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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 そのバグが意思を持っているのかどうかを誰も知らない
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そのア旧ル友セGaぽめ磨るのっぴょろぴょっぴょんは汁ない

「ランツェル。あいつら増えすぎじゃない?」


「それは私に言われてもな」


 帝国軍は無限に増えていく。

 拮抗状態が続くとはいえ流石に永遠敵を屠る訳にもいかない。


「ちょぉっとそろそろ魔力が不安になってくるわね。まだ半日は持つけど、その後どうしよう」


「俺もちょっと疲れて来たぞ。半日くらいなら持たせられるが、それ以降はきついな」


「僕はまだまだ行けますよ。龍人の体力はこの程度では問題になりませんから、ただ、明日まではもたないでしょうねぇ」


 ルヴィーリア、ガルグ、リンドが口々にミッチェルに告げる。

 ミッチェルも一応リーダーのようにしてはいるが寄る年波には勝てないようで息が上がっていた。


「くはぁ、1000年前ならもっと動けるのによぉ、ランツェルはどうだ?」


「私も年を感じるな。手先がぶれて狙いを付けるのに困る」


 そう言いつつも、しっかりと敵兵をヘッドショットで仕留めていくランツェル。

 正確無比な彼の射撃はいささかの衰えもないように思えなくはない。

 だが、見る者が見れば確かにランツェルにも衰えが見えた。


「は、こりゃ引退確定だなランツェル。マジで手先がぶれてやがる」


「あらー、神弓も年には勝てないか」


 悔しいが本当のことだ。

 先程から集中しながら撃ってようやく目的の場所に矢を届かせているのだが、昔であれば他所見してでも命中させられたランツェルだ。流石に耄碌したものだと納得せざるを得ない。


 この闘いが終われば引退して後人の弓の師匠にでもなるか。

 そんな事を思っていた時だった。

 世界が、変わった。


 ビキリ、世界に亀裂が走り、致命的な何かが砕け散ったのが分かった。

 果たしてそれを理解出来た者がこの世界に何人いたことか。

 ミッチェルは気付かなかったようだが、ルヴィーリア、ガルグ、リンドは気付いた。


「なんだ!?」


「ちょっと、アレ! 空!!」


 ルヴィーリアが指差す先に、巨大な目玉が出現していた。

 まるで神が下界を見下ろすように、空に巨大な目玉が現れギョロリと動く。


「おいおい、邪神でも召喚されたか……」


「いや、それよりも、致命的な何かが、今世界が壊れたぞ」


「それにしては普通に存在して、いえ、ルヴィーリアさんが……」


「私が何よ?」


 気付いたリンドが押し黙ったのを見てルヴィーリアが自身を見る。

 胸が、まっ平らになっていた。

 否、そればかりか手足も縮み、全体的に小さくなっている。


「な、な、なぁぁぁ!?」


「バカな!? ルヴィーリアが幼女化した!?」


「ら、ランツェルお爺さん、あの男の人、筋肉盛り上がって凄いことに。なんかもう120%モードみたいになってる!」


「ミッチェルよぉ、お前髭が伸びまくってるぞ」


「おうよ。なんか重いと思ったら。はは、こりゃすげぇ、男の象徴がドワーフ一じゃぁねぇか?」


 様々な変化が起き始める。

 大地が盛り上がり、凹みを作り、水場へと変化する。

 あるいは毒沼地帯へと変化して特性は回復状態になったり、荒れ地に代わった場所が光合成を行いだしたり、意味不明な現象が多発する。


「な。なんだ!? 戦車がタップダンス踊りだした!?」


「お前、なんでコサックダンスしてんだよ!?」


「知らねぇよ!? 止まんねぇんだよ!!」


「増殖能力は止まったのに、なんでコサックダンスが止まらねぇんだよ?」


「お、おい、戦闘機が、あの目玉光線出したぞ!?」


 空に現れた目玉から極太の光線。戦闘機が直撃を受けて消し飛ばされる。

 何度かそれを繰り返した目玉は満足したのか瞼を閉じて虚空に消え去った。

 と、同時に、直ぐ近くから鬨の声が上がる。


 援軍はもう居なかった筈の場所で起こった無数の男達の声に、ランツェル達が振り向けば、帝国軍相手に突撃する新たな援軍。そのメンバーに、懐かしい顔ぶれを見た。


「嘘、なんで……」


「おいおい、ありゃパメラにアンガーじゃねぇか。1000年前に死んだ筈じゃ……」


「というか、あいつら全員死んだ筈のメンバーじゃねぇか!? ブランディッシュ! なぜテメェが生きてやがる!? いや、違う。あいつら半透明だぞ!?」


「何が起こって……」


「……バグだ」


 不意に、スクーグズヌフラに背負われていたプリカが起き上がる。


「プリカ?」


「あの人が世界をバグらせたんだ。帝国兵はアイツを怒らせたんだ……」


 プリカだって気付いていた。

 アルセの側に居る名も知らぬメンバーの事を。

 アカネやリエラが良く呟いていたバグったという言葉。アニアも気付いていたようで視線を合わせると神妙な顔で頷いて来た。


「そっか、バグ、使っちゃったのねアイツ……」


「あー、嬢ちゃんたち、バグってなぁ、なんだ?」


「世界が壊れたって意味よ。もう、何が起こっても不思議じゃないわ。それこそ、死人が日中歩いてたって、ね」


 最愛の人に再会出来て喜びを分かち合うルヴィーリアを見ながら、皆はなんとなくバグったという意味を理解したのだった。

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