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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1510/1818

六十三話・その英雄たちが見た真実を、彼らは知らない

SIDE:灼上信夫


 僕らは冒険者ギルドへとやってきた。

 側面の窓からそっと覗いて見たところ、レオンとシーパの姿は見えなかった。


「よし、潜入ミッション開始ぞな」


「なんだよぞなって。とりあえず真正面から行きゃいいだろ。王の密命だかなんだか知らんが、隠し通せるもんじゃねーしな。下手に隠せば俺らの疑念が増えるだけだって」


 道すがら僕の持論を告げて見たんだけど、だったら堂々と行こうぜ、となぜか真正面からむかうことになってしまった。

 おかしいな。なんでそんな強気で行けるんだろう?

 向こうにバレたら最悪こっちが殺されたり、って思わないのかな?

 小玉氏曰く、俺達は英雄だから下手に殺すより抱きこんだ方がいいって考えるだろ。向こうは為政者な訳だし。それに国に雇われた冒険者がアホな訳ねーしな。

 だそうだ。正直楽観論な気もしなくもないけど、彼の言葉も納得できる部分もあるので、今回は堂々と向ってみることにした。


 僕としてもそこまで危険は感じてないからね。多分危険な嘘ではないと思うんだ。

 あの二人が全部わかってるかどうかは別だけど。


「レオンとシーパに会いたいんだけど」


 本当に堂々と言ったな!?

 まさか受付カウンターに向かうなりぶっちゃけるって、これだからリア充は!


「あの、どちら様でしょうか?」


「あ、そうだった。これでいいか?」


「これは……英雄証!? 失礼しました。レオンさんから英雄証見せる人がいたら連れて来てくれと伝えられています。どうぞ、そちらの扉に、係の者が案内いたします」


「あれぇ、向こうに動き読まれてる?」


「と、いうよりも、向こうは俺らが疑問に思って来るのを待ってたみたいだな。行こうぜ灼上さん」


「了解」


 促された扉に向かうと、受付嬢の一人が待っていた。

 彼女に案内されて応接間へと向かう。


「お、ついに来たのか!」


「おー、誰誰ぇー? おわっ。これは予想外。みきっちじゃなかったかぁ」


 朝臣かぁ、アレは確かに頭良さそうに見えるけど受験生なだけだからなぁ、受験に出そうなことについては頭良さそうだけどそれ以外となるとねぇ、特に人間関係については薄過ぎるから気付いたとしても確認には来ないと思うな。


「それに関しちゃ同感だ」


 あ、心の声出てた!?


「まぁ、いいや、さぁさ、座りぃ座りぃ」


 シーパに促されて僕らは対面のソファに座る。


「んで、こうなると、ワザと怪しく振舞ってたってことでいいのか?」


「いんや。そんなつもりはないんだが? あー、っと、一応聞くがどうして俺達を探しに来たんだ?」


「俺達の実力がそれなりになったら別れるみたいなこと言ってたくせにこんな場所まで連れて来るし。ギルドには近寄らせようとすらしねぇし。メンバーが切られて行くことにもフォローもなんにもねーじゃん。まるで何かの目的さえ達せればそれでいい、みたいな?」


 僕に言った説明そのままだね。


「なるほど。灼上君も俺らが怪しいと?」


「まぁ、二人が僕らを急かしてるのは確かだね。メンバーが少しずつ居なくなってる事についても放置してるのは少し気になる。そして目的についてもある程度は察しができてるよ。一番しっくりきたのはグーレイさんがメロンさん助けたことかな。あの御蔭で魔王が現存してるってことと、予言にある復活の魔王が違うものだって気付けた」


「え? 魔王違いなのか!?」


「というか、多分だけど魔王を名乗る存在が複数存在するんだと思うよ小玉氏。その事実を彼らは僕らに隠してるのさ。それは何故か。おそらく魔王を倒すことは既定路線なんだろう。あるいは魔王を片っ端から倒させることでレオンたちか帝国の王に実利があるんだと思ってる」


「はは、君はすごいね。太ってるだけの存在じゃないらしい」


「のぶっちマジ優秀じゃん。ほぼほぼ当たってるし」


 ふぅっと息を整え、レオンが僕を見据えた。


「改めて。グネイアス帝国お抱え冒険者、レオンだ。帝王からの密命で君たち英雄を魔王討伐者にするよう命令を受けている。予言に関係なく、適当な魔王でいいらしい、とはいえ最初に倒すべき魔王は決まってるんだ。このまま魔族領に入った先に居る魔王だ。実力が見合わない雑魚魔王なので初めての討伐に丁度良いと白羽の矢が立ってる。んで、君たちが魔王討伐を成功させた後はグネイアス帝国軍が国を接収して領地を増やす算段だ」


 なるほど、グネイアス帝国は侵略国家だったかぁ。んで僕らはその先兵にされようとしている、と。


「僕らは魔王を一人倒すまでのフォロー要員さ。一応俺らが本気でやれば倒せる魔王だから俺達が護衛になってるんだ」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。え? それじゃ、なんで俺らの瓦解を放置してたんだよ!?」


「俺らの目的は魔王を一人君たちに倒させることだからね。その後は知らない。つまり、魔王を倒す戦力さえあればいいわけで、ぶっちゃけ俺達が居るなら英雄一人を連れた状態でも問題無いってことさ」


 体裁が必要ってことなのか、英雄が魔王倒したっていう体裁が。

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