その助っ人の出現を僕らは知りたくなかった
「あははははははっ!」
メイリャさんの狂気じみた笑い声が鳴り響く。
走るメイリャだが、地上からメイスを投げるくらいしか出来ないので闘いは難しいようだ。
他のメンバーも魔法優先に切り替え、空高く舞うヴィゾフニールに攻撃を与えて行く。
しかし、決定打に掛けた攻撃に加え、空からの連撃は光の柱。まさに光の速度で迫る連続聖攻撃にセキトリが、ジョナサンが、ニンニン君がふっ飛ばされる。
皆逃げまどうことに必至で、唯一直撃を与えられるテッテも相手の攻撃が激し過ぎて逃げに徹せざるを得なかった。
ユイアが避けそこない光の直撃を受ける。
咄嗟に首だけを避けた御蔭でアホ毛の安全は確保したものの、身体は直撃したせいか全身焼け焦げた。
「ユイアーっ」
「だ、大丈夫、すぐ回復するから逃げてバルスッ」
「アホ毛……お前を置いて逃げられるか!」
「バルス……」
ユイアが感動してるとこ悪いんだけど、今絶対アホ毛って言ったよね。ユイアよりアホ毛優先だったよね?
ユイアイコールアホ毛だから問題ない、のか?
「光だけでは倒しきれんか、ならば、これならばどうだ!」
ヴィゾフニールが羽ばたきを始める。
光の連撃を避けていたメンバーは強烈な豪風に足を取られ回避に支障が出始める。
光の直撃を受け戦闘不能になるメンバーが出始めた。
クルルカ直撃したぞ!? 焼け焦げたけど生きてるのか!?
「安心しろ。全て手加減を乗せて放っているからな」
安心できねぇ!?
倒れたメンバーはアルセがんしょんしょと引っ張って安全エリアに避難。魔法弾で回復させて以後見学させてます。
「あー、負けてしまいました。光で焼かれる感覚は二度と味わいたくないですね……」
「全くだ。ごめんなクルルカ、力に成れず」
先に沈んだセキトリが頭を掻く。しかしそんなセキトリにくっつくクルルカ。
「仕方ありません。守ってくださいましたし。四聖獣自体強いし手加減されてるみたいなので負けても笑っておきましょう。問題はこの敗北を次に生かす事です」
ち、あのまま焼却さればよかったのにバカップルめ。
「あー、もう、卑怯ですよあれ! リファイン隊長に怒られるっ」
メイリャも負けたか。アニア共々アルセに回復されて応援に回る。
うん、なんだこれ? 闘いというか、運動会でもしてたっけ?
セネカ、ローア、コータ、アンサー、マクレイナと次々敗北していく。
アンサーはもう少し粘れたはずだけどマクレイナ庇って二人揃って光りに穿たれてた。
あ、テッテが散った。
守ってくれるローアとコータが居なくなったから仕方無いか。
あれ? ハイネスいつの間に横に?
ルクルお帰り~。
これで残ったのは リエラ、ブラック・アニス、メリエ、マホウドリの四人だけ。
早っ!? もう四人になってる!?
というかそこにしれっと混じってるブラック・アニス。なんか知らないけど普通にリエラとツートップ張ってるのってなんで!? リエラがジャンプ攻撃を行う際にアニスさんが彼女に抱きつき一緒にジャンプ。
リエラが攻撃して落下を始める時にリエラを踏み台に飛びかかり、ヴィゾフニールに爪で攻撃。彼女の爪、フ○ディみたいに鋭くなってるから切り裂くだけなら普通の剣より強そうだ。
そして二人の隙を埋めるようにメリエとマホウドリが魔法で攻撃。
あ、メリエさんが光に呑まれた。
これで三人。しかしヴィゾフニールはまだまだ元気そうだ。
「これはちょっと、マズいかもなぁ」
見守ってたパルティが腰を浮かせた。
どうやら助っ人参戦するようだ。
しかし、それを見たアルセが羽根笛をピィーっと鳴らす。
アルセ、それって確か……
リエラが光の直撃を受ける。
焼け焦げながらも気力で立ち上がり剣を握るリエラ。急速再生が行われリエラダメージ無しに……やっぱりリエラ、絶対ニンゲンじゃ無くなってるよね?
「クェア――――ッ!!」
そして、そいつは音速越えてやってきた。
アルセの願いを聞き届けるために、仲間の危機を救うために。
エアークラフトピーサンが驚くヴィゾフニールに急速接近。そのまま頭から追突する。
「ごあぁっ!?」
「クェア!!」
衝撃をなんとか受け流し、体勢を崩したヴィゾフニールの頭を掴み、思い切り急降下。
私もアルセ姫護衛騎士団だと叫ぶようにヴィゾフニールを頭から地面に叩きつけた。
「すごっ、巨鳥対戦だ!?」
アニアの驚きに皆が歓声を上げる。
がんばれーエアークラフトピーサン。負けるなピーサン。
仲間たちからの応援を背に、エアークラフトピーサンが咆哮する。
私に任せろ。そう叫ぶようなエアークラフトピーサンに、光の柱が襲いかかった。
「ギェーッ」
直撃受けてるじゃん!? どうすんだエアークラフトピーサン!?




