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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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後日談・女子トーク

 それはある日のアメリス邸での出来事だった。

 庭にテーブルが一つ設置され、女性たちが一堂に会する。

 今回集まったのはアメリス、ミルクティ、ハロイア、エスティール、モスリーン、マクレイナである。


 なぜこの面子だったのかはあえて何も言うまい。

 そもそもの目的は仲良し四人の近況知りたいなーとハロイアが呟いたことが切っ掛けである。

 彼女の願いを紳士が叶えようと、アメリスに尋ねたのだ。

 離ればなれとなった友人と会わせるにはどうしたらいい? と。


 だったらお茶会でも開きましょうか。

 ということで、全員の時間に都合が付いた本日、こうしてアメリス邸に集まったのであった。

 ただ、マクレイナだけは少々暗い。

 なぜか? そんなもの簡単だ。彼女だけ、彼氏が居ない。

 もう一度だけ言う。彼女だけ、彼氏が居ない。


 今回の闘いでも彼女は殆ど一般兵に埋もれていた。

 ただただ気付いたら戦争が終わっていて彼氏も一人だけ居なかった。それだけである。

 だから、本当は惨めになるだけなのでこのお茶会には参加したくなかった。

 しかし、あの至高帝が誠心誠意腰を負って頼んで来たのだ。

 ハロイアを友人だと思っているのならば絶対に出てほしい、と。


「それでね、おじさまったら……」


「わかるー。メルトガルドも……」


「あはは、ギョージはそういう所はないかなー」


「それならこの前アメリスも……」


「お、おいミルクティ、私は関係ないだろう!?」


 惨めである。

 やはり来るのではなかった。

 ハロイアが楽しそうだから至高帝の願いは叶えた。

 しかし自分が惨めで死にたくなってくる。


「あ、ところでマクレイナは? 彼氏できた?」


 ふと、エスティールが聞いて来た。

 聞いてしまった。

 視線を髪で隠した彼女はクスリ、笑みを浮かべる。

 それが自虐的な笑みだなどと誰も気付きはしなかった。


「私は……」


「おー、何の集まり?」


「え? あ、アカネさん!?」


 そこには今は亡きグーレイ教本国を弔いに向かっていたアカネとルグス、そしてアネッタがいた。いや、その背後に一人とルグスに群がる十匹のにゃんだーたちも居るには居たが。


「え? そっちの子って……」


「ええ。グーレイ教枢機卿、ポンタ君よ。折角だからアメリスに資金援助して貰おうと思って連れて来たの」


「資金援助?」


「グーレイ教本国吹っ飛んだって言ったでしょ。人の方は全員生還したんだけどさ、住む場所も食料もないってことでちょっと、ね。まぁ住む場所はあるっちゃあったんだけど」


「ああ。なるほど」


「幸いアルセ教の建物だけは残ってたんだけど、ほら、アルセが蔦で作ったから核爆弾じゃ傷も付かなかったのよ」


 傷すら付かないアルセの蔦。

 建物としてはうってつけである。

 御蔭で今は皆が路頭に迷うことは無かったものの、これから国を立てなおすとしても資金も何も無い状態なのだ。


 冒険者もおらずグーレイ教信者しか居ないので狩りも満足にできず、食料をどうするべきか、地下の核シェルターにあった非常食を今は食べているところらしい。


「そうだな。丁度良いのではないかアカネ。ここには今、二つも国の代表がいるのだ。各自持ちかえって貰うとしよう、援助、やってみるがいい、エスティール、モスリーン」


「ふふ。ちょうどいい宣伝になるわね。ウチの国王陛下が妖精と結婚するって話題になっていたから各国にその宣伝も兼ねて」


「私の方も問題はないわよ。ギョージはともかくハリッテ国王は喜んで出資してくれる筈よ。何しろこの世界に実在する神様の国なんだし」


「アルセ教教会からも寄付金やらなにやら送る予定よ。マイネフランも世界議会に持ち込んで世界規模で寄付と人手を募るんだと」


「まぁ、おじ様もきっと手伝いに向かうと思いますわ、そこには子供達もいるのでしょう?」


「ええ、ロリコーン紳士たちは何処から嗅ぎ付けたのか既に炊き出しを始めてるわ。子供優先で」


「「うわぁお」」


 エスティールとモスリーンが若干引き気味に声を漏らす。


「あ、あの、お願いします。僕らの国を助けてください」


「……私、決めたわ」


 じぃっと皆の動きを見ていたマクレイナは立ち上がる。


「マクレイナ?」


「私、ポンタくんと結婚する!」


「「「「「はぁ!?」」」」」


「え? あの……」


「行きましょう、アナタ。私達の国の為に」


「え? え?」


 ポンタ は マクレイナ に 拉致 された!


 皆が止める間もなくポンタを連れて去っていくマクレイナ。

 皆、何も言えなかった。

 マクレイナが彼氏いなくて鬱になっているのに気付いたからでもある。

 だから、心の底でポンタに謝る。


 ごめん、そしてマクレイナをよろしくお願いします、と。


「さぁて、そろそろ私は行くかな」


「アカネさん? どこ行くんです?」


「アルセの樹。リエラたちのところよ」


「ああ。ならば私も連れて行け。ここに居ると見合い見合いと父が煩くてな」


 そして女子会はマクレイナが退出したことでお開きとなった。

 エスティールとモスリーンは自国へと戻り、ハロイアはコルッカ冒険者学校の寮へと戻る。

 そして残ったアメリスとミルクティは、アカネと共にマイネフラン近くのアルセの樹へと向かって行った。


 残されたルグスとアネッタは、にゃんだーたちと戯れていたので女子会が終わったことすら気付きもしなかった。

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