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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十五部 第一話 その侵略による悲しみを僕らは知りたくなかった
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AE(アナザー・エピソード)その森の危機を僕等は知らない

「ぶひぁ!?」


 銃撃に、バズは驚きながらもアルセアーマーを着込んでいた。

 装備を整え、屋敷から出ると、セレディに連れられた子供達、そしてオークのプリケツを愛でる会のメンバーが集まっていた。


「バズの旦那。マズいです。昨日アルセちゃんから聞かされてた各国の話、アレもう戦闘開始してますぜ!」


「ブヒ!」


 セレディに全員いるか? と尋ねるバズ。


「ブヒァ」


 エンリカがピクニックに出掛けたため居ない人数はそっちにいるはず。と返される。

 愛する妻がこんな時にピクニック。

 全身に嫌な汗が流れ出るバズ。


「ブヒァ!」


 セレディは子供達をセルヴァティアに避難、ギルバートたちは皆を護衛してくれ。

 そう告げるバズにプリケツマスターアキハが焦った顔をする。


「バズ様は!?」


「ブヒ」


 妻を探す。短く告げて、走りだすバズ。

 後を追いたいセレディだったが、自分たちの子供たちの安全確保が第一優先なのは彼女だって分かっていた。悔しげに呻き、セレディとギルバートたちは数千匹のオークを引き連れセルヴァティア王国へと向かうのだった。




 だが、セルヴァティア王国自体も窮地に立たされていた。

 ギィンギィンと物凄い音が連続する。

 柩を盾にして初撃を回避した古代人たちだったが、連続して止むことの無い銃撃に焦りを覚えていた。


 銃自体は昨日クーフからどういう武器か教わったので対処はできたのだが、徐々に距離を詰めて来る敵兵士たちに、古代人たちは逃げることも出来ずにただ防御するしか出来なくなっていたのだ。

 なんとか体勢を立て直すか反撃を行いたいが、銃撃戦が酷くて何も出来ないのが現状だった。


「クソ、クソがァ!!」


 一番兵士達に近かった包帯男が我慢できずに柩を引き抜き立ち上がる。

 銃撃が即座に襲って来るが、全身を撃たれながらも男は雄叫びと共に柩を振るう。

 もはや逃げることも出来ないと踏んだ彼は、他の仲間たちを逃すために己の身体を盾に、柩を武器に兵士達に反撃を行ったのだ。


 柩の一撃で兵士たちの一部が弾き飛ばされる。

 10人くらいが吹き飛ばされ、5人くらいが千切れ飛ぶ。

 ぎりぎりで倒れかけたのを踏み留め、包帯男はさらに一歩踏み込み柩を振るう。


「があぁっ! 行けっ、行けェお前らァッ!!」


 弾かれたように、柩を盾にしながら古代人たちが撤退を始める。

 気付いた兵士達が駆けだそうとするが、包帯男が柩を振りまわしてこれを牽制、あわよくば叩き潰す。


「貴様等なんぞにぃっ、やらせん、やらせはせんぞォッ!!」


「ええい、なんだこの巨人はッ」


「無駄に筋肉があるせいか倒れないぞ、ええい、集中砲火だ!」


 無数の銃口が彼へと向けられる。

 咆え猛りながら柩を振るった彼に、一斉射が襲いかかった。


「く、そぉぉぉぉぉっ」


 最後の一撃とばかりに柩を投げ飛ばす。

 一直線に飛ぶ柩は無数の兵士を破壊して角有り兵士を押しつぶす。


「がぁ!?」


「隊長がやられた!?」


「よし、じゃあ次俺が隊長!」


 押しつぶされた隊長から角有りヘルメットを外し自分で被る兵士。


「総員蹂躙せよ!」


「へいへい。ってか、あのミイラ男死んだんじゃね?」


 立ったまま動かなくなった包帯男を一人の兵士が銃口でつっつく。

 それは何の抵抗もなくどさりと倒れ伏した。


「おー、弁慶の仁王立ちか?」


「いや、むしろビグ○ム乗ってた人だろ」


「あー、やっぱそれ思った。名ゼリフ。ってかあいつの名前誰だっけ?」


「知らね。だって俺もお前も俺だし。俺が忘れた名前思いだせる訳ないじゃん」


 あはは。と笑いながら兵士たちは逃げた古代人たちをゆっくりと追い詰めて行く。




「キューッ」「キューッ!」「キューッ!?」


 スマッシュクラッシャーたちの悲鳴が響き渡る。

 武器を持たないスマッシュクラッシャーたちが率先して自分を盾にすることで皆を逃し、セルヴァティア王国向けて逃しているのだ。

 涙を流しながら女子供、そして武器を持った若者たちは懸命に走る。

 彼らの先頭を走るのはスマッシュクラッシャーリーダーをしているメス個体。


 必死に皆を鼓舞しながら走っている。

 後ろから仲間の悲鳴が次々に上がる。

 それでも前を見て必死に駆けた。


「キュァー!!」


 もう、許せねぇ! リーダー、俺はやるぜ!

 そんな声が聞こえて思わず振り向いた。

 既に群れのすぐ後ろまで来ていた兵士達に驚いた。

 そして、彼らへと向き直る若いスマッシュクラッシャーたちにも、驚き足を止めてしまう。


「キューッ!!」


 止めなさいっ! 

 叫ぶリーダーを無視してスマッシュクラッシャーたちは迫りくる兵士達へ向け、思い切りハンマーをスイングする。

 一部の兵士がハンマーを狙い始め、武器破壊が始まった。

 しかし、ハンマーの強度が強く、破壊できない。

 それに気付いたスマッシュクラッシャーの一体が雄叫び上げながらハンマーを盾に突撃を始めたのだった。

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