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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十五部 第一話 その侵略による悲しみを僕らは知りたくなかった
1242/1818

AE(アナザー・エピソード)その遊撃部隊の移動先を僕等は知らない

「それで、これどこに向かってるの?」


「え? 言ってませんでしたっけ?」


 ウミネッコに乗ったセキトリの疑問に、空軍カモメに乗ったクルルカが小首を傾げる。


「東大陸ですよセキトリ様」


「……へ!? メリケンサックへの助っ人蹴ってまでなんで敵陣に!?」


「こちらに行くのが良いと、タロットが伝えてくれましたから」


 と、運命のカードを見せつけるクルルカ。それだけ見せられても困るセキトリは、眼下に広がる海を見る。


「凄いな。この艦隊」


 真下の海では埋め尽くすほどの戦艦の群れ。

 鋼鉄でできたそれらはゆっくりと西へと向かっている。

 数台、陸地のような船があり、アスファルト作りの滑走路が見える。

 他の船団は大きなものは黒塗りで恐ろしいほどの威容。それがイージス艦と呼ばれているモノであることは、セキトリたちにはわからなかった。


「この際これは放置です。私達の役目はリエラさんの陽動です」


「あ、そういうことか」


 クルルカの言葉に即座に理解したセキトリが納得する。

 つまり、敵陣に突撃してマターラを投下するだけして逃げるのだ。

 マターラなら敵の銃弾が届くより先に爆発するだろう。

 後はマターラが魔法を唱えるより早く離脱しきることだけが問題になるはずだ。


「ってことは僕らも新日本帝国本国?」


「いえ。この先にある集落地にマターラを落下させてください」


「分かった。召喚」


 空中で召喚し、自分の手元にマターラを召喚する。


「マターラ。今回ばかりはお前に掛かってる。今から落下させた場所で盛大に爆発してほしい。回収は召喚だ。召喚されたら僕らの側だから攻撃はしないでくれよ? それの繰り返しだ。帰ったら沢山草食べていいから」


 返答がないのでイマイチ伝わったのかどうかわからないマターラ。その葛羊羹みたいな身体を持ち上げる。


「今ですセキトリ様!」


「一つ目だ。行って来てマターラ!」


 思い切りマターラを投げ落とす。

 そこを、彼らは集落地としてしか認識していなかったが、新日本帝国軍にとっては違った。

 そこは軍事基地。ミサイルを生産する基地だったのである。

 そこに、超火力の爆弾が投下されたのだ。


 音より早く、光が噴き出す。

 兵士たちは気付かなかった。

 何が起こったのか理解するより先に、中性子爆発並みの一撃を喰らい消し飛んだのだった。


 遅れて音と風圧が湧き起こり、セキトリとクルルカの乗る鳥たちを揺らす。

 乱れた気流に必死に羽をばたつかせなんとか逃げ切る二羽の鳥。それ以外の生物は、マターラの中心から一キロ程まで、一気に消し飛ばされたのであった。

 さらに風圧と爆撃の威力で点火したミサイル達が暴発したようで地下から発射され、その場で爆発、あるいは数キロメートル放物線を描いて周囲に爆発という名の死を振りまく。

 まるでしけったロケット花火を百個くらいいっぺんに点火したかのような惨劇がそこにはあった。


「……クルルカさんや」


「な、何も言わないでください。想定外です」


「ですよねー……」


 まさかミサイル達が誘爆するなど思いもしなかった二人は知~らないっとばかりにさっさとミサイル基地を後にする。

 召喚で再びマターラを手元に戻し、次の集落へと向かう。

 こうして新日本帝国の軍事基地が一つ。また一つと消えて行くのだが、基地の全てが一瞬で消し飛んだことと、ワザと本国から離れた場所に設置していた侵略用の基地だったため、この基地爆撃に新日本帝国軍が気付くことは無かった。


 まるでそうなることが分かっているかのようにクルルカは近い軍事基地ではなく離れた場所から順々に一つづつ潰して行った。

 セキトリは言われた場所でマターラを投げ入れる。それだけの仕事である。


「あ、見てください、アレ、リエラさんです」


 先行したクルルカ達を追い越して中心部へと向かって行くマホとリエラの姿を見送り、クルルカはセキトリにふふっと笑みを浮かべた。


「リエラさんへのお手伝いです。そろそろ派手に行きましょう」


「了解。クルルカに任せるよ。こっちはマターラを召喚して投げ入れるだけの簡単なお仕事みたいだし」


「はい。任せてください!」


 そして彼らは一つ、また一つと別の基地からも見える場所で敵基地を爆破させていく。

 連絡が言ったのだろう、その後の基地には鳥二羽が近づいただけで陸軍が基地から走り出て撃ち殺そうとして来る。


 当然、その中心にマターラを落下させて軍事基地ごと消し飛ばす。

 むちゃくちゃだっ!? そんな叫びが聞こえた気がするが、やめてやる意味など皆無である。

 マターラを召喚して投げ落としてまた召喚する。

 後はかってにマターラが爆散するので放っておいても自分のレベルはアップするのだ。

 流石はマターラ。と彼の頭を撫でながら、セキトリたちは新たな犠牲者を探して飛行するのだった。

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