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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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EX・その世界にない食材を彼らは知らない

「さぁ、本日最後の試合が始まります。セルヴァティア王国VSマイネフラン王国。古代の食事対異世界の食事、まさに未知の対決だァっ!!」


 異世界の食事とか言っちゃっていいのだろうか?

 まぁ、皆気にしてないみたいだから別にいいんだけども。

 例によって例の如く、僕らの出番がやってきた。

 昨日の最終戦でポンキッシュヤムヤムヤと闘った僕らは本日、8戦目のクッキングバトルに出撃である。


 第一回戦は妖精郷対ドドスコイ。今回は主食料理対決だった御蔭でドドスコイ圧勝。

 妖精の主食は皆さんに受けがよくなかったのである。

 二回戦は海洋魔王国対大ジャッポン帝国。海の幸豊富な魔王国に成す術なく海鮮料理で大ジャッポン帝国は沈んだ。

 三回戦はフィグナート対ヤロウゼキングダム。

 精の付く物がお題だったせいか、ヤロウゼキングダムが恐ろしい物を食材に混ぜようとしたせいで反則負け。調理中に全裸になって右手を添えようとしたせいで兵士達に取り押さえられての御退場である。どこに? とはあえて言うまい。


 料理人はこれが一番精がつくんだぁーっとしきりに咆え猛っていたけど、そのまま御用と合いなった。

 有志で警備にあたっていたうっかり御用だ達に連れて行かれる姿はなんとも犯罪者臭しかしなかったとだけ言っておく。


 四回戦はエルフ村対ぽんぽこぽん。前菜対決だったせいでぽんぽこぽんの成す術なくエルフ村圧勝。

 第五試合はコルッカ対ダリア。コルッカがなんか勝ってた。

 正直この辺りは誰が勝とうと関係ない。僕としてはセルヴァティアの料理人であるクーフとモーネットの二人が問題だ。

 いや、確かに古代の料理人も脅威だけども、クーフは僕と同じく異世界人。料理によっては向こうの方がコンビニ商品より凄いの作ってきそうだし。


 六試合はコイントスとメメンポ。郷土料理対決はメメンポの勝利に終わった。

 七試合はサーナンデショウとロックスメイアはロックスメイアの餡蜜が好評だった。デザート対決はロックスメイア強いよね。

 皆和風料理大好きみたいだ。

 そして僕らの第八試合。対象の料理は?


「次の対決はぁ、麺料理対決だァ――――っ!!」


 麺、料理!? これは……もうアレしかないじゃないか。勝とうと負けようと、アレを出すしかない。


「じゃあ、リエラ、ちょっと行ってくるよ」


 リエラに一言断って僕は即座に日本に飛んだ。

 コンビニに向かってアレを買い込む。ついでに料理するために2リットルのお水をとりあえず六本。

 こんなに要らないだろうけど後に使うかもってことで。

 店員さんに箸を、と思ったけど皆食べづらいかもしれないと思ってフォークも人数分貰っておいた。


 すぐさま元の世界へと戻って来る。

 すでにクーフ達は麺の煮込みを始めていた。

 そんなクーフがこっちを見て目を見開く。


「ちょ、それは卑怯じゃないか!?」


「クーフ選手いきなりどうした? マイネフランに不正がありますか?」


「い、いや、不正ではない、不正ではないが……」


 何といったものかと考え、しかし諦める。

 だってそうだろう。こっちは異世界料理を持って来たのだ、初めから異世界料理で勝負すると明言している以上不正は無い。だって異世界で作られたものだし。誰も僕が料理するとは言ってないし。

 僕らは手分けして買って来た水使ってお湯を鍋で沸かし始める。


 とりあえず作成時間の関係で相手が作り終えるまでしばし待つ。

 何しろ湧いたお湯をぺりっと上蓋剥がしたソレに注ぎ込むだけ、後は待つだけだ。

 なので相手の料理が終わってからお湯を注ぎ込むつもりだ。


 クーフ達が作ったのはセルヴァティアで作っていたらしいパスタ料理だ。ミートパスタかな? いや、トマトなんて使ってなかったしなんか別の料理なのだろう。

 ついに試食が始まった。


「それでは先に出来たセルヴァティア側を実食と行きましょう」


「うまし」


「むぅ、これは……成る程アイザの実を擂り潰しニングと、おそらくガルホッザを合わせているな。そこに肉を細かくして混ぜ込みパスタと和えさせているのか」


「よくおわかりで。こちらはクーフどのの故郷で作られていたミートパスタを我が国で作れそうな素材を組み合わせて作ったセルヴァティアパスタでございます」


 料理人の包帯さんが告げる。

 ダイトザンはなるほど。と納得しながら食を進める。美味しいみたいだが普通のパスタっぽいな。


「ふむ。古代料理とはいえ現代料理に通ずるところはありますな」


「これはエケンドゥパスタに似てますね」


 なんだエケンドゥパスタって。


「ふぅむ。獣人にはあまり美味しいとは思えんぞ。パスタ全般だがな」


 あんた前のパスタ料理でもそんなこと言ってたな。この人審判にしちゃいけないタイプの人なんじゃ?

 結果、10点、6点、5点、5点、3点、計29点でした。

 どうでもいいけど今の所パイラ、全料理に10点出してないか? あ、ポンキッシュなんたらには辛口だったっけ、生焼け肉だったみたいだし。

 ちなみにミートパスタに似せただけの料理だったため味はイマイチだったそうだ。クーフもだろうな。とか言っていた。

 だったらそんなもん料理勝負にだすなよ。だめじゃんっ。

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