三話・その会議の内容を、民間人は知らない
「では、改めまして、陛下との謁見前に、私、宰相を務めておりますサンメートル=モスキートンと申します」
「サン……あ、すいません、続けてください」
3メールの蚊? と告げそうになった現代っ子っぽい少年が慌てて話を促す。
この世界は異世界なので彼の常識でツッコミ入れると恥をかくと直前で気付いて口ごもったようだ。
理解できなかったサンメートルは小首を傾げ、しかしすぐに話を続ける。
「皆様をお呼びしたのは我が国の宮廷予言師パルプンテスが……」
「ぱるぷん……っ!? し、失礼、続けてください」
ゲーム好きだから思わずツッコミ入れそうになったな。
可哀想に。御蔭で彼は変に注目浴びて恥ずかしそうに縮こまっている。
ツッコミ体質なんだろうなぁ。アルセがいたら凄く構いそうだ。あの子、結構ボケ属性だから。
「続けてよろしいですかな? 宮廷予言師が予言を致しました。近いうちに我が国は滅びる、と。そしてこれを行うのが魔王。つまりは魔王が復活するということに繋がるのです。そしてこの魔王を打ち破る事が出来るのが、黒き聖女が残した預言書によりますと、遥か彼方、世界を越えた先に住む英雄たちを召喚することです」
うん、よくある話……はて? 黒の聖女ってどっかで聞いた気がするような?
気のせいか。
「剣、槍、弓、斧、料理、食、盾、騎乗、魔法、闇、光、そしてもう一つ、12の英雄を召喚することで魔王を滅ぼす事が出来るとあるのです」
「ん? もう一つ? 他のもちょっとツッコミどころあるけど、なんでそれだけ属性がないんだ?」
「いえ、昔は書かれていたようなのですが、何分古い書物だったもので、虫食いで無くしておりまして、本人のステータスを確認すれば何の英雄か分かるかと思うのですが」
「ステータス!? この世界、自分の能力値見れるの! ゲームじゃん」
「げぇむというのが何かはわかりませんが、そうですね、ステータス表示、と唱えてください。御本人の能力値を見る事が出来ます」
言われ、皆が確認を始める。
うーん、ステータス確認
名前:モルモル○×Ыちぱ
称号:Ωζの英雄
スキル:
鴉ルPayデスの◎‰な保護者:ア瀏Seの危機にはポメラニアンに反応します。
異灑怪言語¢仝:多岐に渡る医世K◆の言葉がなんとなくわかるようになります。
位相ズレ:位相がずれています。なんとかしてくだしあ。
存在無効:世界に認識されていません。
エラー:存在にエラーがでています。管理者にお問い合わせのうえ、指示に従い正常に戻してください。
異次元ポシェット:入手したアイテムを補完することができる。共同使用中(現在交信が出来ません)
CG閲覧:入手したCGを閲覧・編集する。
CG激写:オートか手動で日常の一コマを切り取ることが出来る。
妄想動画:今まで体験した日常を動画として再生できる
バグ:存在がバグっており、周囲にも感染する恐れがあります。理が書き変わる可能性がありますので早急に駆除してください。
肉体混合:他者の肉体と絡まっています。細心の注意を払い正常に戻すか駆除してください。
ポシェット内部:
魔物の死骸×9999、古代人の柩、馬鹿には見えない毒薬、アホになる薬、アルセソード改、紋付き袴、毬、丁髷砲、患者用スリッパ、患者服、点滴
……うん、見事にバグってる。
不穏なのは肉体混合。多分もつれるように召喚されたことで肉体の一部がこんがらがってるらしい。これはグーレイさんに伝えた方が良さそうだ。あとポシェットの中身がかなり使用不能になってる。
コレの理由はポシェットがアルセ達と共同使用中に交信出来ない別世界に飛ばされたせいで一部使用できなくなっているようだ。
今取り出せるのは僕だけのポシェットに入ってる奴だけってことだろう。
うーん、多分アルセ達が適当に共同用とかにしちゃったんだろうなぁ。
患者用スリッパとかは多分病院に入院中に異世界に飛んじゃったから持って来ちゃった奴だね。そういえばこっちの服に着かえる時に邪魔だからポシェット入れたままだった。
あとは魔物の死骸。使い道無いから放置してたら限界まで溜まってるようだ。
アルセソード改が一つ入ってたのは不幸中の幸いかな。リエラ、パーティーってことで武器持って来て無かったから丸腰なんだよね今。
僕は丁髷砲使わせて貰おう。
しかし、古代人の棺まで一つ入ってるや。これ重いし使いどころないからなぁ。盾に使えるから盾の英雄さんにあげるとか? さすがに重量オーバーか。
皆一喜一憂してるなぁ、殆どは日本人っぽいのが、だけど。
別の世界から来たっぽい人たちはそこまで驚きは無いようだ。
やっぱり別の世界だと常識だったりするのかな?
ということは、現代日本の方が特殊な世界? はは、まっさかぁ。
 




