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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その火山の山頂を僕らは知らない
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その特性盛り過ぎな虎を彼らは知りたくなかった

「タングスタートルみたいな問答は無かったわね」


「むしろ魔物一匹すらでてきませんでしたね」


 メリエとリエラの言葉通り、洞窟内は一本道であり、魔物の影すら見えなかった。

 皆しばらくは警戒してたんだけど、あまりにも出て来ないので一時間過ぎたぐらいからリラックスし始めていた。

 といってもリエラだけはしっかりと索敵してたけど。


「来たか」


 荘厳な扉を開くと、そいつは待っていたとばかりに声を掛けて来た。

 おお、タングスタートルよりも言葉が流暢だ。

 にしても……なんだここ、すごっ!?


 扉を開けたら外だった。

 いや、外という訳じゃ無くダンジョン内なんだってことは分かるんだけど、これは凄い。

 壇上に連なる岩の群れ。その最初の一段目に前足を付け、三段目位にもう片方の前足を付け、斜め上に足を付けている巨大な虎がこちらを睥睨していた。

 岩の群れは大量で、見上げれば黒く見える空の先まで岩が連なって見える。

 階段状の場所で器用に動きまわる虎は、その容姿も異様であった。


 透明なのである。

 なんというか、クラゲみたいに透き通った身体のようだ。でも内臓は見えない。

 普通に動く分には判別可能だが、速度が上がってくるとあの身体は捉えにくくなる筈である。


 しかも、このステージに用意されている岩の群れからしてここを素早く駆け上がったり降りて来たりするはずだ

 ここまでくるとこいつもチート臭が酷いな。


「皆さん用意はいいですか?」


 リエラの言葉に皆が頷く。

 アクセルタイガーも気付いたらしく、迎撃の構えを取る。


「よかろう。我を認めさせてみよ」


「行きます! ステータステラブースト」


 まずはリエラが走りだす。

 高速移動で迫るリエラ。しかし、アクセルタイガーが飛び退く。

 真上の石段に着地してリエラから距離を取ったアクセルタイガーが一拍おいてリエラに襲いかかった。


「予想どおり、ルクル!」


「るーっ!」


 ルクルが待ってましたとディッシュブーメラン。

 さらにアニアが足止めを行って来る。

 リエラに飛びかかったアクセルタイガーに全てが当る、その刹那。

 アクセルタイガーの姿がブレた。


「なっ!?」


 驚くリエラの視線が向かうより先に稲妻の軌道を描き、ユイアへと突撃するアクセルタイガー。

 まさか自分に来るとは思っても居なかったユイアは無防備でアクセルタイガーの突撃を受ける。

 タングスタートル程ではないとはいえ超重量級のアクセルタイガーの体当たりを受けたユイアが吹き飛び入口横の壁にめり込んだ。


「ユイア!?」


 バルスの驚きの声、その間に既にアクセルタイガーは残像残して動き出す。


「がぁ!?」


「きゃぁ!?」


「嘘ッ!?」


 最初の一撃で至高帝が放物線描いて空を飛ぶ。

 そこに皆の視線が行くより先にマクレイナがふっ飛ばされた。

 咄嗟にアンサーが庇った御蔭で彼も吹き飛び、しかしマクレイナを庇った御蔭か自身もダメージをそこまで受けずに壁に激突した。


 最後にアカネが掬いあげのタイガーアッパーを喰らい天高くふっ飛ばされた。

 物理吸収物体なので問題は無いけど、アクセルタイガー速過ぎじゃね?

 落ちこぼれニンニンが無謀にも走りだす。印を結んで土龍召喚。

 パンッと手を叩いて地面に手を付いた瞬間彼の真下から土で出来た龍がせり上がる。


 こ、コレが龍虎相打つの図か!?

 だが、アクセルタイガーが速過ぎるせいで土龍が動くより先に切り刻まれ土塊へと変化してしまった。


「忍!?」


「甘いぞ小童」


 土龍の上に居た落ちこぼれニンニンが落下。崩れゆく土塊を足場に空を掛けるように飛び上がったアクセルタイガーが彼を両手でキャッチしてそのまま地面に投げ捨てて来た。


「にーん!?」


 ちゅどーん。なんてことは起こらず、セキトリが召喚したマターラが影からニンニンを優しくプニンと受け止める。

 中性子爆発はしないらしい。運が良かったなニンニン。あとセキトリ、ちょっと後でお説教だ。


「遅過ぎるぞ貴様等」


 壁を床を、岩山を蹴りつけ物凄い速度で移動するアクセルタイガー。

 気付けば少しずつ人数が減っている。

 コータがいつの間にか顔面から地面に埋まっている。

 慌ててローアが引き抜くが、その背後に居たアクセルタイガーの一撃を受け、コータ諸共壁に叩きつけられていた。


「うぬれ……うぬれぇいアルセ神様に害を成す愚か者め! 我が鉄槌を喰らえぇぇっ」


 ステファンさんが暴走、その横をメイリャが走り、二人の狂戦士がタッグバトルを挑み始めた。

 しかし高速移動するアクセルタイガー相手では彼らの頑張りも無効と言わざるをえない。

 挑み方はいいのだが、挑む相手が悪過ぎる。

 一瞬で二人の背後に回ったアクセルタイガーが腕を一振り。


「相変わらずえげつないわね……」


 沈黙したメイリャとステファンを眺め。パルティは頭を掻いた。


「しゃーない。手伝いますか」


 見かねたから参戦だね。一人だけチート化極めたみたいだし、アクセルタイガー相手でも負けないんだよね! 期待してるよパルティ!

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