EX・そのパーティータイムがただで終わりそうにないことを誰も知る気は無い
パーティー会場はアルセの大樹がある丘。
各地から鳥たちがゾクゾク要人を護送する。
各国代表、アルセ姫護衛騎士団、魔物の代表、冒険者クランメンバー。
集まって来るメンバーが凄すぎるよね。
というか、要人警護の関係で各国の影も集結しているからこの丘凄い厳重警戒中になってるんだ。
影からニンニンが数人紛れ込んでて各国の影に摘発されたり、影同士で摘発しあって一瞬触発してたりと、のっけから不穏な状況すぎる。
が、それもセルヴァティア組が来るまでの事。
巨大ロードローラーっぽい黒塗りバイクでやって来た辰真とアルセバイクで愚連隊組んで後付いて来た番長やツッパリたちの群れ、エンリカとバズ率いるオークの群れが到着すると、空気を察したらしい影たちが一瞬で静まった。
皆、強者の威圧を受けたらしく、小動物のように息を潜めてしまったのである。
「久しぶりだわ。アルセの大樹。相変わらずアルセデスの実が大量ね」
見上げるエンリカに手を振るアルセデスの実たち。
木にぶら下がった状態のアルセデスたちはたまに風に吹かれてぷちっと落下、ころころっと地面を転がって丘を降りた後、楽しげに駆けまわって世界のどこかへと走り去っていく。
こうしてアルセの端末体たちが日々産まれ落ち、世界に満ちて行くのである。
そんな大樹の下で僕らはバーベキューの準備をしていて、手早く着いてしまったメンバーには、ルクルがカレーを振舞っているのでそこまで不満は出ていない。
基本皆敵対してる場所が無いからね。あ、新聞記者の面々がアカネと鉢合わせした。
アカネ、ちょっと、今日は魔法ぶっ放さないって誓っただろーっ!?
エンリカさん、強制退場してぇ!
僕の叫びに反応したエンリカがアカネの頭に拳骨落として黙らせる。
なんかクレーター出来た気がしたけど気のせい気のせい。
アーデたちがうんしょっとしゃがんで飛び上がってを繰り返せば緑が生い茂ってクレーターなんてその場に無かったことになるんだよ。
「ふふ、なんかワクワクしちゃいますね」
「ほい、リエラ。なんかの肉焼けたよ」
焼き鳥みたいに串焼きされてた肉を取りリエラに渡す。
一口食べたリエラは串焼きに視線を落とし、小首を傾げる。
「あれ? これオーク肉じゃないですか?」
「え?」
「あ、それ? 子供たちが今回のために狩って来たんだって」
孤児組は肉や野菜採取で皆用の食材確保を手伝ってくれていた。
その過程で狩ったのがオークらしい。
いや、待って。バズたちは普通にオーク……
「ぶひ」
うん、この肉美味しいな。じゃないよバズッ!? え? それはハーピー肉?
「ぴぃ。美味しいよ旦那」
ハーピークイーンのハピリアが串焼き食べて楽しげに告げる。
クイーンだけ喋れるのか。っていうか、それハーピーの肉なんじゃ?
「あ、大丈夫です、葛餅先生が食べる肉は選別して渡してくれてるみたいなので」
いや、そう言う問題なの!?
ハーピーにはオーク、オークにはハーピーの肉を与えるとかどんな拷問?
「あら、意外と美味しいわね。この肉」
ぎゃー、エンリカさん、それオーク肉っ!? いや、黙っておこう。
「うまっ。うまっ。やっぱり来てよかったよぉ」
「プリカは食べ過ぎじゃない?」
ブラックアニスがプリカの食いっぷり見て呆れてる。
お、あっちでは王族組が集まってる。
なんか王たちの集いになってるんだけど、今後の運営の話し始めてるじゃん。このパーティーはそういう話し合いの場じゃないんだけども!?
あっちは妖精組か。一応妖精女王も来れたようだ。
アニアも一応楽しげにしてるし問題は……あ、セインが混ざった。
セインが混ざるとなぜかレーシーやアルラウネも混ざって来てあそこだけ魔物だらけになってしまった。
「みなさーん。なんとか合流できました!」
お、リフィいらっしゃい。
海組もやって来たようだ。
吾輩は自分の道を行くでゴワスもなんやかんやで来たみたいだな。
っていうか、なんで七匹も居るんだあいつら?
ちゃんこ作ってたのはこのためかリエラ。
力士共がなんかすっごく美味しそうにちゃんこだけ食べて立ち去って行ったぞ!?
あいつらあれだけでいいの? あ、一応参加したってことだしアレで良いんだ?
ランツェルさんと昔の冒険者パーティーメンバーもやってきた。
プリカを見るなりげんなりしてる。
迷惑を掛ける。とか僕に振らないで。あの子は制御できませんので。
お、子供たちが凄く楽しそう。って、ああルグスとにゃんだー探検隊か。
アネッタさんが率先して子供集めて面倒見てくれてるので助かるな。
基本子供は猫任せ。これなら僕らは安心して楽しめるぜ。
あ、でも何故か湧いて出て来たロリコーン共はなんとかしてほしい……おお、パティアさんが来た瞬間、あいつら整列し始めたぞ!?
さすがパティア。オッカケやロリコーンは彼女に任せれば大丈夫そうだ。




