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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その火山の山頂を僕らは知らない
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A・E(アナザー・エピソード)・その供物たちの邂逅を僕は知らない

「きゃああああああああ!?」


 その日、リフィが海を漂っていると、その意味不明な存在は悲鳴を上げながら彼女へと近づいて来た。

 リフィの眼が確かなら、鼻水垂らしながら全力で泳ぐその姿は、ニンゲンであった。

 追ってきているのは巨大な魚だ。ハンマーヘッドマグロというマグロだったと思う。


「もーいやぁぁぁぁっ。こんな生活いやぁ、おうち帰してえぇぇぇ」


「えーっと、何あれ?」


 リフィ自身リヴィアサンの娘ということもあり、クラゲ娘なため透き通った身体という変わった身体を持っているが、この深海にニンゲンがいることの方が不思議であると言える。

 そもそも何十トンにもなる圧力を受けながらも人の形を保てているのが凄いとも言えるのだが、クロールで素早い動きを行い魚から逃げ切っているのがまたすごい。


「た、助けてぇぇぇ!!」


 リフィに向かって逃げ込んで来た女性が叫んだその瞬間だった。


「ひゃっ!? なになにこの光!?」


 突然リフィの身体が光を放つ。その光景を、彼女は本能的に察した。


「まさかコレ、魔物に噂のテイム!? マズ……あああぁぁっ!?」


 光が強まる。抗うことなど出来なかった。

 逃げている女が無我夢中でリフィをテイムしてきたのだ。

 悔しげに呻くリフィ。完全な油断だった。否、むしろ自分をテイムしようとする人間がいるとも思えなかったために油断していた。


 脳裏にリエラたちの顔が浮かんでは消えて行く。

 これからはもう、この女のテイムモンスターとして生きなければならないのだ。どんな未来が待っているのか絶望に染まる。


「透明人間さん、助け……あれ?」


 ―― アマンダをテイムした! ――


 一瞬視界に変な文字が現れた。

 自分の知ってるニンゲンの文字だ。

 気のせいだろうか。アマンダにテイムされた。ではなくアマンダをテイムしたらしい。


「え? どゆこと?」


「助けて! お願い! 何でもするから!!」


「え? えーっと。まぁいいですけど」


 アマンダというらしい女性がリフィに追い付き彼女の背後に回る。

 戸惑いながらもリフィは近づいて来たハンマーヘッドマグロに痺れる一撃を叩き込んだ。

 マグロは悲鳴を上げながら逃げだす。

 魚というものは基本攻撃を受ければ慌てて逃げ出すものである。


 縄張りを荒らしたり、相手が攻撃上等だった場合はこれだけでは追い払えないが、食料を追って来る雑魚であればこれで事足りる。これがサメやシャチだった場合は逆に仲間を呼ばれて多対一の闘いに突入するため、リフィといえども彼らに追われていたら面倒事にならないうちにアマンダを切り捨てて逃げていただろう。


「あの、ニンゲン、ですよね?」


「ええ。元ニンゲンよ。私はアマンダ。今はにっくき悪魔どものせいでステータスを変えられる呪いを受けてしまってるのよ」


「え? ステータスを変える呪い!?」


「ええ。見てこのステータス!」


「いや、見てと言われても……あ、待てよ」


 そう言えば、と思い出す。この前マイネフランを訪れた際セインという女性から貰った防水性魔物図鑑があった。


アマンダ・岩感

 種族:自立野菜 クラス:魔法使い・魔物使役され者

  自立野菜:自らの意思で歩き出した野菜。食べれます。

  魔法使い:30年童貞を貫いた者だけがなれると言われる存在。

  魔物使役され者:魔物に使役される存在

 装備:大詐術師の衣、契約切れの指輪、屁扱石のイヤリング、蛙の油杖

 スキル:

  集目:衆目を集めることが出来る。目立ちたい方へのスキル。

  芳香:気合いを入れる事で良い匂いを尻から放ちます。

  モンストアッパー:使役されている魔物のステータスを上昇させます。

  鼻フック:鼻フックを放ちます。

  モンスターにテイム:自分を使役してくれる魔物を勧誘します。

 常時スキル:

  Reゴブリン:ゴブリンに大人気。

  鍋こそ我が人生:鍋物を食べることでHP・MP・TPが全回復。

  電磁バリア:電力力場を形成し、おぽNuえあ。

  地中移動可:地中で生息できます。

 種族スキル:

  冬眠:食料を蓄え冬眠します。

  鰓呼吸:水中での活動を可能にする代わりに陸上生活ができなくなる。

  食材取得率Up:解体することで相手から食材を得やすくなります。

  金糞:排泄物も全てお金に変える価値があります。


「……うわーお」


「もう、なんなのよこのスキル! このせいで地上で生活できなくなって、海中でしか生きられないのよ。攻撃スキルも無くなってるし、召喚能力も召喚され能力になってるし」


 なるほど。っとリフィもようやく得心いった。先程リフィに掛けられた強力なテイムスキルは、テイムするというスキルから呪いでテイムされる能力として発動したため、アマンダを強制的にテイムしてしまったようだ。


「復讐がしたいの! お願い力を貸して!」


「復讐って……うーん。まァいいですけど。私も忙しいんですよ。海魔の王様たち協調性ないからお母様に任された場所の平定がまだですし。今はトコカカに生息しているプレシオさんの元に行く途中なんですよね」


「手伝うわ。だから私の復讐も手伝って!」


 お願いしますと海中で土下座するアマンダ。変なの拾っちゃったなぁっと頭を掻きながらもリフィはアマンダを連れてトコカカへと向かうことにするのだった。

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