表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1472/1818

二十六話・その合流した仲間の異変を、彼は知らない

 魔道具屋を出た僕らはしばらく商店を見回った後、宿屋へと戻って来た。

 すると、既に残り2チームが揃っており、僕らを待ってる状態だった。

 ずいぶん早かったね皆。って? おや?


 グーレイさんを見て何やら内緒話を始める英雄たち。

 なんか、嫌な空気だな。

 あ、リエラ、何かあったの?


『それが、どこからかメロンさんのこと漏れたみたいで、グーレイさんが脱走を手引きしたってことになってて。なんでこうなったのか良くわかんないんですけど』


 なんでバレたんだろ?

 いや、むしろ、あの王様たちグーレイさんに恥掻かされたからグーレイさんのせいにしちゃえってことでグーレイさんが槍玉に挙げられたのかな?

 そしたら偶然犯人がグーレイさんの近くっていうか僕だったりしちゃったりするわけで。


「おい、地球外生命体」


「何かね不良君」


「くっ、テメェ、魔王の娘を匿ってるって聞いたぞ。本当なのかよ?」


「ふむ、それを聞いてどうするのかね?」


「決まってんだろ。魔王倒せっつわれてるのに魔王の娘匿うとか敵の助力してる奴を仲間にしておける訳ねーだろが!」


 あー、そう来たかー。弓の英雄にとっては丁度良いスキャンダルだったからこのままごり押しでグーレイさんを仲間から外そうって魂胆か。

 ……いいんじゃないかな? グーレイさん、言い訳とかしなくていいんじゃない?


『それもそうだね。じゃあここでお別れといこうか』


 僕の言葉にグーレイさんも賛同する。

 これで僕らは魔王退治を外れて自由行動が出来るってことだ。

 しかも向こうが言いだしたことなのでやっぱり帰って来てくれ、なんて面の厚いことはしてこないだろう。つまりグーレイさんチームは実質彼らと二度と会う必要がなくなるのである。

 魔王退治がんばえー。魔王、沢山いるらしいけど問題無いよね?


「ふむ。それで? 弓の英雄君はこう言っているが、君たちはどうかね?」


「そうだな。まず、事実確認だ。魔王の娘を匿っているのは、本当か? 脱出を手助けしたそうだが?」


「ああ、彼女なら私と行動を共にしているよ」


「おいあんたっ、そ、それは、認めるってのか!? 人類の敵になるって」


「ふむ? 随分とおかしな話になっているようだが? 彼女は魔王の娘ではあるが予言の魔王とは関係がない……」


「ない訳ねーだろうがっ!! そこまで分かってて何言い訳しようとしてんだテメェーはよぉっ!!」


 いや、話聞こうよ。

 魔王の娘だけど予言の魔王って復活してないから別の魔王の娘さんだよ。そもそも魔王自体大量にいるらしいし。


「テメェは英雄不適格だ。さっさと荷物纏めて消えちまえ!」


「ふむ……聞く耳持たずか。予想はしていたので問題はないがね。皆も同意見でいいのかね?」


 グーレイさんの問いかけに、皆戸惑いながらも頷きを返す。不信感に苛まれてるって様子だなぁ。グーレイさんの容姿と弓の英雄黙らすのにピチュン選んだ好戦的な態度が疑心を生んでしまっているらしい。


「ちょ、ちょっとちょっと。グーレイさんそこまで悪い事してないよ。困ってる女性助けただけでしょ?」


「構わんよシシリリアさん。いいだろう、私は抜けよう。私抜きで魔王退治を頑張りたまえ」


「え? で、でも……」


「そもそも12人もいるんだ。別行動で魔王の動向を探っても問題はないだろう。私はのんびりこの町でしばらく過ごすよ。君たちは明日、案内人と行動を共にするのだろう? まぁ、頑張りたまえ」


「魔王の娘がここに居る事、兵士に告げるが、いいよな?」


「おや、それこそ愚考ではないかな? 私もそうなれば遠慮なく帝国と敵対出来るが? 滅ぼしても構わんのかね?」


 きらり、眼鏡が輝いた。

 ちょっとグーレイさん、煽り過ぎ煽り過ぎ。


「矢田、止めとけ、今の帝国や俺達はグーレイには敵わない。こいつはまだしばらくここに居るらしいし、俺たちは早く冒険に出て力を付けよう」


 ここは悔しいが放置しよう、そんな事を言う光の英雄。

 うーん。なんだこの変な空気。


「良いのかいグーレイ氏? 理由を言えば幾人か納得するかと思うが?」


「どうせ後二、三人、ふるいから落とされるだろう。その受け皿としてしばらくここにいるさ。君は彼らに付いて行きたまえ。どうせ何を言っても聞きはしないだろうから私やメロン君のことは言わなくても良い」


「……了解した」


「ふーん。なんか、嫌な感じですね。あ。グーレイさん。僕も一応英雄として向こう行きますけど、メロンさんの誤解は解いといてあげますよ」


「私としてもゆったり過ごしたいから町を出てからで構わないよ」


「そうなんですか? じゃあそうしますね」


「うぅー。なんか納得いかない。グーレイさん。メロンさん、私も……」


「シシリリアも英雄なんでしょ。行ってきなさいよ。私、ゆっくりしたいし。グーレイたちと観光しとくわ」


「……うん。わかった。でも、戻って来るからね。ちゃんと強くなってから合流しよ。あの弓の英雄けちょんけちょんにしてやるからっ」


 なんかシシリリアさんが弓の英雄ぶっ倒す気になっちゃってるよ。大丈夫かな?

 僕ら明日から付いて行かないからちょっと不安になるなぁ、でも斧の英雄さんが結構リーダー気質だし、そこまで危険な行動はしないだろ。

 一応駄女神たちが見てるだろうからどうしてもヤバそうならこっちに連絡来るだろうし。

 アルセー、頼んだよ。駄女神たちだと不安だし。


 ―― 了解もちもちーっ ――


 違う! お前じゃ無い。パンティさんじゃないんだよっ! しかもなんだよその返事!? もちもちってなにさーっ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ