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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 そのバグが意思を持っているのかどうかを誰も知らない
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ンのアルセとアフ鹵アルセのっぴょぴょ?壁|wO)矢口WC=(´-`。)三

 そこには全裸があった。

 輝く肉体美。ぴくぴくと動く胸元。胸に腕に足に生え揃ったギャランドゥ。

 ジョナサンは左の腕を掲げ、指先を天に向け、皆を見ながら腰を振っていた。


 迸る汗と煌めくアフロ。

 グラサンが後光を受けて輝きを増し、魂のシャウトを口から紡ぎ出す。

 おばさまたちは必死に応援をしている。


 帝国兵は意味が分からなかった。

 防衛軍も意味が分からなかった。

 なぜか彼らは戦争を止め、ただただジョナサンのディスコダンスを見上げているだけだった。


 お立ち台に立ったジョナサンの一人舞台。

 なぜ全裸で踊っているのか、何故、彼を見続けてしまっているのか。

 その場の誰もわからない。


 ただ、世界が壊れたその瞬間、後光が差し始めたアフロダンサーから目が離せなくなってしまったのである。

 両手を頭の後ろで組んでほあぁと叫ぶアフロダンサー。

 ハイ・タリアンが棒を持って来たことでポールダンスまで始まり、もはやなにがなんだか意味不明の状況。


 その内バグによる変化で帝国兵が一人、また一人と消えていく。

 ジョナサンのスキルに指定キャラへの広範囲攻撃が始まったようだ。

 ただただジョナサンの一人舞台を見上げながら死んでいく。帝国兵にとっては悪夢のような出来事だった。




 ぺズンのアフロもまた、バグ化していた。

 そもそもが既にバグったような存在だ。再びバグったところで大した意味は無かった。

 ただ、アフロ好きガニの能力がさらに強化されただけである。


 遠く離れた帝国兵がアフロ化する。

 増殖を止められ、武装を無力化され、頭をアフロにされた帝国兵たちは、そのアフロを鋏で切り取られ回収されて行く。

 丸坊主にされて嘆く帝国兵たちに魔物が襲いかかり、無謀なまま悲嘆にくれて消え去るのだった。


 戦車もアフロ化し、周囲の木々もアフロ化させる。

 もはやアフロ好きガニにアフロ化出来ない者はいなかった。

 アフロ化した戦車は前が見えないらしく、操縦不能で木々に突っ込む者多数。

 触れた瞬間爆発スキルを持った戦車もいたらしく、木に激突した瞬間大爆発を始めた。


 少し離れた場所ではオヒシュキを背に闘うセネカの姿。

 水魔法を使っていた彼女だが、バグってしまったらしく水を使った瞬間水が青い炎へと変化し帝国兵に突撃。森諸共焼き払う。


 えぇぇ!? と驚くセネカ。

 魔法で水を掛けて鎮火しようとするが、彼女が扱う魔法は水から青い焔に全てかわったようで、森に火を付けるしか出来なかった。

 仕方無いと魔法を唱えるオヒシュキ。水が風を纏って吹き荒れ、青い焔を猛らせ火の勢いを強めた。


「なんだと!?」


「い、いやぁ私達の森がぁ!?」


 オヒシュキとセネカが青い顔で叫ぶ。

 燃え盛る森はそのままバグり、焼け野原になることなく青い炎をその身に灯したまま普通の森として生還した。

 こうして特殊な青焔森林が生まれたのであった。

 葉っぱ全てが青い焔に包まれた不思議な森として、後世にも伝わる観光名所になったのであった。


 オヒシュキはもはやどうにもならんと悟り、諦めて周囲を見回す。

 帝国兵の姿がないことを確認し、湖の中へと入って行くのだった。ムーちゃんと一緒に。


「ちょ、オヒシュキ様、私、私乗ってまぶくぶくぶく……」


「きゃぁぁ!? ムーちゃーん!?」


 慌ててムーちゃん救出に向かうセネカ。

 助け出したむーちゃんのお腹を押せば、ぴゅーっとクジラのように水を噴き出す。


「大丈夫、ムーちゃん」


「し、死んだと思った。生きてる? ねぇ、私生きてる?」


「だ、大丈夫、問題なく生きてるよ!」


「よ、よかったぁー」


 ふぅっと起き上がるむーちゃん。

 が、その頭に見なれぬ物を見付けてセネカはぶふっと噴き出した。


「え? なに、どうしたの?」


「あ、いえ。その、可愛いと思う、よ」


 むーちゃんの頭に、ケモミミが生えていた。

 こてんっと小首を傾げたむーちゃんに合わせるように、ネコミミがぴくんと動く。

 思わず撫でまわしたくなるもふもふ耳だった。


「なんか、いつもより音の聞こえが良いような……耳四つあるような?」


「が、がんばれ!」


 何も指摘できないセネカは、とりあえず応援だけしておいた。

 よく意味が分かっていないムーちゃんが首を傾げていたが、頭を撫でまわしたい欲望を押さえるのに必死のセネカには気付かれなかった。


「んー? 頭に何かあるの?」


「あ、だめっ」


 セネカの視線を追って自分の頭を触るムーちゃん。生えていたネコミミに触れて「ん?」と違和感を覚える。

 ゆっくりとその耳を触り、何なのかを確かめる。

 ふるふると震えだし、それが何なのかを理解する。

 意味が分からない。なぜ今、この瞬間にネコミミが生えているのか。引っ張っても取れる気配すらない。

 むーちゃんと言う名を持つ少女の驚愕の悲鳴が轟いたのは、すぐ後のことだった。

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