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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その一番の被害者を僕らは知りたくなかった
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その配りきった少女を僕は知りたくなかった

「なんですかねこの実」


「美味しいですわね」


 クアンティとカルアがアルブロシアを齧ってます。

 葛餅三銃士と呼べる彼らは、あ、ついでにラーダさんは無言で食べてるよ。とにかく彼らは葛餅にひっついてやってくると、アルセから貰ったアルブロシアを何の警戒も無く食べやがった。


 ついでにキキルと魔王ファラムもやって来て双方アルブロシアを貰ってその場で食べ始める。

 畜生、甲殻類の癖にイチャイチャしやがって。

 ランドリックたちも来たし。クライアさん、フィックサスなんかやめてさぁもっと役立つお兄さんどうよ? ほら、僕とか。見えないから嫌? ですよねー。


 ランドリックの側にはライカさん。たまたま遊びに来てたらしい。

 なんか今日はたまたま出会う人が多いな。ライカさんとかトパーズァちゃんとか。

 あ、葛餅がサリッサさんにアルブロシアあげてる。なるほど、食べれないのに貰ったのは彼女にあげるためか。

 いいのか葛餅、自分の彼女を変質させちまうぞ? というか葛餅相手に彼女とか、僕もだいぶ毒されてるな、はは。え……妻? は? コルッカ国王を後見人に葛餅と結婚しちゃいました? はぁぁ!?


 いろんな意味で頭のねじ吹き飛んだサリッサさんが楽しげにアルセとルクルに告げる。

 アルセは笑顔でオメデトーとジェスチャーし、ルクルは人と魔物の結婚を聞いてチラッチラッと僕を見て来るけどさ、突っ込もう? 誰かいろいろツッコミ入れよう。これは多分ツッコミ待ち案件だよ。


 食堂で配り終えたらしいアルセは嬉々とした顔で次の場所へ。今度は教員達がいる職員室に殴り込みらしい。

 無遠慮に入り込むと、丁度食事中のおっさんたちがなんだ? と視線を向けて来る。


「お」


「おやおや。久しぶりさねアルセ」


 誰だっけ、えーっと、ああ、ボナンザ先生だ。しわっしわの悪い魔女にしか見えないお婆さんがにこやかにほほ笑み近づいてくる。

 そんなボナンザ先生にアルブロシアをおすそわけ。


「くれるのかい?」


 食べて食べて。とジェスチャーするアルセ。

 困った顔ながらも食事時ということもありボナンザ先生がシャクリとアルブロシアを食べた。その刹那。


「おごおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」


「ぼ、ボナンザ先生!?」


 突然の絶叫に先生達が立ち上がる。

 光り輝くボナンザ先生。

 その姿、曲がった腰がぐいぐいっと真っ直ぐになり、そして……若返った。


 ……若返ったーっ!?

 アルブロシアを食べた老婆がなんかむっちむちのお姉様になったんだけど、これどうしたらいいの!? めっさ色気ムンムンのお姉さんだ。老婆ルックなのが微妙だがそれでも溢れ出ん色気が周囲の男性の眼を逸らさせる。否、殆どの男性陣が彼女の胸に釘付けだ。さすがデカメロン。


「あら、まぁ。なんだいこりゃ。若返りの木の実? タイソエイだかなんだったかを手に入れたのかい?」


「お?」


 それはアルブロシアです。多分若返りは副次効果であって主効果は別だと思うよお姉様。


「お」


 そして他の教員たちにもアルブロシアを配りだすアルセ。


「い、いいのかね? こんな貴重そうな実を我々全員になど」


 食堂で生徒達に配りまくってたから気にするほどではないと思います。


「お、おおお、これは!? これはあぁっ!!」


 バーコードだった教頭先生の髪がふっさふさになった。あれは金○先生の真似ですかね。なんですかー。とか言ってみてほしい。


「むぅ、体感速度が上がった?」


 肉体派のピルグリム先生やオルステイン先生にも謎変化。校長先生は口や目、耳から怪光線だしてうーまーいーぞーとか言ってるし、大丈夫かここの教師陣。


「お」


 用事が終わったようでアルセがお辞儀一つして退出。

 またいつでも来なさい。とボナンザ先生がにこやかにほほ笑む。

 元老婆だったのにこれは凄い。

 ……Gババァに食べさせたらどうなるかちょっと気になるな。アレも綺麗なお姉様になったりするんだろうか? いや、元が元だから期待はできそうにないな。


「るー?」


 用事は済んだ? と尋ねるルクルに、んーっと考えるアルセ。

 考えてる姿が可愛らしいので激写。


「お!」


 もう行くところは無いらしい。アルセは冒険者学校から出てアメリス別邸へと向かいだす。


「る~♪」


 どったのルクルさん? あ、お目付け役終わったから二人でデートでもしようってことかな?

 でもアルセが家に帰るまでがアルセ保護です。

 ちぇっとルクルが項垂れアルセの後を二人で歩く。

 少し考えたルクルさん、これはこれでまぁいいか? と謎の納得をしたようで、僕の横を楽しげに歩く。鼻歌もルールーなのが何とも言えないけど、楽しそうだからいっか。


 結局アルセがしたかったのは皆にアルブロシアを配ることだったみたいだけど、何のためだったのか僕にはよくわからない。メリエとなんだか結託してるみたいな様子だし、大丈夫だよねアルセ? 何か悪いこと教わってないよね? 

 僕は心配で溜まりません。

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