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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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EX・その占いの正確性を僕らはまだ知らない

「おひさーです」


 朝、僕らが魂の抜けた顔で朝食を取っていると、お客さんがやってきた。

 誰かと思えば行方不明だったクルルカとセキトリだ。セキトリの頭の上にはマターラというスライムが葛餅みたいにぷるんぷるんしている。


「クルルカさんたちじゃない。タイミング良く戻ってきてくださってよかったです」


「はい、占いで今日ここに来れば安全に皆さんに会えるとあったので」


「クルルカの占いって凄いんだよ。今までも沢山助けられたし。なんか僕にはもったいないくらいの奥さんさ」


 あ、この二人結婚したんだ? 何時の間に?

 え? 旅行中に結婚した? マイネフランのアルセ教教会で簡易式上げたの!? 僕ら聞いてないんだけど!?

 ああ、つい先日なんだ。じゃーしょうがないか。


「あ、折角だしセキトリ君、はいこれ。今度皆集まってパーティーするんで良かったら来てくれ」


「あ、ありがとうございます。えーっと、バグさんでいいんですよね?」


 なんでみんな僕のことわかるんだろう? いや、嬉しいんだけどね?


「そりゃアルセの端末体がそれだけ警戒無く膝に座ってるんですし」


「リエラさんやパルティさん、テッテちゃん、ルクルさんがずっとそばについてますもんね。モテモテですね」


 クルルカの言葉にはっと気付いたリエラとパルティが恥ずかしそうに俯く。

 テッテとルクルはさらに嬉しそうに擦り寄ってきた。

 あはは、なんか、恥ずかしい。

 傍から見ると今の僕凄い恰好じゃない?

 左右にリエラとパルティでしょ?

 太ももにアーデ乗せて後ろからは首に手を回して来るルクル。そして足元に座って背もたれ、こちらを見上げているテッテ。


「爆死しちまえ、ケッ」


 ふと、眼があったアキオ君。ぺっと唾を吐き捨てるように言われてしまった。

 おかしい、僕はリア充じゃない筈なのに? いや、妻が沢山いるってことはリア充なのか?

 でも、でもその妻候補がヤバい人多いんだけど? それでもリア充になるの?

 下手したら精神崩壊しかねないタリアンとか妻候補なんだけど?

 物理的に喰われそうなプリカまで妻候補なんだけど?


「それで本日は休暇ですか?」


「いえ、今日はギルドと学校に顔を出そうかと。葛餅たちにも招待状を渡したいので」


「そうですか。では時間がありますね。えっとバグさんとリエラさん、占い、させてもらえませんか?」


 占い?


「実は、つい先日占った占いで、少々気になる結果がでまして。お二人の運勢を占えばわかりそうなんです」


「はぁ、別に占う位なら、いいですよね?」


「え? あ、うん。僕も別にいいよ」


「本当ですか。では、早速」


 懐から大きな水晶を取り出すクルルカ。

 おお。なんか本格的な占い始まりそうだ。

 水晶の下に座布団みたいな敷物を敷き、両手を添えるようにして見えます見えますと言い始める。

 おかしい、胡散臭さが急上昇し始めた。こんなんでましたけど~とか言い出したらほぼ確実にエセ占い師だ。


「やっぱり……」


 何がやっぱりなの?

 というか占い師って結構勿体ぶった言い方するよね?

 あれはゲームや漫画の世界特有なのかな?


「このパーティー、止めることは出来ないのでしょうか?」


「え? 折角皆呼んだのに!?」


「どうにもおかしな占い結果がでてまして。バグさんやリエラさんの未来がそのパーティーがある日を境に途切れてしまっているんです」


 僕らの未来が?


「それって、僕らがそこで死ぬってこと?」


「いえ、死ぬなら死ぬで占いの結果がでるんです。でも、今回はその日を境に、まるでこの世界から切り離されたかのような結果がでてまして」


「それ、地球の方に行くってことかな?」


「地球が何かは知りませんが、前に料理大会に出ていましたでしょ、たびたびその辺りも途切れて見えなくなった時がありました」


「あー、じゃあやっぱり、別の世界に行くんだと思うよ。多分食材が足らなかったとかそういう理由で買いだしじゃないかな?」


「えー、リエラさんばっかりずるいです。私も連れて行ってください」


「るぅーっ」


「そ、その時は私も、一緒するわ」


 テッテが膨れ、ルクルが病んだ顔を近づけ威嚇。パルティも同行すると言ってくる。

 そんな状態で僕が出来ることなんて頷く以外出来るわけがないじゃないか。


「んー、なんかそういう理由じゃないっぽいんですが……」


「まぁまぁクルルカさん、占いは占いですし、未来の事を今から考えても仕方ないですよ」


「そうだぜぇ、俺らは今を生きてンだよ」


 アキオ君がなんかもっともらしい事言い始めた。キャラに似合ってるようで似合ってないよ?

 あと、話の途中でナイフ舐めるの止めよう。それ麻痺毒付きナイフじゃん。アキオ君が痺れはじめたぞ!?


「食事を終えたらギルドに顔だすんですけど、御二人はどうします?」


「少し休んだら旅を再開する予定だよ。クルルカと二人で各地を回るのって結構楽しいんだ」


「まぁ、あなたったら」


 やばい、イチャイチャ空間が発生した。

 皆、急いで食べ終えてギルドに行こう、じゃないと砂糖塗れになっちゃうぞ!

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