そのモンスターパレードが起こされた理由を誰も知らない
世界中でソレは起こった。
皮切りこそ、BABAーBA洞窟だったが、これは世界各地のダンジョンで起こった。
地鳴りのような音を響かせ、ダンジョンというダンジョンから魔物が溢れだす。
近隣住民は村は戦場になっていないということで普段の生活をしていたのだが、飛び交う戦闘機や砲撃の音が各王城からして来る度に恐れおののいていた。
そこへ、魔物たちの出現である。
騎士団な冒険者を頼ろうにも、彼らの殆どが王城防衛に向かってしまっていて、残っているのは各村付きの冒険者のみ、とてもじゃないが数千数万の魔物達相手に立ち向かえる実力ではない。
皆が突然の絶望に悲鳴を上げ、神に祈りをささげた。
神よお怒りをお鎮めください。
神よ、我々は関係ない筈です、お許しをっ!
ああ、神よ!? なぜこのような辛苦を!?
叫び逃げまどう村人たち。
それらを無視し、村を横断した魔物の群れは、銃撃の聞こえる王城向けて走り去って行く。
巨大な魔物達に轢かれた村はご愁傷様としか言えないが、それは稀な事象であり、殆どの村は無傷でモンスターパレードを乗り切ったのである。
世界各国で同時に起こった。
アルセの悲痛な叫びが聞こえた直後、世界中のダンジョンから魔物達が溢れ、近くの帝国兵が包囲する王城向けて大行進を行ったのだ。
きっと、それは歴史に残る程の大災害。世界一斉モンスターパレード。
東大陸のダンジョンから溢れた魔物たちは一斉に新日本帝国を目指し、西大陸に出現した魔物たちは各国の援護に向かう。
ニンゲンたちを襲うことは無かった。
まるでそれが当然というように、多少の攻撃を受けようと、無視して行軍、帝国兵へと向かって行く。
マイネフランには聖樹の森の魔物達が。
否、周辺に存在するフィールド上の魔物全てが集結を始めている。
エルフ村にも彼らはやってきた。
本来のオリー達だけではない。
ワンバーガーに殿中でござる。シューストリングナイトにブラックリエラ。
トルーミング王国周辺の魔物が国に押し寄せオーギュスト諸共新日本帝国兵を撃破していく。
ゲーテリアの魔物達も国を守りに来たのだが、ここは既にパイラ無双により地上部隊は消え去っており、最後の戦車を丸呑みするパイラが追加の食事? と勘違いして逃走劇が始まった。
コルッカにも周辺の四大洞窟から魔物達が溢れだす。
既に来ていた助っ人たちに加え、新たにダンジョンで生み出された魔物達が延々とダンジョンから出現する。
時代劇の逆塔から、急げイェイイェイと新たに生み出された魔物の群れがハステルラ山へと向かう姿も見えた。
コイントスの周辺にも魔物の群れが現れる。
捕まりかけていたバルスは彼らの御蔭で難を逃れ、再びの特攻を魔物達と共に仕掛けていた。
ロックスメイアでは妖精部隊と魔物部隊が早々に意思疎通を可能とし、間に挟んだ帝国兵を挟撃し始め、ダメ押しで地鳴りと共に現れるタングスタートル。
フィグナートには空より現れたジャッポン義勇軍に加え、周辺各地から押し寄せる魔物達に挟まれ、帝国兵は一気に窮地に立たされた。
ダリア連邦にも魔物は押し寄せ、火山より降りて来た四聖獣と共に、カトブレパスにスケルトンドラゴン、アンデッドエルダードラゴン。本来山頂から姿を現すことの無い凶悪な魔物達までもが現れている。
グーレイ教国に現れた魔物たちは消えた王国に呆然としており、周囲を漂う放射能に気付いて慌てて逃げだしていた。アカネとルグスはそれに気付いたがどうでもいいので放置。二人揃って東に振り向くと、無言で飛翔していった。
ドドスコイではレーシーが出遅れたっ。と焦りながら魔物達と共に強襲準備を整え出発する。
ダーリティアにも魔物の群れ。ただし、それより先に出現したババァの群れが全て持っていった状態である。
そのババァの群れも世界各地に散らばっており、空からの流星群の如くババァたちが降り注ぐ姿が未だに見える。
おそらくBABA-BA洞窟で絶えずババァが生成され、際限なく光の如く空に立ち昇って降り注いでいるのだろう。
コットン王国はもはや絶望的な黒で埋め尽くされていた。
魔物達が助っ人に来たが、既に助っ人するまでもない。
軍団パーリーアントたちによる蹂躙により、敵兵士は既に壊滅。戦闘機部隊も今、羽根を手に入れた軍団パーリーアントの群れに囲まれ墜落を始めている状況だった。
折角集まった魔物たちは、黒く覆われた大地を前にただただ呆然とその行軍を見つめるしか出来なかったのである。
ゴーラ王国に現れた魔物はなぜかゴーラ王国に誰もいないことに気付いて首を捻る。吹きすさぶ風が空しく過ぎ去っていた。
ギルガン王国には何故かアキオの元へと集まってくる魔物達、攻撃してこない魔物が街中に溢れ、兵士達が戸惑う中、なぜか慕われるアキオは戸惑いながらも魔物達に指示を出していた。
ギルメロン共和国では全裸になったジョナサンが参戦、そして彼らと敵対する帝国兵を包囲するように現れた魔物達により包囲戦が始まっていた。
ナーロイアに集まった魔物たちは、殿中でござるの群れと共に共同で敵を狩り始め、ワンバーカイザーの上に昇って戦闘機の迎撃を始める魔物達で溢れかえる。
ぺズンに現れた魔物たちはアフロ好きガニによりアフロ化させられながら帝国兵に特攻し、アフロを散らしながら猛攻を加えている。
メリケンサック王国では参戦しようとした魔物がモザイク化を始め収拾付かなくなっていた。
「「「「「「「「「「ごわす」」」」」」」」」」
海洋を、おいどんは自分の道を行くでゴワス達が泳いでいた。
皆、本来ならば海に突っ込み酸欠で死ぬ運命だったのだが、一人のゴワスが泳いでいる姿を見た彼らがその泳ぎを真似しめたのだ。
結果、数百に及ぶゴワスの群れが東大陸向けて海洋を爆進していた。
気付いたリフィは直線状に自分が居ることに気付いて慌てて海底へと潜り込む。
ゴワス達が通り過ぎる。
既に崩壊し始めていた無数の戦艦を粉砕し、力士の群れが東大陸へと遠泳していくのだった。




