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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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四十一話・その受付嬢の失態を、上司たちは知らない

 初クエストの薬草採取。

 奥さんと一緒に薬草採取。

 せっかくなので暇してる冒険者に話しかけて手伝って貰うことにした。

 お金で釣ったともいうが、女性だけのわいわいパーティーだったので、僕らが別の街に向かった後でも奥さんが仕事に困らないように、彼女達にフォローして貰うつもりらしい。


 最初こそグーレイさんに驚いていたけど、興味の方が勝ったらしくて、今ではグーレイさん大人気だ。

 ツンツンされたりさわさわされたりと女性達がグーレイさん触りまくってる。

 うん、きゃーきもーいとか凄く楽しそうですよ。


 そんな彼女たちとパーティー組んだおかげか、トラブルらしいトラブルも起きずに薬草採取クエストは終わった。

 正直僕としてはちょっと拍子抜け。というか、トラブルっぽい面白イベントってハナノヒトが人間の鼻に手足が生えただけの、姿だけ異様な存在だったってことくらいだったよ。

 なぜか槍もって仁王立ちしてるんだ。たまに鼻水垂らしてるのもいて気持ち悪かった。


 ただ、そんなハナノヒトも冒険者の女性パーティーからすればキモカワイイらしく、女子高生が群がるごとくきゃぴきゃぴしていらっしゃった。

 なんか、この陽キャなガールたちは無敵なんじゃないかな? 奥さんがギャル落ちしないことを切に願うよ。あの年でキャピるのはさすがに痛々しい。


「じゃあ、すまないね君たち、そちらの彼女が定期資金を手に入れるまでお願いするよ」


「オッケーオッケー、あーしらに任せて~」


「マジヤベェし、グーレイ銀色過ぎてワロス」


「頭つるつるめっちゃすこ、この丸み撫でまわすの無限丸~」


「あー、まぁ任せて。初任給だっけ? それが確定するまでだっしょ?」


「ああ、これから商業ギルドと医療ギルドに向かって登録を試すんだ。そこで彼女たちが安住できるかが決まるんでね。もしうまくいけば面倒を見て貰う必要も無くなるんだが、まぁ転ばぬ先の杖だな」


「おけまるー、グーレイ一撫でで許しちゃう」


 と、冒険者の一人がグーレイさんの頭をがっと掴んでぐりぐりぐり。

 あはははは。と笑いながらやるものだから、興味を覚えちゃったアーデが真似してグーレイさんの頭撫でようと必死に背伸び。思わず高い高いしてグーレイさんの頭を撫でさせてしまった。


「んじゃー、グーレイまた~」


「機会があればまた会いましょう」 


 と、冒険者達は嵐のように去っていった。


「あ、グーレイさんたち戻ってきましたか!」


「おや、受付嬢さん? そちらは新人受付なので我々はもう用事がないと思うのだが?」


 とりあえずそんな事を告げつつも、受付嬢さんのいるカウンターへとやって来る。


「いやー、すいません。ただいま特典としてこちらの箱からクジを取っていただければ書かれた商品を手に入れられます。初期登録者限定なんですよ。っと、いうのを忘れてまして。もう少し遅れてたら上司に見付かってお小言もらっちゃうところでした。いやー、戻ってきてくれてよかったよかった」


「おいおい、でもキャンペーン中だったのかい。えっと、どれをどうすればいいのかな?」


「はいな、これから一枚引いたってください」


 と、四角いボックスを取りだした受付嬢。腕を入れるための丸い穴が上部についているボックスの中には、無数の紙が折り曲げられていた。

 どうでもいいけど、この世界紙が普通に普及してるんだね。


「よっと、おや、キャンプセット……」


 グーレイさんが渋い顔をする。そのキャンプセット、少し前に買っちゃったよ。


「私は……あら、料理セット。家でも使えそう」


 それも一応キャンプセット……いえ、なんでもないっす。


「ふむ。私はポーションセットだな」


 メロンさんが引いたのはポーション各種10本入りだった。ある意味当たりじゃないかな?


「おー?」


「あら? すごいっ。大当たりだよお嬢ちゃんっ」


 アーデは、というとやっぱりラッキー体質らしく、大当たり引いたらしい。

 受付嬢さんが奥に去っていってしばらく、なんか持って来た。


「はい、ロリポップステッキ。序盤だと凄く高性能の杖よ」


 多分中級冒険者とかが扱う品なんだろう。

 妙に子供っぽいピンクの杖。可愛らしいしアーデに似合うから良いけどさ、グーレイさんとかが当ってたらどうするつもりだったんだろう?


 アーデの装備、ジャックランタンセット、頭、胴、腕、足に続いてロリポップステッキが加わった。

 心のシャッターが連射確定だ。

 僕のCG集が一気に埋まっていく。


 ―― 同じのばっかりやがなー ――


 おだまり駄女神ッ。


「さて、それじゃ、遅くなったけど商業ギルドに向かってみるか」


「わざわざすいませんグーレイさん」


「気にしなくていいさ。君たちには世話になってるからね。しかし、今日の宿、どうするかな」


 チラっと、奥さんを見るグーレイさん。おい、厚かましいぞ!?


「良いですよ、夫だった者もいませんし、皆さん明日の出発までは家でゆっくりしてください」


 あれ? おかしいな。僕ら明日出発とか決めてない筈なんだけど?

 これはつまり、明日までは許すけどさっさと出てけって暗に言ってるよね?

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