EX・その四天王を忘れていた事を彼は知りたくなかった
「ふはー。これで残すところもコルッカだけですね」
数々の国を行き来した僕らはコルッカへと進路を取っていた。
コットンに寄った後もゴーラ王国行ったり別の国行ったり、して来たのである。
何しろまだ行ってない国とか結構あったんだよ。
料理勝負の時に集まった国にも行って来た。
ろってるだーむにぽんぽこぽん、カレンツェアにコメツ、メメンポ、サーナンデショウ マケテーラ、カーマセイヌ、ポンキッシュヤムヤムヤ。
知り合いはいなかったけどせっかくだからいろんな街回ろうってことでいろいろ行って来たのだ。
この世界を見回りたいってこととアーデにいろんな街見せたいってことでちょっと寄り道してきた。
うん。ポンキッシュヤムヤムヤーは多分グーレイ神の故郷か何かだと思うよ。あいつら普通に僕らをレーザーでピチュンしようとしてきたんだ。やっぱり地球外生命体だったんだよ。
「あと残ってるのはコルッカの分だけですよね?」
「そうだね。あとは……あれ? アーデその二枚って誰の?」
紹介状を僕のポシェットから勝手に取り出した招待状を二枚持っていた。
誰用なのか……うわーぉ。
「どうしました?」
「リエラ、進路変更、とりあえず、ダリア連邦に」
「え? 一度行きましたよね?」
「渡し忘れが一人、というか一匹ね」
アーデに言われないと気付かなかったよ。
そういえば言ってたよね。四聖獣にも送るって、二体まだ送って無かったよ。
と、いうことで、僕らは急遽進路を変えてダリア連邦へ。
再びやってきたダンジョンに向かい、入口前に降り立つ。
そこには……
「ようこそいらっしゃいましたアーデ様ッ!」
ステファン・ビルグリムが待っていた。
なんでやねーん。
あんたどうやって僕らがここにもう一度来るって分かったのさ!?
「アルセ様のお導き、私はいつでも何処でも駆け付けます。して、此度は何用で?」
「ああ、うん。アクセルタイガーに招待状渡すの忘れてたから」
この人怖いよ。さすがアルセの狂信者。
まさか僕らが来るのを事前察知してここで待ってるとは思わなかった。
ストーカー力が高過ぎて怖い。
「言ってくだされば私が渡しておきましたのに」
「さっき気付いたんだ。折角ここまで来たし、とりあえず会いに行こうかなって」
「なんと、四聖獣程度に貴方様方がわざわざお会いになるなどと、なんという誉れ、アクセルタイガーも恐悦至極に悦死することでございましょう」
死んでるよッ!? 悦死って、また初めて聞いたよ。なんでそんな死に方出来るんだよ!?
で、結局ステファンさんも一緒にアクセルタイガーの元へ向うことになった。
道中の魔物はアーデを見るなり襲いかかってくるのを止めて、挨拶だけして去っていく。
僕らは武器こそ構えるものの、一度の戦闘も無くダンジョンの最奥まで向かえた。
「ふっ。さすがはアーデ様、すでに魔物達にまでアーデ様のご尊顔が周知されていらっしゃるとは、このステファン、アーデ様の銅像も否、クリスタル像を作らねばなりませんな。アルセ様の像傍に作らせて頂きましょう。これは尊死している場合ではありませんな」
止めてあげて。僕の像まで創るのに業者さんたちが過労死しちゃうよ!? ってまた、尊死ってなんだよ!?
「そうです、どうせなら世界中のアルセ神像傍にアーデ像を創りましょうッ!!」
業者さんたちが確実に死ぬわっ!?
なんとか必死にステファンさんを説得し、ダリアのアルセ像横にだけ作らせることで同意させた。
危ない所だった。僕らは像制作業者さんたちの命を守り切ったのである。
「む、誰かと思えば貴様らか」
ボス部屋への扉を開けば、高所の岩場から降りて来るアクセルタイガー。
僕らを見付けるなりすぐ側に降り立ち姿を現す。
そう言えばこのアクセルタイガー、姿が見えなくなるんだっけ。
「何か用か?」
「はい、実はこの日にアルセ姫護衛騎士団全員を集めてパーティーをするんです。四聖獣の方も呼ぼうってことになりまして、日程が合うようでしたらぜひご参加ください」
と、僕がステファンさんが暴走しないか見ている間にリエラが渡してくれていた。
リエラの手で開かれた招待状を視線を動かし読んだアクセルタイガーは成る程、と頷き行けたら行こう。と多分来ないだろうなという返事をして立ち去って行った。
結構そっけないなぁ。
まぁでもやるべきことはやったし、次はロックスメイアのタングスタートルに渡さないとだな。
「ぬぅ、なんという不敬ッ、聖獣風情がアーデ様に挨拶すらないだと!?」
「はーい。どうどうステファンさん。アーデにとってはアクセルタイガーも友人だから。友人相手にへりくだるのはおかしいでしょ? ね?」
「むぅ、しかし……」
狂信者ほんと怖いよ。その内アクセルタイガー討伐するとか言いだしたりしないだろうな? 知り合い同士で全面戦争とか止めてね、マジで。




