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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その火山の山頂を僕らは知らない
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その集まる理由を彼らは知らない

 中腹に辿りつける気がしない。

 山の中腹はまだまだ小さく見えるだけである。

 何故かと言えばキツい山道に加えて複雑に流れ落ちて来るマグマの川に道が分断されていたり、魔物が出現したりと、なかなか進まないのである。


「結構歩きましたね」


「普通に歩くだけならもう着いてるわよね」


「魔物多かったですし、分断されてる道を遠回りしたりで時間取られましたからね」


 そろそろ五時間は経っただろうか? あと二時間も掛からず目的地には付きそうだけど……その洞窟に来てからも洞窟探索があるんだよね。

 その為リエラ達も協議を行い、少し広めのなだらかな場所で休息を行うことにした。

 しかし、なんていうか昇りづらい山だなぁ。


 まぁ、僕の居た世界でも山登りは大変だったし、結構死と隣り合わせだったみたいだけど。

 高山病とかはまだ気配もないけど、リエラ達大丈夫かな?

 気分悪い人居たら言ってね。状態異常回復魔弾を……アルセっ、高山植物食べて謎進化しないでっ!? それって多分高地でも普通に活動するために食べたんだよね?


 これでアルセの血を飲めば高山でも病に掛からず活動できるようになるとか?

 アルセの進化が止まりません。

 その内宇宙ですらも制するんじゃなかろうか? アルセが謎過ぎて恐い。

 まんじゅうくらいにアルセが恐いぜ。アルセ怖いアルセ怖い。


「魔物が来ないかは私が見とくわ。リエラは休んだ方がいいわよ」


「ですけどパルティさんも疲れてるでしょうし……」


「あんたのが疲れてるでしょ。精神的に一杯一杯なのは分かってるわよ、ほら休め休め」


 パルティに促されてリエラが横になる。余程張り詰めていたらしくそのまま寝入ってしまった。


「はや……リエラ、よっぽど疲れてたのね」


「そりゃそうでしょう。皆を纏めるっていう重圧に絶えず苛まれてる訳だし、戦闘中も皆の動きを見てたわ。的確な場所に指示を出したり、フォローするためにね」


「え? リエラさんそんなことしてたです!?」


 気付いていなかったらしいテッテが驚く。

 他にも気付いていなかったメンバーがいたようで、驚きを露わにしていた。

 リエラ、結構リーダーしてるんだよ。ちょっと頼りなくは見えるけど頑張ってるんだ。


「自分も闘いながら周囲にも指示を出して不意打ちにも警戒する。常時でも常に警戒を怠ることなく意識を集中させながら普通の会話もそつなくこなす。ほんと、リエラったら凄いよね」


 パルティが羨ましいとでも言うように息を吐く。

 敵わないなぁ。と溜息が洩れていた。


「じゃあ、今のうちに出来るだけ休ませてあげるです」


「それが良いわね」


 皆さん休憩タイムのようだ。ルクルがカレーを配り、アルセとジョナサンが踊りだす。

 のじゃ姫はワンバーちゃんの上で惰眠を貪り、レーニャ改めネズミミックの頭を出したままのニャライムもワンバーちゃんの横で眠りに落ちる。


 ローアとコータ。マクレイナとアンサー、セキトリとクルルカが隣り合って座りカップリングでイチャイチャし始め、ギリアムが所在無げに本を読むハイネスの横に座り込む。

 ハイネス近くに居たメイリャとセネカに話しかけ、そのまま二人と会話を始めていた。ええいリア充め。会話の入り方が自然過ぎて嫉妬するわっ。


 影からニンニンはルグスと共ににゃんだー探険隊のお世話をして、ユイアとバルスがメリエと会話している。

 どうでもいいけどステファンと至高帝とマホウドリはジョナサンの踊り見て拍手してます。

 って、マホウドリここにも来てた!?


「る~」


 カレーを配り終えたルクルが汗を拭きながら僕の隣に座る。


「る~る~」


 そしてご機嫌にるーるるるるるーと三角座りで左右に揺れながら鼻歌? を歌い出す。

 気のせいかな、それって狐を呼ぶ奴じゃなかったっけ?

 あ、ほら、ルクルが呼ぶから狐来ちゃったじゃな……狐!?


「あら、ステファンさん、アレは!?」


「ん? おや、カルネージフォックスですね。溶岩で出来た狐です。溶岩の中に住んでいるので近づかなければ害はありませんよ?」


 ルクルの鼻歌に誘われただけのようだ。

 ルクルさん、やっぱりそれ、やめよう。なんか一匹だけじゃ無くわらわら寄って来たんだけど。


「な、なんか凄い集まって来たわよステファンさん」


「そのようですな。アルセ神様にお目通りでも行いに来たのでしょうかね。アカネさん、挨拶でもしてやればいかがです?」


「いや、やらないから……ま、まぁ襲って来ないならいいのかしら」


 しばし集まって来ていた狐たちとにらめっこするアカネ。

 しばしそのままにしていると、ルクルの声が途切れると同時にカルネージフォックスたちが散って行った。


「結局、何だったのかしら?」


「さぁ? やっぱりアルセが珍しかったんじゃないです?」


 そして真相は誰にもわからないのであった。

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