表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その二人の子供がどんな姿になるのかを僕らは知らない
1192/1818

その対決の結末を僕らは知りたくなかった

 二体の巨大鳥が旋回する。

 互いに相手を視界に収めながら、一番遠くに離れてからの急速飛行。

 頭を下げて頭突き、衝撃に仰け反った二体はそれでも相手に突撃し、爪でひっかく応酬。

 空中戦を繰り広げる巨大鳥は互いに嘶き威嚇しながら相手の身体を傷付けて行く。


 鳥の闘いって凄いな、蹴りつけ合いながら地面に落下していくんだぜ。

 しかもちゃんと着地してその地面で互いに闘い合い馬乗りになって蹴りつけたと思えば七転八倒。互いに上に下になりながら相手を蹴りつけ合っている。

 嘴での攻撃はめったにしないんだな。基本蹴りつけで相手の肉を引き裂く感じだろうか。


 翼を打って宙に舞い、相手の上に乗って両足で蹴りつけ、相手が翼を打って宙に浮くことでバランス崩して攻守逆転。

 なんかもう、凄い面倒な闘いになってます。いや、見る分には凄いだけどさ、闘い方がなんというか、頭脳戦全く無い感じ? 子供同士が両手ぐるぐる回して殴り合ってるような気がします。


 御蔭で地面の被害が恐ろしいことに。

 ところどころが抉れ飛び、彼らが落下した場所にはクレーター。

 そんな大地は放置して、ヴィゾフニールが空へと舞い上がる。

 遅れてたまるかと翼を打って旋回しながら空へと舞い上がるエアークラフトピーサン。


 嘶きと共に急降下を行うヴィゾフニール。

 迎え撃つエアークラフトピーサンの口から、何かが吐き出される。

 ……ペリルカーンだあれーっ。


 無数のペリルカーンが吶喊。

 驚くヴィゾフニールに突き刺さる。

 錐揉み回転しながら落下するヴィゾフニールに、少し高く飛翔したあと突撃するエアークラフトピーサン。


 その真上から光の一撃が襲いかかる。

 悲鳴と共に落下するエアークラフトピーサン。

 一瞬意識を失ったようだが、すぐに気付いてヴィゾフニールに突撃。

 互いに蹴り合いながら再び地面に墜落していく。


 周囲に飛び交う光の柱。

 マホウドリやウミネッコがエアークラフトピーサンの口から吐き出され、魔法を打ち消して行く。

 まさに空軍戦。一対多数のレイド戦である。

 やられたヴィゾフニールは焦りながらも徐々に追い詰められていく。


「すごい……エアークラフトピーサンってこんなに強かったんだ」


「数の正義だけど、単体だけでも四聖獣と同等とか、だいぶ壊れた実力になってるわね」


 え? それってエアークラフトピーサンもバグってるってこと?

 まぁ、僕の足場として体内に居ること多かったし、バグ化の可能性は高いか。


「お、そろそろヴィゾフニールも降参みたいね。はーいそこまでー」


 ぱんぱんっと手を叩くパルティ。気付いた二体の鳥は、互いに組み伏せ合いながらもそれに気付いて首を向けた。


「待て、我はまだやられていないぞ!?」


「いや、もう、充分でしょ。これ以上はどちらかが死にかねないわ。実力を見るだけ、でしょ? これ以上は私が相手するわよ」


「……うぐぐ」


 唸りながらも諦めたようで、ヴィゾフニールがエアークラフトピーサンから飛び降りる。

 体勢を整えたエアークラフトピーサンは立ち上がると同時にヴィゾフニールの身体に翼を掛ける。まるで友人の肩に両手を乗せるような格好だ。


「なんだ? もう闘いは終わ……」


 もこんっとエアークラフトピーサンから産み落とされた一つの卵。

 一瞬呆然としたヴィゾフニール。恐る恐る顔を引くつかせながらエアークラフトピーサンを見る。


「まさか貴様……これを有精卵にしろ……と?」


 やるまで離さん。ようやく見付けた自分と同等の雄、逃す気はない。とばかりに翼でヴィゾフニールの身体を固定するエアークラフトピーサン。

 まさに肉食獣のような瞳でヴィゾフニールを見つめている。


 ……

 …………

 ……………………


「もう、お婿に行けない」


 身も心もずたずたにされたヴィゾフニールさんが泣いてます。

 隅っこの方で丸まって泣いてる姿は、なぜだろう。アカネさんに連撃食らったプレシオさんを彷彿とさせるのは?

 エアークラフトピーサンは? ヴィゾフニールが寝床にしている巣を無理矢理聞き出し、ユグドラシルの頂上にある巣へと卵を持ち帰りただいま温め中。アルセ達が乗って帰る時にはヴィゾフニールが温める手はずになってます。

 頑張れヴィゾフニール。負けるなヴィゾフニール。きっともうすぐお父さんだ。


「えーっとヴィゾフニール、皆に加護を……」


「……」


 ヴィゾフニールは無言で加護をつけた。

 もはややる気ないといった様子のヴィゾフニール。やっつけ仕事でため息交じりにやってました。

 光り輝く仲間たち。

 えーっと、アンサー、ニンニン、アニアと……おお、今回は多いぞ!


 セネカ、ハイネス、マクレイナ、バルス、セキトリ、マホウドリにアニア、ブラック・アニス。

 って、待て待て待て。なんでブラック・アニスまで加護貰ってるの!?


「おりょ? なんか光ったのだわ」


 エイケン・ドラムも光ってました。おお、耳飾りにクロワッサンが増えたぞ!?


「おお!? 何が起こった!?」


 って、うわっ。ルグスどっから出て来たの!? しかも今光ってたよな。ルグスも加護貰えたの?

 にゃんだー探険隊追ってきたらしいルグス。ようやく捕まえたと、にゃんだー探険隊を持ち上げた瞬間身体が光り輝いたらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ