五十三話・その魔物の姿を、僕は知らない
「お、おいおい、それ英雄証明証!? 始めて見た」
「にゃふー。こんななってんですにゃ!? すごい、王印があるですにゃ!」
「ってことは、ギルドの受付嬢が言ってた探索している英雄って、あんたたちか」
「なるほどね……確かにそれなら一緒に探索するのも問題はないけど、なぜ合同なの? 別々の探索でもいいと思うけど?」
「私達がこの森に入るのは初めてでね。出来れば案内役が居れば嬉しいと思っただけさ。君たちにとっては単純に戦力拡充。みたところタンク役は居ないだろう?」
「まぁ、受け止める奴はいねぇな」
「こちらにおわすは盾の英雄だ。防壁があるだけでも闘いは楽になると思うがね?」
「なるほど、そりゃ確かに」
ふむっとガーランドさんが自身のメンバーを見る。
「どうだおめぇら?」
「にゃーさんは問題なしですにゃー。そこの魔物のおねーさんと子供が気になりますにゃ」
「俺も問題無いよ。綺麗どころが増えるのは大歓迎さ」
「私も、ただ、そちらのリーダーさんが何者なのかは気になるわね。なんの亜人?」
「私かい? さて? 亜人と呼んでいいのかどうか。この星で言うなれば星外生命体とでも呼ぶべきかな?」
「星外生命体?」
確かに地球外って言われてもピンとこないだろうね。この世界での星を認識出来てるかも分かんないけど。
「よくわかんないけど興味は尽きないわね。折角だからご一緒しましょうガーランドさん。道すがらお話してみたいわ」
「なんでぇエストネアが乗り気じゃしゃーねぇな」
んじゃぁ、とグーレイさんに手を差し出すガーランド。
「改めて、『帰還の誓い』リーダーやってる、ガーランドだ」
禿げあがったおっちゃんが快活ににかっと笑う。
そんな彼の手を握り、握手をする地球外生命体。これが……ファーストコンタクト!?
「こちらこそ、この森の探索、一緒によろしく頼む。グーレイと呼んでくれたまえ」
そして互いに自己紹介が始まった。
「にゃーさんはニャークリアと申しますにゃ。斥候やってますにゃー」
獣っ娘はニャークリアさん。素早い彼女が斥候っていうのは当然の帰結であった。
「私はエストネア。魔法使いよ。よろしく」
エストネアさんは藍色のウェーブセミロングヘア。勝気な瞳に唇が青色。それってリップクリームか何かですか? 少し病的な白さがあるんだけど、メロンさんほどの白さじゃ無い。
そんな彼女はメロンさんを見ておや? と怪訝な顔をする。
「俺はジャスティンだ。よろしくお嬢さん」
と、メロンさんに声を掛けたのは赤髪の兄さん。イケメンさを前面アピールでメロンさんに挨拶するが、メロンさんは無視して告げる。
「ナマハムメロンよ。よろしく」
と、ジャスティン無視してエストネアさんに告げる。
「えっと、盾の英雄ピピロです」
「おー!」
「彼女はアーデだ。思考回路が子供なので興味本位で移動するから気を付けてくれ。あと上に乗ってるのはパッキーという彼女のペット」
「大丈夫よ。アーデは私が見てる」
「んー、なんっつーか、どう見てもパーティって感じに見えねぇな」
尾道さんが自己紹介すら出来ずに無視されてるっ!?
まぁ、そうですよね。と悟った顔をしている尾道さん。
「にゃ? もう一人いたんですにゃ!?」
「ああ、気付いたかい。彼もパーティーメンバーさ。尾道さんだ」
「あ、その、私は戦力外と思っておいてください、はい……」
皆、一目見ただけであ、こいつは使えない。と思ったらしく彼の宣言通り見なかった事にしたらしい。
「んじゃま、この森について軽く言うぞ。浅い場所に出現する敵はにっちゃう、かたつむりん、ポイズンビーだ」
「んで、もうすぐ辿りつく広場越えたら中層って感じの場所。そこに出てくる魔物はホーンディアー、アクセルボア、ハルハアケボノ」
鹿に猪なら普通の……春は曙!? なにそれ!? どんな魔物!?
「深層はAランク冒険者の一部がたまに潜る場所だ。でも魔物が群れで襲って来るんで殆ど魔物に会う前に逃げる。それが生還のコツだ。出現魔物はミツウデクレーンベア、パレオカリヌス、アースロプレウラだ。他にもいるかもだが、とりあえず知られてるのはこいつらだ」
うん、なんかよくわからない魔物が多いね。なんだよハルハアケボノ。
パレオなんとかとかアースなんとかとかも良くわかんないけども。
「ここが広場。中層地域に行く前にここにテントを張っておくのよ」
「そうすりゃ帰って来てすぐ休めるからな。あと数日張ったままなら捜索隊が組まれる」
Aランク冒険者ということもあり、グーレイさん達に親身に教えてくれるA級冒険者たち。
意外と面倒見良いね君たち。
にしても、話を聞く限りだとミツウデクレーンベアはホントに僕らの前に現れていいような存在じゃないよね?
 




