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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1432/1818

EX・その王妃がいることを彼らは知りたくなかった

 コットン共和国にやってきた。

 アキオ君はまだおかしい。

 一応ちゃんと付いてくるようにはなったけど、視線がまだ定まってないのでちょっと怖い。

 自律型ゾンビにしか見えません。


 王城に通された僕らは謁見の間へとやって来る。

 物凄い人々の群れが謁見の間で僕らを出迎えた。

 赤い絨毯が玉座まで一直線に敷かれ、その左右に大臣達が立ち、僕らを見つめている。


 玉座にはまだ王は来てないようだが、他のメンバーは既に揃っていた。

 玉座の後ろに控えているのが王子、メルトガルド。その隣に侍っているのが彼の妻、そして我がアルセ姫護衛騎士団に所属していたモスリーン・ラーシェント。

 結局メルトガルド君はモスリーンの猛アタックに折れて結婚したようだ。


 あの女子四人組もなんだかんだで勝ち組になったなぁ。一人はグーレイ教教祖、一人はドドスコイ国王、一人はコットン共和国次期国王。そして最後にロリコーン至高帝。

 あれ? おかしいな。ハロイアだけ結婚相手間違ってる気がするぞ?

 まぁ本人が好きで押しかけてるんだから放っとけばいいか。


 それから、少し離れた場所、といか、大臣達の途切れた場所、玉座に一番近い大臣が立つ場所に、男女が1組み。

 どっかで見たことあるようなないような人たちだったが、僕らが近づくと自己紹介してくれた。

 ヘンリエッタとホーキンスというらしい。

 話を聞くに、どうやら王女様らしい。メルトガルドの二倍くらいの年を取ったおばさんとひょうひょうとしたお兄さん。どうやら軟禁生活中に結婚したらしく、お礼を言われた。


 どうやら僕らが関係していたらしい。

 どうもこの二人、外道勇者と結託してマイネフランを襲ったメンバーだったらしい。

 うん、覚えてないや。


「お?」


 へー、あの時早々に撃破されたことで現国王に軟禁させられたのかー。

 外道勇者に惚れてたヘンリエッタと友人だったホーキンスは、軟禁生活で一緒にいた御蔭でなんか恋心芽生えて結婚を意識し始めたんだと、うん、どうでもいいね。


「おーっ、おーっ」


 ん? なんだよアーデ。

 そんなに服引っ張ったら伸びちゃうよ?


「やぁリエラさんたち。そっちの彼が噂の彼氏君かい?」


 アーデが何か訴えていたけど、メルトガルドとモスリーンがやってきたので挨拶を優先する。

 分かってるよ。分かってるけどちょっと待ってね。

 二人と皆で挨拶を行う。

 モスリーンにはリエラが付いて四人組だった仲間たちの近況について話が弾みだした。


 メルトガルドは何故か僕の元へとやって来る。

 話しかけられなかったらアーデに構ってやれるんだけど。

 ごめんねアーデもうちょっと待って。


 メルトガルドは王子だし、もうすぐ王様になる人なのでさすがに無碍に出来ないんだよ。

 なんか、あれ? でも、アーデ焦ってる?

 メルトガルドとの会話中も袖を引っ張られるので、仕方なくアーデに構う。

 どったのアーデ?


「その娘がアルセさんの端末ですか。話はモスリーンからよく聞いてます」


「そうなんですけど、アーデの差す場所って玉座?」


「そのようですね。なんだか焦っているようですが……?」


「あそこって何かあります?」


「玉座……?」


 はて、と考え込むメルトガルド。

 次の瞬間、兵士が王族の部屋側から一人やって来て叫ぶ。


「国王陛下のおなーりぃっ」


 と、玉座の右奥当たりから国王と宰相、その傍仕えたちがやってくる。


「ああ、そうだ。玉座と言えば新しく父上と結婚した妻のムリアンが皆さんに挨拶したいと着てまして」


 え? じゃあ、玉座に今、ムリアンが一人居る……?

 視線を向ければ、丁度国王陛下が玉座の前に到着した所だった。


「ええ、ムリアン義母様が皆さんには世話になったしせっかくだから出迎えるんだ、と申しまして、折角ですし連れて来ましょう、皆さんも喜ぶでしょ……」


 話を続けていたメルトガルドも玉座に視線を向け、固まった。

 僕らの目の前で、国王陛下が玉座に座る。


「ん? 今何か潰したような……?」


 陛下が玉座に座った……

 僕らは無言で顔を見つめ合う。

 えっとメルトガルドさん、あそこって……


「ええ、その、おそらく父上の尻の下に……」


 あ、アーデ、なんでそんな哀しい顔で両手合わせてるの?

 ねぇ、それ合掌だよね?

 え? 本当にいたの? 王妃が王様に潰されちゃったの!? レアリィ!?


「どうしたのメル?」


「透明人間さんも、どうしました?」


 リエラとモスリーンから話しかけられた僕らは、思わず高速で首を横に振った。

 他意はなかった。

 隠すつもりなんてなかった。

 ただ、現実を受け入れられなかっただけだ。


 国王陛下は全く気づかず僕らが来た事について歓迎を述べている。

 違うんだよ陛下、貴方がお尻で何か潰してるんだよ。気付いてっ。


 その後、不死身だったムリアンは無事に復活したことは言うまでも無く、押しつぶした国王陛下が土下座でムリアンの説教を聞く姿を一時間程見せられたのだが、まぁ、死んでなくてよかった、かな?

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