そのアフロに塗れし国を帝国兵は知りたくなかった
「サタデーナイトフィーバー!!」
何度目かになるサタデーナイトフィーバー。
アフロダンサーの魔王ジョナサンによるディスコ踊りが冴え渡る。
ハイ・タリアンたちが拳を振り上げ応援し、兵士達が謎のダメージを受けて血反吐を吐き散らす。
戦車が火を吹きアフロダンサーが腰振りダンスでこれを華麗に避けて行く。
ギルメロン共和国同盟軍が歩兵と斬り結び、戦闘機部隊には突撃雀が襲いかかる。
この地も充分に侵略者への対抗が出来ていた。
しかし、最初から魔物と合同で闘っていた彼らには、増援が無かったのである。
戦車部隊にはトロールの群れが対応し、サザウェン率いるハイ・タリアンたちが歩兵を次々撃破して行くが、兵士達が増殖を始めると、徐々に追い込まれ始めていた。
なんとか立て直そうにも皆満身創痍。追加投入が出来ない防衛軍はジョナサンが居ながらも徐々に国へと押し込まれ始める。
森を埋め尽す帝国兵に、現状兵力では徐々に敵わなくなって来ていたのである。
「マズいな」
流石に気付いたジョナサンが苦々しい声をだす。
しかし、徐々に増えて行く帝国兵に、打つ手がない彼らには防衛するしか手が無くなっているのも事実で、増援が来なければ押し込まれるのは確実だった。
「我が友アルセよ……お前を、お前達を信じる。私はここを持ちこたえて見せる。だから、期待するぞ、お前達の助力を……」
だから、ジョナサンは仲間を信じることにした。
ここからは防衛に力を割き、一秒でも多く皆を生き延びさせることだけを考えることにしたのであった。
同じアフロを持つ者であっても、ぺズンはギルメロンとは違った。
国の一部に攻め込まれたぺズンだったが、彼らは国防の観点からワザと国の入り口を敵に渡したのである。
そこは街の入り口であり港だった。
全てのゴンドラは入り口とは対面に避難されてあり、入口を占拠したとて唯一のつり橋を渡らなければ水の中を泳がなければならない国。それがぺズンである。
アフロ好きガニが冒険者達に混じり国の入り口に詰め寄せた帝国兵を見つめていた。
銃では丁度届かない位置だったようで、兵士たちはゆっくりとつり橋を渡って来ている。
当然、弓矢によりその悉くが消え去り、水に落ちた兵士たちはオヒシュキの呪いにより津波に流され川の真下へと流されて行く。
そのまま海の藻屑になるようだ。
「アフロ好きガニ、あんたアフロ生やす以外何が出来るんだ?」
アフロ好きガニは無言でちょきちょきと鋏を鳴らし、そのまま水の中へとダイブ。
水面を移動し、水に落下した帝国兵を水中から引っ張り水の中へ。
力尽きた兵士がぷかりと浮かび上がる時には、既にアフロヘアへと変化していた。
「な、なんだ!? 気を付けろ! 水に入るとアフロになるぞ!?」
「はぁ? ンな訳あるか!?」
「お、俺の髪が、髪がアフロに!?」
「お、おい、増殖許可出たぞ?」
「嫌だ! これで増殖したらアフロで増殖しちまうぞ!?」
帝国兵たちは攻めあぐねていた。
戦車を持って来るにしても、敵国とは川が間に流れているので戦車を向かわせられない。
かといって砲撃を行うと、なぜか水柱が上がって砲撃を防御。無駄弾が水の中へと落下して行く。
「ど、どうする?」
「って、オイ、今の風圧は何だ?」
「お、お前、髪が……髪が無くなってるぞ!?」
「な、何だってーっ!?」
頭を確認して悲鳴を上げる帝国兵。
水鉄砲で髪をはぎ取られたことに気付くことはなかった。
「待て、水から何か発射されたぞ今!」
別の兵士が気付いたが、その頭にも水が飛びだし兵士の頭が丸ハゲへと変わって行く。
「クソ、禿げるかアフロになるか二択かよ!?」
「戦闘機だ! こうなりゃここは戦闘機で迎撃を……」
「忍!」
帝国兵が期待を乗せた戦闘機には、空をムササビの術で飛び交う影からニンニンが対応していた。
四聖獣から手に入れた属性魔法と忍法で、落ちこぼれでしかなかった彼は今、ぺズンを守る充分な役割を果たせていたのである。
飛び交う戦闘機に疾風の舞いで機体を揺らし、水弾で機械を壊し、火炎の舞いで撃墜する。
一人だけなので多くの戦闘機を破壊することはできない。でも着実に確実に、彼は戦闘機を一機づつ撃破出来ていた。
「良し、こっちも準備完了です。オヒシュキ様、ご加護を!」
オヒシュキの湖ではムーちゃんとセネカが対応していた。
オヒシュキ自身は国全体の水を操ることに集中を始めたため、湖を占領しオヒシュキを捕まえようとする別働隊には、セネカが対応せざるを得なかったのである。
相手は増殖する帝国兵。
銃器を操って来るが、それは全て水で防げるため、怯えるムーちゃんを背にして一人、アルセ神オールを構えて敵対するのだった。




