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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その二人の子供がどんな姿になるのかを僕らは知らない
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その選民思考の根源を僕らは知りたくなかった

 と、いうわけで、僕らは妖精女王メイブさんの元へとやってきた。

 丁度戻ると言っていたエイケン・ドラムと、なぜかタルイス・テーグのイルタだっけ? そいつがいらっしゃった。

 イルタが得意げに何かを語っているのを面倒臭そうな顔でメイブさんが右から左に受け流しており、エイケン・ドラムはやや疲れた顔をしている。


「あのー」


「あら? まぁまぁまぁまぁ。金髪でない人間に混じってブラック・アニスが人間たちと一緒に居るわ。襲って無いなんてめずらしいですこと。これぞまさに世紀末ですわね!」


「いきなり御挨拶ねタルイス・テーグ。その羽むしり取って逸れ妖精にしてあげようかしら」


「め、メイブ様、この者危険ですわっ。危険思想ですわ。ぜひともお裁きを!」


「あら、金髪以外には頼らない貴女が私に頼むの? 聞いたわよ。今の妖精女王が金髪じゃないのは妖精族の恥だとか言っていたらしーじゃん」


 どうでも良さそうに片肘付いて告げるメイブ。目に指先押し当て眼ヤニを取ったのか、また指先にふっと息を吹きかけている。


「な、あ、き、気のせいですわ。私がそのようなこと言う訳ありませんわよおほ、おほほほほ。妖精女王様はメイブ様に決まっておりますわー」


 顔、引く付いてますよイルタさん。

 金髪思考のせいでメイブに対しても気に入って無い御様子。これで新女王にティターニアが付いたりしたら、妖精族目も当てられない状態にならないか?

 金髪VS他の色の髪妖精の大戦争勃発? そして西と東に別れて壁を築いてとか……どっかにあったなそういう話。


「まぁいいわ。でー、あんたたち何の用?」


「あ、そうです。えーっとですね。アカネさんよろしく」


 リエラ。説明面倒臭くなったからってアカネに任せないであげて。アカネもアカネで結構精神一杯一杯になってるからそろそろ本気で爆発しそうなんだよ。

 頼りになるのは分かるけどほら、頼られ過ぎるとどうなるかは自分で体験済みでしょ?


「仕方ないわね。って、何よエロバグ? 頭撫でんな」


 無碍なく打ち払われた!? 酷過ぎるっ。

 僕はアカネの事を思って、あ、ちょ、ルクルさん、待って。違うの、僕そういうつもりじゃ、あああ、ペンネたん見ないで。そんな汚物を見るみたいな目で見つめて来ないでぇぇぇっ。


「ヴィゾフニールに言われて金髪族の鼻っ柱圧し折ることになったの」


 ちょ、アカネさん、それイルタに聞かせちゃダメな話っ。


「ちょ!? それどういうことよ!!」


「あら? イルタは金髪族以外の話を真実として受け止めるのかしら?」


 ふふふ。と不敵に微笑むアカネ。うぐっとイルタが怯んだ。

 彼女にとって金髪族以外の戯言など塵芥に等しい。しかし、彼女の言葉にヴィゾフニールが出てくれば話は別だ。

 信望する四聖獣様が自分たちの鼻っ柱を圧し折りたいとこいつ等にお願いしていた。そんな事実認められるわけがない。ぜひとも詳細を知り嘘であることを証明せねばならない。

 しかし彼女にとって塵芥に等しき女の戯言を真に受けるのは避けねばならない。しかし、戯言といってしまっていい案件ではない。


「ぬ、ぬぐぐぐぐぐ……」


「ふふふ。惑え惑え、そこは出口の無い思考の海よ」


 アカネさんは相変わらず酷いなぁ。

 思考停止に陥ったイルタを無視してメイブへと視線を向ける。


「また穏やかではないわね。でもまぁ、私も金髪族には迷惑してるしぃ、いいんじゃない?」


「許可をどうも。それで、彼らがあんな性格になった理由が知りたいんだけど、一応ティターニアが原因かもしれないくらいには分かったのだけど」


「ああ。あの子の言うことは無視していいわ。だって彼女もタルイス・テーグだもの」


「あー。やっぱり」


 どういうこと? アカネはメイブの言葉で予想通りだとでも言うように納得する。


「あの、アカネさん?」


「ようするに、卵が先か、鶏が先かって理論でね。ティターニアが原因なのが本当だったら、彼女がタルイス・テーグたちの思考を矯正したってことでしょ? でもタルイス・テーグはティターニアが現れる前から存在するはずなのよ。何しろ、そういう設定で神様が作った存在なのだから」


 ああ。つまりタルイス・テーグは生まれながらにタルイス・テーグでティターニアの情操教育は殆ど関係なかったって訳か。もともとから選民思考で生まれた存在がタルイス・テーグ。それはつまり、鼻っ柱圧し折るには種族ごと意識改変させるしかないってことか。


「……まぁ方法は一つあるんだけど、ヴィゾフニールが可哀想なのよね」


「え? アカネさん既に方法思いついたんですか?」


「いや、今のヴィゾフニールの姿見せりゃ速攻呆れるでしょ。何しろエアークラフトピーサンに頭上がらなくなってるし、ピーサン金色じゃないでしょ。信望する聖獣がどこの馬の骨とも分からない雌の言いなりになってるのよ。これほど金髪優先の彼らに衝撃与える光景ってないでしょ」


 確かに、それ見せたら速攻解決しそうな気がする。ヴィゾフニールが可哀想だけど。

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