表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その抗う者たちを彼らは知りたくなかった
1325/1818

そのパリポどもを帝国兵は知りたくなかった

 戦闘機が次々に墜落して行く。

 黒き悪夢が戦闘機に覆いかぶさり、機械の隙間に入り込み、機能を停止させていく。

 戦闘機の計器破壊し、内部の熱で死に絶える軍団パーリーアントの群れ。

 しかし大地に激突し爆散した戦闘機から、無傷で脱出して来るのも軍団パーリーアントの群れだった。


 何度踏み潰されようと、何度焼却されようと、彼らは再び蘇る。

 それがアルブロシアを食した彼らが得たスキル、一人は皆の為にワンフォーオール皆は一人の為にオールフォーワン

 一人でも生き残っていれば彼らは絶えず復活し、死にゆく程に残った者たちが強化されて行く。


 それでも、帝国軍も全滅した訳ではない。

 隠れていた者たちが増殖を開始し、反撃に出たのだ。

 自動小銃でムリアンの群れに銃弾を叩き込む男達。

 潰されながら、引き裂かれながら再び復活して突撃する軍団パーリーアントとそれに乗るムリアンたち。


 戦闘機を破壊し終えた為に戦車部隊と歩兵部隊の駆逐を開始したのである。

 歩兵部隊は数千にまで数を戻した。対する軍団パーリーアントは数兆に達する数。

 帝国兵は必死に増殖を繰り返すが、敵対する蟻の数が多過ぎて増殖した先から全身集られ死に絶える。もはや打つ手は無いらしく、集まって来た魔物達が唖然と見守る中、最後の兵士が悶えながらく黒い蟻の群れに消えて行った。




 ゴーラ王国の危機はネフティアが最初だった。

 ネフティアの居た戦車に向け、帝国兵の砲撃が襲いかかったのだ。

 皆、終わったと思った。

 ただ一人、ネフティアだけは諦めちゃいなかった。


 ストライクブッチャーで突撃し、砲弾を工具で引き裂く。

 バチバチと火花が飛び、本来炸裂する筈の砲弾が工具に引き裂かれて行く。

 ズバリ、二つに裂かれた砲弾がネフティアの頬を引き裂き後方へと飛んで行く。

 戦車から少し後ろで二つの爆炎が上がった。


「バカな!?」


「怯むな! 撃て!!」


 即座に戦車を蹴りつけ砲撃を行って来た戦車へと向かう。

 ストライクブッチャー。

 まさかの突撃に焦る戦車は狙いを付けきれずでたらめな方向へと爆撃する。

 無数の爆炎の中、ネフティアが駆ける。

 その手には無骨な工具。

 唸りを上げるチェーンソウが真下から戦車へと叩き込まれる。


 火花が噴き出し、耳障りな音と共にバターのように切り裂かれて行く戦車。

 真上に切り上げたネフティアがバックステップで離れた瞬間、盛大な爆発を遂げた。


「FUOOOOOOOOOOOOOOOOおおおおおおお!!」


 ネフティアの力を見せられた至高帝が滾る。

 全裸で突撃すると、無数の兵士たちの周囲に白薔薇が舞い散った。

 げはぁ!? と血を吐き倒れる兵士達。

 何らかの攻撃が行われたようだが、ハロイアにはそれを見切ることは敵わなかった。


 ハロイアはハロイアで空飛ぶ戦闘機相手にガトリングソードランチャーを発射して行く。

 彼女もテンションはMAX状態のようで、高笑いと共に戦闘機を破壊して行く。

 射撃を行い彼女を殺そうとする戦闘機もいるが、近くに居る兵士達が物見の役割を担ってくれているため、ハロイアはただ射撃の角度を変えるだけで良かった。


 だが、そのパリポ状態も長くは続かない。

 なぜならば帝国兵が増殖を始めたからである。

 無数に増え出した帝国兵に、ネフティアが孤立をしてしまう。

 獅子奮迅の闘いをするが、流石に犇めく敵の数が多過ぎる。

 瞬く間に帝国兵に覆いかぶされ、捕まって……


「ひぃっやっは――――!!」


 ブオン。一台のバイクが敵陣に突っ込んだ。

 改造バイクに乗り込んでいたのはモヒカン頭の男。

 捕まったネフティア周辺にバイクで飛び込み、彼女を引っ掴むとドリフト走行で引き返す。

 反射的に銃口を向けた帝国兵だが、その横合いから魔物の群れが突っ込んだ。


「ひゃはは! オラ行けテメーら。俺の下僕共が地獄見せてやんぜぇーひゃーはっはっは、あ。ちょ、ネフティア、やめて、脇腹はらめぇ」


 ネフティアはアキオに助けられた事実が不満だったらしく彼の脇腹を突っつく。

 バランス崩したアキオは盛大に転倒し、至高帝が放物線描いて吹っ飛んだネフティアを御姫様抱っこで救出する。


「ってコルァ! 俺も助けろよ!?」


 血まみれて立ち上がるアキオに、ふぉっふぉと笑い、ネフティアを降ろす至高帝。

 そろそろこちらも本気で行きますかな。と至高帝が気合いを入れ直す。

 ネフティアをアキオが助けたことが気に入らなかったようだ。


 アキオの指揮の下、魔物達が参戦し、帝国兵との拮抗が生まれた。

 しばしの時間は持つだろう。

 しかし敵は増殖をし続ける。疲労するゴーラ王国の方が不利であると言えた。

 それでも、彼らに諦めの気配は微塵も存在していなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ