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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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九十五話・その監視員が仕事できる人かどうかを、僕らは知らない

「おぅグーレイ!」


「やぁガーランド。何か用事かな?」


「水臭せな。何無言で別の街に行ってんだ?」


「いや、君たちとはあの矢に付いての結果まで一緒の契約だっただろう? それ以降は別の街に行くだろうと思っていたんだが?」


「あー、確かにまぁ、そう言われりゃそうなんだがな、ギルドで今後の話し合いしようと思った矢先にお前らハルンバルン王国行っちまっただろ。さすがにちょっとイラッと来てな、こうなりゃ向こうに追い付いて今後の話し合いまで強制参加させてやろうってなったんだ」


「ふふ、ガーランドが凄く憤慨してたわよ。俺らに挨拶無しかって」


「いや、そう言われても、その辺りの常識は疎いんだよ私達は」


「知ってるよ。だからこうやって俺らが追って来たんだろが」


 きっと必死に追い付こうと決死行したんだろうなぁ。

 ちょっと皆さん憑かれてみえる。うん疲れじゃなくて憑かれてるっぽい。


「ま、そういう訳でしばらくまたやっかいになんぜ」


「皆と居るといつもより刺激的だからもうしばらく一緒に居たいんだって」


「要するに暇だから一緒に旅するにゃ」


「メロンさん、折角だしデートしましょう、俺この辺りの良い店知って……うわ、来んな!? ババァはおよびじゃねーっ!?」


 ババァが居る時にデートなんて誘ってきたらババァが割り込むに決まってるじゃん。

 デヌみたいにババァをお嫁に貰うがいいさ。


「んで、そっちのは?」


 結果的に言えば、ガーランドさんたちと監視役の二人がやって来たのはほぼ同時だった。

 冒険者ギルドの一角で待ってた僕らに最初にやってきた監視役の二人が声を掛けようとした瞬間にガーランドさんが割り込んだ形で話が始まり、二人がどうしようかと困ったような顔で佇むことになったのだ。

 話を振られた二人組は、はっと我に返ってグーレイさんに礼をする。


「あ、あの、初めまして。グネイアス帝国諜報員をやってます、カッパーです」


「私はブロンズよ」


 銅と青銅……うん、どう考えても普通の名前じゃなくてコードネームみたいなもんだね。

 二人組の女の子。

 カッパーちゃんはセミロングの髪で左側の前髪で目が隠れてる、いわゆる目隠れ系少女。

 なんとなくだけど引っ込み思案でおどおどしてる気がする。


 ブロンズちゃんはちょっと眼つきの悪いインテークのセミロング。肩まで掛かる位の髪は外跳ね気味に斑に跳ねている。

 知ってる? インテーク。前髪の少し上あたりに両側三角形みたいな空間が出来てる髪型だってさ。八重歯見えてる時はちょっと可愛いな。小憎たらしい顔してるけど。


「あん? 諜報員ってなどういうこった?」


「ああ、気にしないでくれガーランドさん。向こうも私達の動きが知りたいらしくて監視兼連絡係が欲しかったらしくてね。二人が交替で連絡するらしいよ」


「はぁん、お前さんらも大変だなぁ」


 帝国から監視されるってのがガーランドさんからすると大変なのか。

 別に行動を報告されるだけだし、グーレイさんの行動は殆どどうでもいい行動だから問題無いんだよね。


「えっと、そこの銀色がグーレイでいいのよね? グネイアス出てからの行動に付いて聞いてもいい? さっそくだけど報告しなきゃいけないのよ」


「ぶ、ブロンズちゃん、だ、駄目だよ、高圧的過ぎると教えてくれないかも」


 なるほど、ブロンズちゃんが暴走するから歯止め役がカッパーちゃん。いや、絶対無理でしょ!?

 押し切られるのが分かり切ってるよこの二人。なんでこの二人を連絡役に寄越したのグネイアス帝国!?


「おー?」


「ん? なによあんた? 肌めっちゃ緑ね」


「おっ」


「って、魔物じゃないっ!? グリーンスキンの人かと思って普通に話しかけてたわ」


「お?」


「あはは、可愛いですね。あの、この子ってなんなんです?」


「種族はアルセデス、名前はアーデだよ、知能は高いから相手の言葉の意味は大体分かってるんだけど、悪戯っ子だから気をつけ……おやおや」


 唐突に踊りだしたアーデ。

 踊ろうとした次の瞬間、足をもつれさせて目の前にあったものに掴まろうとした。

 うん。ブロンズちゃんのズボンにね。

 ずるっと両手で床まで降ろした。アーデ、それわざと?


 しばし、何が起こったか分からず目をぱちくりするブロンズちゃん。可愛いくまさんぱんつが丸見えです。


「お?」


「あわわわわ、ブロンズちゃんそんなパンツどこで買ったの?」


「……へ? な、にゃああああああああああっ!?」


 慌ててパンツを隠そうと両手で前を隠すブロンズちゃん。隠れてないよ?

 はっと気付いてズボンタイプの服を引き上げる。


「にゃはは、意外とおこちゃまだったにゃ」


「~~~~っ!!」


 言葉にならない怒りで顔を真っ赤にするブロンズちゃん。

 なんとなくだけどこれからの処遇が確定した気がします。

 というかくねくねちゃん何して……おおぅ。キャットハムターを押し留めてたのか。

 マジ気をつけてね、ニャークリアさんの命が掛かってるんだから。

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