。これどうかの?」


「おー」


 Gババァはアーデに食事を与えている。

 太ももを占拠されてるブロンズちゃんは食事すら出来なくて困った顔してる。

 可哀想に。


「まぁ、お前さんのパーティーだからその辺りは覚悟を持ってパーティー組んでんだろうけど、まぁ、そうなったらそうなったで一緒にいた俺らもお尋ねモノにされるんだがな」


「うぅむ、それは……」


 そうなったらグーレイさんがナイデリア粉砕しに行くと思います。神の逆鱗に触れるってそういうことだし。


 ―― グーレイさん神様だもんねー。まー、そーなったらあそこは諦めるよ ――


 うお!? そうだった駄女神さんたちと直通になってたんだった。

 ここしばらく天の声無かったから油断してた。


「ま、そういう訳でよ。どうせ賞金首にされるならしばらくグーレイ達と行動一緒にしてた方がいいんじゃねーかって相談したんだわ」


「うん? それって……」


「おぅ。改めて、レイドパーティー組まねぇかグーレイ」


 賞金首にされた場合直ぐに連絡出来るようにしたいのと戦力が多い方がいいってことかな。

 この場合って、同じパーティー扱いになるのかねジャスティンさん?

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