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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その二人の子供がどんな姿になるのかを僕らは知らない
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その妖精郷へ向う新メンバーがいつ加入したのかを皆は知らない

 アメリスに別れを告げて、僕らは最後の四聖獣がいるらしい妖精郷ユグドラシルへと向かうことにした。

 アメリス邸でアマンダが落ち着くまで二日程過ごしてたんだけど、結局アマンダは落ち着きを取り戻せないままで、時間も迫ってるとメリエさんがせかすので、彼女は居残り、そのうち海に戻すことになった。


 その関係で彼女に水魔法を定期的に掛けなきゃいけないギリアムが居残り決定。

 なんかよくわかんないうちにアマンダとの距離が急接近しているギリアムさんは付きっきりで彼女の世話を焼いていた。

 まぁ、そのまま放置しても問題ないか。ということでアメリスとミルクティに全て任せて僕らはエアークラフトピーサンへと乗り込んだのである。


「で? 何よこの子?」


 ぬくぬくですよ? ふわふわですよ。らぶりーですよ?

 僕は今、大変満足してます。

 僕は今、幼女を抱きしめてます。

 否、これを幼女と言っていいのかどうかわかりません。


「ぺん」


「……で、何よこの子?」


 ジト目のアカネが見つめるのは、僕、リエラ、パルティに抱きしめられて死んだ魚のような目をしたペンペンたんだった。

 人類未踏区に生息していたペンギンのキグルミを着た少女のような姿を持つ魔物である。

 注意すべきことは偽人ではなく魔物という点だ。

 つまりキグルミに見えるけどこれは女の子の顔を持つ人面ペンギンなのである。

 死んだ魚のような目になってるのは仕様というか最初からずっとこんな顔でした。決して僕らにちやほやされて辟易されてる訳じゃないのである。


 顔付きだけ見たらネフティアに似てる気もして来るこの魔物は、アルブロシアを食べたせいか何かよくわからないうちにネームドモンスターに変化してました。

 名前はペンネというらしい。ペンペンたんのペンネちゃんである。むしろここはペンペンたんのペンネたんと言うべきだろうか?


「可愛いですよねペンネちゃん」


「あーもー、このもこふわ具合がたまんないわ。にっちゃうの抱き心地に匹敵してるっ」


 初めは乗り気じゃ無かったリエラとパルティも、ペンネを抱っこさせただけでこの陥落である。

 ほら、アカネもどうぞ。

 リエラとパルティを引き離し、僕からアカネにペンネをプレゼント。


「な、なによ。抱き上げろって……うぅ、なんて破壊力」


 癒し効果抜群のペンネに、呻いたアカネ。そのままペンネを抱きしめ頬ずりを始めてしまう。

 なんやかんやで疲れ気味のすり減った精神力ではペンネの癒し力には抗えなかったようだ。

 ふふ、ちゃんとアメリス邸で風呂に入れてしっかりリエラ達に洗われたかいがあったな。


「たん……」


 もうどうにでもするがよい。と疲れ切ったような声がペンネから漏れる。

 アルセが苦笑いしてるよ。連れて来てごめんね? みたいな顔してます。

 実はこのペンネ。僕がアルセに無理言って捕獲して貰ったマスコット予定のキャラである。

 もふもふサイコー。でも男が抱きしめるとおまわりさん案件にしか見えないのが難点だよね。


 アカネが陥落している間についにユグドラシルへと辿り着いたエアークラフトピーサンが降りれそうな場所を見つけてゆっくりと着地する。

 クエーと声を轟かせ周囲の魔物を遠ざけると、口を開いて皆の出撃を促す。


「んじゃ、出ましょうか。あの、アカネさん?」


「……はっ!? え? もう着いたの!?」


 力が緩んだ瞬間アカネからペンネを救出。

 ペンネは僕がアルセから貰ったペット枠なんだからね。返してください。

 吾輩はペットではないのだが。そう抗議するように視線を向けて来るペンネ。可愛かったので頭を撫でておく。そんな畜生を見るような嫌な顔しないで? あ、それが素の表情だっけ。


 ぞろぞろと皆が地面へと降り立つ。

 背後からルクルの視線が突き刺さるが、彼女も僕とペンネについては何も言わない。当然、真っ先に彼女は陥落済みだ。

 ほらルクル、ペンネたんだよー。


「る、るぅぅ!?」


 ペンネをルクルに預ける。

 最初こそ戸惑うものの、抱き心地の良さにとろんと顔を歪ませるルクル。ふふ。どうよこの抱き心地。抗えまい。ぬいぐるみみたいだから女の子が抱きしめてると映えるなぁ。あの諦めムードな諦観極めた視線さえなければ。


「んじゃ人数確認、名前お願いします。リエラ居ますっ」


 全員自分の名前を告げて行く。

 アルセ、リエラ、ペンネ、ルクル、パルティ、アカネ、アニア、ローア、マクレイナ、コータ、テッテ、バルス、ユイア、アンサー、落ちこぼれニンニン、ジョナサン、メイリャ、セキトリ、クルルカ、ハイネス、セネカ・セガール・ぺズン。マホウドリ、メリエ。


 のじゃ姫はアメリス邸に戻ったことでそのまま行くのメンドイのじゃ、と居残り決定。レーニャとワンバーちゃんものじゃ姫と一緒に残ることにしたようだ。

 至高帝もハロイアの元に戻ったことで冒険に出づらくなったようで今回はお留守番のようだ。


 ルグス、にゃんだー探険隊、はすでにいません。

 一番槍とばかりに森の中入ってっちゃった。ルグスがいるから大丈夫だと思うけど。

 ま、あいつらは気にせず行くとしますか。

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