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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1516/1818

六十九話・その魔物が仲間になった理由を、僕は知らない

「うわーっ。きれー」


 ピピロさんが花畑の真ん中でくるくる回りながらアーデと遊んでいる。

 きゃっきゃと花畑にダイブしては立ち上がり、再びダイブを決め込むアーデとその少し上を空中浮遊しながら鰭を必死にばたつかせているパッキー。


 普通なら魔物を警戒しとくべきなんだろうけど、なぜかこの辺り魔物がいないんだよね。

 あ、今フィールドに出て人類至上主義国家って所に向かってます。○○です。あ、しまった名前バグってるからでないんだった。

 えぇとバグです。はい。バグって呼ばれてます。んで。アーデと駆けまわって遊んでいるのはパグです。なんかついさっき頭が十字に割れて触手之群れがわっさぁっと広がってたけどパグです。


 数日かけて、僕らは大所帯で冒険していた。

 冒険者ギルドでドラゴンゾンビを生み出した矢の出所を知ったグーレイさんたちが人類至上主義国家に向かうって知った『帰還の誓い』の面々が折角だし俺らも付き添うわ。と同行を求めて来たのだ。


 ニャークリアさんを助けてくれた礼と自分たちが受けた依頼の結末を見たいんだそうだ。

 人の良い冒険者たちである。

 新しい町だと勝手もわからないだろうってことで僕らの案内を買って出てくれたのである。


 そのため、道中の魔物はまさに雑魚扱い。

 そこのパグも倒そうとしたらアーデと仲良くなってしまったので倒すに倒せず、なんか楽しそうに追いかけっこしはじめたので休憩を兼ねてこの花畑傍でゆったりしているのが現状である。

 相手魔物だしアーデ危険じゃないかって。

 僕らもしばらく警戒してたんだけど、もう30分経つけど襲ってくる気配がないからちょっと安心し始めてる。

 まぁ、相手魔物だし油断はできないんだけど、アルセの因子を受け継いでるせいか魔物の一部とは結構馬が合うんだよねアーデは。


「おーっ」


「あぉーん」


 なんか二人して遠吠え始めたし。


「なんっつーかよ、お前ら危機感無さ過ぎじゃね?」


「フィールドってもっと命がけだった気がするんだけど……」


 ガーランドとエストネアさんがアーデたち見て苦笑い。

 ジャスティンはメロンさんをエスコートしようとしているが、取りつく島もない状態。

 ニャークリアさんはグーレイさんとこの先のルートについて相談中。

 そんなニャークリアさんの毛触りをさっきからちょろっと確かめてる僕と、最初注意したけど自分も触ってみたら意外とハマってしまったリエラ。

 相談の途中でにゃっ!? と驚く事何回も行っているニャークリアさんと冷や汗気味のグーレイさん。


 そういえば尾道さん何して……ぎゃあああああああああ!?

 グーレイさん、アレ、アレッ!!


「ん、どうし……うわ――――っ!?」


「なんだ、どうし……嘘だろっ!?」


 ファイティングガルーというカンガルー型の魔物の拳をノーガードスウェーで避けまくっている尾道さんがいらっしゃった。

 幽霊の歩法、物凄く有効活用されてない!?


「すまん尾道さんっ! 今助ける!!」


「きゃあぁ、舌噛んだっ」


 慌てて武器を手に取り走りだすガーランドと、焦って詠唱最中に舌を噛んで詠唱中断しているエストネアさん。

 一番早くに助っ人参戦できたのは、カバースキルで割り込んだピピロさん。シールドバッシュでファイティングガルーが消し飛んでいた。


「英雄、えげつねぇな」


「あ、はは。私達の出番ぜんぜんないし。Aランク冒険者なんだけど……」


 ほんと、つい先日まで二人とも役立たず扱いだったのに、なんか尾道さんは回避タンク、ピピロさんはタンクだけどアタッカーという兼用ポジを確立し、皆の役にというか、もうメインパーティーになってるんだけども。遠距離からグーレイさんはピチュンするだけの簡単なお仕事になってるし。


「そろそろ休憩も終了か。魔物どもが集まりだしてる」


「結局、さっきまでここに魔物がいなかったのってなんでかしら?」


 Aランク冒険者たちも理由はわからないらしい。

 ま、問題はないから……アーデ!?

 視線をアーデに戻した時だった。


 唸るパグとパッキー。

 戸惑うアーデと対峙する人型の魔物。全身が複雑にくねった見るからにくねくねしてる生物だ。

 周囲の魔物が怯えてることからみて、アレが居たからこの周辺に魔物がいなかったんだと思われる。


 リエラが走りだす。

 太い一本の線をらせん状にしたものを人型にしてみたようなその生物は、アーデに向い中腰になると、片手を向ける。

 指先をアーデの前に向けると、アーデは小首を傾げ、直ぐに笑顔でその指先を掴む。

 握手してる場合じゃないよアーデ、そいつは……そいつは……あれ? もしかしてアレって……


名前:

種族:くねくねちゃん

称号:アーデの従者

レベル:39

 スキル:

  奇妙な踊り:     あやしげな動きで踊り狂う。見る者にSAN値チェック付与

  くねくねサンバ:   軽快にくねる踊り。見る者に恐怖付与

  くねくねアロハ:   情熱的にくねる踊り。見る者に狂化付与。

  激しい踊り:     味方の能力値を一時的に増加。

  癒しの踊り:     味方の精神異常を回復する。

  世界の中心でくねくね:その踊りを見た敵に呪いを付与。稀に即死付与。

  コイスルオトメ:   対象が見ている前でのみ全ステータスが増加。

 所持アイテム:

  くねくね草、解呪の枝、ダンシングシューズ


 味方になっとるっ!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 尾道がくねくねを見続ける 尾道はSAN値チェック付与をアイテムとして手に入れた 尾道がくねくねを見続ける 尾道は恐怖付与をアイテムとして手に入れた 尾道がくねくねを見続ける 尾道は狂化付与を…
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