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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 そのバグが意思を持っているのかどうかを誰も知らない
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そのア聖酒ヲ森田した琴Wo壁|w・)は知い(ノ-_-)ノ ⌒ らナ

 ワルセイデスたちの楽しげな声が響く。

 アルラウネはそれを見て呆れていたが、突然、はっと空を見上げた。

 世界が悲鳴を上げたのだ。


「な、何?」


 ビキビキと世界に亀裂が走るのが見えた。

 ぱきり、致命的な音と共に世界に穴が開く。

 バキャンと世界が崩壊した。


 アルラウネにはそれが見えた。

 世界の嘆きが聞こえた気がした。

 切り替わる。世界の法則が、規則が、構成が。


 世界がバグる。

 致命的な何かが世界を破壊した。

 それを理解したが彼女にはどうすることもできはしなかった。


「わわわ、凄い、お姉様、なんか凄いよ。世界が変わった!」


「何が、どうなって……」


「何か分からないけど楽しくなって来たーっ」


 一度戻ってきたワルラウネは、それだけ告げて再び敵陣へと突撃する。

 そのワルラウネの姿が徐々に変化しているのを、彼女は気付いてないようだ。

 深緑の肌から鮮やかな黄緑へ。まるでアルラウネに戻ったかのような彼女に、アルラウネは驚きを隠せない。


 ワルセイデスやワルルーナの姿も変化している。

 その殆どがアルセイデスやアルルーナの姿だが、時々真っ白になったりどぎつい紫色に変化している個体もいる。

 皆体色だけでなく特性も変化しているようだが、本人は帝国兵で遊ぶことに夢中できづいてないようだ。


「怖い……」


 何が起こっているのかわからないから、恐ろしい。

 もしかしたら自分にも変化が起こってるんじゃないか?

 不安になって全身を見る。

 何かしらの変化があるのかどうか全く分からない。


「おー!」


 が、その場に居たアルセイデスたちが楽しげに鳴く。

 どうやら顔立ちが変わっているらしい。さらに綺麗になったと告げて来るアルセイデスたちに、良い変化だったことを知ったアルラウネはほっと息を吐く。

 どうやら容姿が多少綺麗になった以外の変化は起こってないようだ。


 と、視線を落とした自身の体色。

 鮮やかなピンク色に変化していることに気付いて絶叫した。

 にぎゃぁーっと聞こえたアルラウネの叫びに気付いたワルラウネは、彼女の姿を見て似合ってるよーとだけ叫び返してあげるのだった。




 東街道でも異変は起こっていた。

 戦闘を行っていたオッカケ達の体系が変化して行く。

 ある者は太った身体がやせ細り、インテリイケメン姿に、ある者は身長が伸び、ある者は筋肉に塗れムキムキに。

 ヘイオの姿もまた変化し始めていた。

 そんな光景を、唖然とした顔でパティアとカルエが見つめている。


「はは、なんじゃあらぁ、変な変化し始めてんぞ」


「バズ、あんたもなんか髪生えて来てるわよ」


「はぁ? うわっ。マジか!? なんだこのボンバーヘッド!?」


 爆発するように生い茂るパイナップルヘアに驚くバズラック。援軍に駆け付けた面々も少しづつ変化を始めている。

 パティアの衣装が舞台衣装へと変化しているし、カルエの指先にネイルアートが施されていたり小さな変化も大きな変化も様々引き起こされて行く。


「オイ見ろ! あそこの戦闘機、空中に止まったまま動かなくなったぞ!?」


「こっちじゃ戦車が縦になって空に上がろうと空転してやがる」


「何よアレ!? 兵士と兵士が背中越しにくっついてるわよ。キモっ!?」


 増殖の勇者たちによる増殖が無くなった。

 先程まで押し返され掛けていた防衛軍は再び攻勢に打って出る。

 しかも銃弾が当ってもすり抜けたり、当った瞬間ゴムのように跳ね返って地面に落下したり、逆に回復したりする。

 御蔭で死傷者は一気になくなり、兵士たちは戸惑いながら駆逐され始める。


「何が、起こったの?」


「あ、はは。夢よ。これは夢だわ。見てパティア。お魚さんが空を泳いでるわ」


 意味不明な光景を見てカルエが空笑いを始める。

 乾いた笑みにパティアも思わず頷く。

 目の前で魚が空を漂っていた。

 普通に遊泳しているので空を泳いでいるのは本当なのだろう。


 地面にも変化が起こる。

 一部は隆起し、砂漠化し、あるいは密林へと変化する。

 灼熱の大地が現れその隣に雪が降り積もり、底なしの穴が生まれそこに雨が降り注ぐ。


 一見意味不明な現象は、限りなく帝国兵に不利な現象となっていて、次々に謎の現象が彼らに襲いかかる。

 それはまるで神の怒りにも似た現象だった。

 自分たちの想定が一切通用しない法則性を完全に無視した、まさにバグ現象。


 兵士達が泣きそうになりながら銃器の引き金を引く。

 しかし、弾が発射されなかったり、発射されても出戻りしてきたり、あるいはその場で爆散したり、まともな武器として機能するモノが無くなっていた。

 まともに撃てても弾が跳ね返ったり、相手を回復してしまったり、一瞬にして攻撃手段を断たれた帝国兵はただただ倒されるだけの存在になっていた。

 その数は、徐々に圧倒され、各所で駆逐されて行くのであった。

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