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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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十六話・そのベッドが他人に使われた事を、王は知らない

 おはよう。

 翌朝、僕は物凄い快眠から目覚めて背伸びをした。

 いやー、やっぱいいね。寝る時はキングサイズベッド最高だな。


 なんか昨日の夜空き部屋探してたらさ、にわかに城が騒がしくなったんだ。

 王様の様子見に行ったらなんでも監禁してたヤバい存在が逃げだしたらしくて、王城中が警戒態勢になって陛下は夜通し謁見の間で待つことになったらしい。


 逃げたのって多分メロンさんだろ。ってことはまず見付からない。何しろ彼女はグーレイさんの部屋でアーデをぬいぐるみみたいに抱きしめて御就寝中だ。

 アーデ抱きしめてる姿は普通に可愛らしい女の子だったからね。

 ありゃ可愛いモノ好きだぞ。魔王の娘なのに。


 ともかく、その御蔭で王様が寝ないんだって聞いたのでなら使わない王の部屋使っても良いよね?

 ってことで僕は王様の部屋で悠々自適な生活を送らせて貰った。

 ベッドにもぐりこんでとりあえず寝てみたけど、めっちゃくちゃ凄いね王様ベッド。


 朝起きたら隣で王様が寝てた、なんてことはなかったのでよかった。

 王様ベッドにノリで寝転んだらそのまますぅっと寝入ってしまったからちょっと焦ったけど、いいなぁ王様ベッド。これ、ポシェット入らないかな?

 いや、さすがに持ってくのは駄目か。


 グーレイさんに王様が作ったベッドどこで作ったか聞いて貰おう。

 一個作って元の世界持って帰ってマイベッドにしよう。

 金? 宝物庫にタンマリあったしベッド分はこの白金貨とかいうので充分対処可能そうだ。

 

 一人意気揚々と部屋を出る。

 謁見の間に出ると、既に皆が揃っていた。

 どうやら食事するより先に謁見させられたようだ。

 皆まだ眠そうで寝ぐせ付いてる奴いるぞ?

 王様の前に出るにはちょっと不敬ッぽいんだけど。

 まぁ、王様も眼の下隈できてるし、多分玉座で寝たんだろうなぁ。


「朝早くから済まぬな。少々不手際があり緊急にそなたたちの安全を確保せねばと呼ばせて貰った」


 まぁ、魔王の娘さんが逃げだしたんだもんね。まだレベル1状態の英雄さんたちがそんなラスボスに出会ったら瞬殺ですよ。王様たちからすればやっぱ王城に寝泊まりさせるんじゃなかった。って気分なんだろう。


 ちなみに、その魔王の娘さんはグーレイさんの真後ろでアーデと共に外套被って姿消してる。

 あれ、二人入ってても両方隠せれれば皆に認識されなくなるんだなぁ。

 アーデ、バレちゃうから僕見付けたからって手を振らなくていいんだよ。

 どうも一緒に召喚されたからか、僕たち四人だけは僕とリエラを認識できてるっぽいんだよね。


「おぅ、王さんよ、いきなり朝食も無しに呼び出したってのはどういう了見だ?」


「恥ずかしい話なのだが、捕縛し監禁していた魔族が逃げだした。王城内も安全とは言えぬのでな。もしも今のそなたらが出会えば確実に殺される。折角召喚されてこの地に来たのにさすがにそれはそなたらとしても本意ではあるまい? ゆえに、こちらで用意した兵士を付け、早々で悪いが国の外へと向かって貰いたい」


 厄介払いだこれー。多分だけど魔王の娘さんと出会って万一情報手に入れるのを防ぎたいんだろう。

 とりあえず少し離れた町に向かってそこで宿を取るらしい。あ、いや、既に今日の分の宿は取れてるのか。


 そしてそのまま兵士さんに連れて行かれる英雄たち。

 不平不満すら聞いてくれない王様だった。

 相当焦ってるな王様。うん、これ僕のせいだ。


 グーレイさんに王様のベッドどこの特注? って聞いて貰おうと思ってたのに、そんな暇すらなくなってるじゃん。


『どうしましたバグさん?』


 なんでもないよちくしょーっ。


 ―― 自業自得だよねー ――


 駄女神ェ――――っ!? なんであんたまだ僕に念話繋げたままなのさっ!?

 昨日グーレイさんに伝えたからもう消えててもおかしくないのにっ、寝てる間も女性の声が聞こえてた気がしてちょっと悶々しちゃったのはお前のせいかーっ!?

 ホント、あんたパンテステリアなんて高尚過ぎる名前だよ。パンティさんでいいよもう。


 ―― あー、なんかフェルさん家のプリン食べたいなー ――


 ちょっとグーレイさん、あの女神からの強制通信が終わらないんですが!?


「それを私に言われてもねぇ。一応伝えたんだよ? でも向こうは切れてますよ? 何かの間違いじゃないですか。の一点張りだよ」


 フェルさんのプリン食べたいとか心の声駄々漏れなんですけど!? 


「まぁ、いいじゃん。別に問題になるもんじゃないだろう? ちょっと女神の愚痴が聞こえるだけじゃないか」


 いや、そうだけど、そうなんだけども……


 ―― あー、ベッド大好きぃ。ごろごろばんにゃーい ――


 駄女神二号の心の声は聞きたくなかったよ!


『それにしても、随分と急がせますね』


 魔王の娘と合流させたくないんだろ。多少違和感覚えられてでも魔王の娘から遠ざけたいんだよ。


「でも、そんな彼女は今私の真後ろに居る、と」


「ん? 何?」


 ふふ、王様も思うまい。まさか探してる相手が英雄たちと共に国を離れて別の街に移動してるなんて。宝物庫のアーティファクトが良い仕事してくれました。これからも宜しくお願いします。


『う、うーん。確かにこれはバグさんが宝物庫から持って来た物が役立ってますけど……いいのかなぁ』


 大丈夫だってばリエラ。ほら、新しい町へ行こう。なんか国で馬車仕立ててるみたいだし、英雄四人ずつで別れて乗るらしいよ……僕らのとこだけ、狭くない? 人数が多過ぎたんだ。

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