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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その火山の山頂を僕らは知らない
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その借りて来た猫を彼らは知りたくなかった

「くぅーん」


 犬、ではありません、まさかのアクセルタイガーです。

 今、気絶から起き上がったアクセルタイガーはパルティ向けてお腹見せて服従ポーズを行っていた。

 完全負けを認めたようだ。


「いや、あのね。待ってアクセルタイガー。私は別にそういうの求めてる訳ではなくてね?」


「はっ! すいやせん姐さんっ! おいらぁあの一撃に運命感じやした! 姐さんこそ我が御主人! 煮るなり焼くなり好きにしてくださいっ、姐さんの御命令とあらばこのアクセルタイガー、天界だろうが魔界だろうが神界だろうがカチコミ行う所存ッス!!」


 今までの厳かな態度はどこ行った? それくらいへりくだったアクセルタイガーは服従ポーズを解除するとパルティに擦り寄り頬ずりし始めた。

 まさか拳骨一つで沈められるとは思いもしなかったようでパルティの凄さに完全服従してしまったらしい。

 ウザそうなパルティだったが、こいつからいろいろ貰わなければいけないので溜息吐きながらも告げる。


「ほら、あんたの加護を皆にあげてくれる? あとアルセが欲しがってるのもね」


「はっ! この岩場の上にある木の実ッスよね。任せてください!!」


 しゅぱっと消えるアクセルタイガー。岩場を稲妻のように駆け上がり、見る間に見えなくなった。

 特に透明だから目で追いづらいんだよね。

 少しすると小さな木の実を咥えて戻ってきた。


「ほらよ嬢ちゃん。こいつでいいか?」


「お!」


 アルセが木の実を受け取り口に放り込む。

 迷いなくいったねアルセ。それアクセルタイガーが咥えてたからきちゃないよ?

 って、アルセ、なんか透明なってる!? まさかアクセルタイガーの唾液で特性貰っちゃったの!?


「ちょ!? アルセが透明に!?」


「おおぅ!?」


「あ、戻ったです」


 驚くマクレイナに焦るアクセルタイガー。テッテの言葉が出る寸前に元の緑の肌へと戻った。


「お!」


 行くよーっと。

 アルセが走りだす。

 なんだ? と思っているとアクセルタイガーを思わせる速度で岩場を飛び上がって行く。

 うそん!? アルセ何その身体能力。やっぱりアクセルタイガーの特性手に入れたでしょアルセっ!


「う、うーん? 不燃樹神にあんなスキルあったっけ?」


 メリエさんが小首を傾げる。

 ああ、このスキルが欲しかったのか。

 アルセを魔物図鑑に再登録。不燃樹神の神格・植物の天敵火炎属性無効化、不燃属性を得る。発熱保温属性で冬もあったか。という説明欄が増えてました。

 あと速度が異常に上がってたのと透明というかスニーキングスキルが大量に……


「では後は加護でしたな」


 ぴかぁっと光を放つパーティーメンバー。やっぱり数人だけで全員に加護が付く訳じゃないようだ。

 今回加護がついたのは、えーっと?


「れにゃぁ?」


「おわっと、ローアの次は僕か!?」


「忍!?」


「やった。アニアちゃん二個目げっちゅー」


 コータ、レーニャ、ニンニン、アニアがまずは光を放った。ニンニンとアニアは二体目だ。


「ひゃわ!? え? また加護付いた!?」


「あ、僕もみたいですね。何貰ったんだろう?」


「あは。分かってますね聖獣様。私は炎の加護ですね」


「バーニング! おお、新たな踊りの可能性が、見えるっ!?」


 遅れて光を放ったのはセネカ、ハイネス、メイリャ、ジョナサン。

 しかしハイネスは補助魔法だったようでまたいらないのがっ!? とか聖獣様の加護に酷評していた。アクセルタイガー、あいつになんで加護あげちゃったの?

 そして炎を噴き出しながら踊りだすジョナサン。あぽーぅとか叫びながらファイアーダンスを始めてしまう。

 あ、そっか。アクセルタイガーって素早かったから風かと思ってたけど火山地帯に住んでるみたいだし火属性だったのか。


 どうやら加護を手に入れたのは彼らだけのようだ。

 影からニンニンが火炎を身に纏い遊んでいる。

 どうやら今までどうあっても出来なかった火遁ができて喜んでいるようだ。


「コータが炎で私が土かぁ」


「ローアさんローアさん私も土ですよ!」


「一緒ねテッテ。ふふ。これからはお姉さんって呼んでくれていいのよ? 義姉でもいいわ」


「え? えーっと。ローア義姉さん?」


「あーん可愛い。コータ共々お持ち帰りしたいっ」


「おいおい……」


 ローアはどんどん深みにハマってるなぁ。姉さん女房予約されたコータはなんというか、頑張れ。あ、でも幾ら襲われたからって肉体関係はまだ早いぞ少年。爆死されたくなければ手は出すなよ。


「よし、二体目もなんとか終わったわね」


「そうですね。あの、どうしましたアカネさん?」


「なんで私には加護付かないのよ!?」


「そ、それは私に言われても……」


「お前は炎との相性が悪かったのだろう。それだけのことだ」


 アクセルタイガーに冷たく突き放されうぐっと唸るアカネ。確かにアカネさんの場合は炎というよりは……闇? あ、四聖獣に闇は無いぞ? じゃあもうアカネさん一つも貰えないんじゃね?

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