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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二話・そのレーザービームの威力を、彼らは知りたくなかった

「な、なんだあの物体は!?」


「生物? 生物なのか!?」


「あ、はは、終わりだ。世界の終わりだ……我々は魔王を倒すために邪神を降臨させてしまったんだ……」


 うわーお、カオス。

 僕らが現状を把握している間に、王様と思しき人は周囲にあの物体なんだ? と喚き散らし、宰相は唖然と見つめ、召喚を行った魔術師たちは頭を抱えて絶望を始める。


 一風変わった恰好、現代の学生服着てる子もいるからあっちの一団は僕らみたいに召喚された人たちっぽいな。

 その人たちがこちらに声を掛けようとしたんだけど、気付いた兵士たちが慌てて彼らの護衛に入る。

 近づかないでくださいッ! とか言って皆を制した。

 あー、これ、収拾付かないな。


「まいったね。話を聞いてくれそうもない」


 だったらグーレイさん、なんか皆の意識を一発で集めるような攻撃を威嚇射撃してみたら?


「ふむ……んじゃーそうしてみるか」


 僕の言葉に頷いたグーレイさんは、指先を持ち上げる。

 そして適当な地面に指先を向けた次の瞬間。


「ま、魔物、アレはそう、魔物だ! さっさと殺……」


 ピチュンッ

 カッ

 チュドーンッ


 ってな感じで指先から赤いレーザービームが飛び出し、地面に照射、次の瞬間盛大な爆発音と共に爆散した。指示を飛ばそうとした国王の目の前が……

 うん、皆唖然とした顔で静まった。これでよし……って、ンな訳あるかっ!? やりすぎだよこれぇ!?


 王様なんか抉れ飛んだ地面を鼻水垂らしながら見つめてるじゃん。

 目を見開いて全身震える姿はどう見ても絶望していらっしゃる。


「ほ、ほぁ、ほぁっ」


「陛下っ!? 気をしっかり!? 誰か、誰かある――――っ!!」


 そして、ゆっくりと、グーレイさんが一歩前に出る。

 その動きに、皆の視線がグーレイさんに向けられる。


「誰か、話の分かる者はいるかね? 私としても現状を把握したい。ここはどこか、何のために転移させられたか、詳しい説明を求む。それとも……殺し合うかね?」


「「「「た、ただいまっ!!」」」」


 グーレイさんが喋ったことに驚きつつも、王様や宰相、多分宮廷魔術師とかお偉いさんがこぞってグーレイさんの元へとやって来て平服しながら口々に話しだす。

 なんで一人が喋ったら次の人が話を引き継ぐんだろう? 打ち合わせしたかのような流れるような説明である。


「わ、私共は」「グネイアス帝国の国王で」「私が宰相であります。此度は英雄召喚に貴方様を巻き込んでしまった事申し訳なく」「しかしながら我が国は今未曾有の危機を迎えており」「なにとぞ貴方様のお力をお借りいただきたいのです」「魔王復活により我が国が滅びの危機で」「それを回避するのが英雄召喚しかないと」「どうか、どうかお救いください英雄様!!」


 あー、うん。やっぱそういう設定なのね。


『どういうことですバグさん?』


 あ、リエラ、僕の事バグに戻しちゃうんだ。まぁ言えない名前よりはそっちの方が呼びやすいか。でも、前って透明人間さん呼びだったよね? え? こっちの方が呼びやすい? あ、そうっすか。くすん。


 いやね、僕のいた日本にあるゲームとかアニメとか小説でさ、異世界転移物っていう物語があるんだけど、大体が魔王を倒すために別世界から召喚されるんだよ。

 基本的には魔王を倒したら元に戻るって言われるんだけど、物語によっては帰る方法がなかったり、召喚して来た国王が悪人だったりすることもあって、ここはどんな状況なのかな? それによって取るべき方法が変わるんだよね。


「ふむ。では私は魔王とやらを倒せばいいのかね?」


「は、はい」「あちらに他の英雄たちもいらっしゃいます」「詳しい話は室内でいたしますので」「どうか、どうか大人しく付いて来てくださると嬉しいのですが」


「ああ、うん。それは構わないよ。彼らと協力すればいいんだね。詳しい話も後に教えてくれると。では案内よろしく頼むよ」


「「「「ははぁ――――っ!!」」」」


 なんか、絵面だけみるとグーレイさんが王様になったみたいに皆平服していらっしゃるんですが?


『おー?』


 アーデまで真似しなくていいんだよ?

 って、そっち!? グーレイさんの前に出て平伏する皆の前で腰に手を当て胸を張って私を崇め奉るがいいー、えっへん。とか遊ばないのっ。


 グーレイさんや他の英雄さんとやらが兵士達に案内されていく。

 英雄さん達が凄く困惑顔でグーレイさん見てるんだけど、まぁ、話は通じるから仲良くは慣れると思うよ。多少インテリ臭がしちゃうけどグーレイさん。でも実際は大したことないから。


『それにしても、なんだか不思議な状況ですね。あんなに人がいるのに誰一人私達に気付いてないですよ?』


 そりゃそうだよリエラ。そもそも僕は君の世界でその状態だったんだよ。なんか慣れちゃったよ。


『それはそうでしたね。ふふ、バグさんと一緒、ちょっと、嬉しいです』


 ほんとは嬉しがっちゃ駄目な状況なんですけど、っと悪戯っ子な笑みを浮かべるリエラ。

 思わず抱きしめて頭撫で廻したくなる可愛らしい微笑みである。

 さて、状況説明、聞きに行っちゃうか。

本日は七夕ですね!

いえ、他意はありません。ただそう言えばと気付いたので。さすがに開始直前に七夕話はなぁ……無理。

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