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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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その外の結果を僕らは知らない

「では、次に向かいましょうか」


 メリエが促す。

 いや、もうちょっと色々あるでしょ。

 パルティ帰って来たんだよお祝しなきゃ! それにタングスタートルもまだ何か言いたそうにしてるし。

 あとツバメさん倒れて兼重がおろおろしてるからそのフォローもしなきゃだし。

 あ、メリエさん普通に全部無視して帰りだしたぞ。


「ど、どうするですリエラさん!?」


「どうするも何も、とりあえず負傷者の回復だよ。テッテちゃん手伝って」


 各地で伸びている仲間たちに回復魔弾を打ち込んでいくリエラ達。

 パルティが暇を持て余したようで僕の横にやって来た。

 久しぶりパルティ、元気してた?


「透明人間さん。お久しぶりです」


 同意したいけど今はパルティしかいないから返答が出来ないなぁ。


「あ、返答はいいですよ。とりあえず話聞くだけ聞いといて下さい」


 機先を制する形で告げたパルティ、僕の返答すら聞かず、壁に背もたれ話しだす。


「私、リエラさんと貴方を見てると自分じゃ敵わないなぁって思ったんですよね」


 いや、リエラと僕ってどういう関係に見えたのパルティ? まだ何も始まってすらいないんだけど。


「リエラさんと対等になりたかったけど、前の私には力がなかった。何一つ勝てる要素がなくて、そんな時です。グーレイさんが神界っていう場所に引き上げてくれて、他の神様が面白がって力を与えてくれて……」


 うん? ちょっとパルティ、今一瞬ガラス玉みたいな眼にならなかった?


「ようやく、私も皆と対等になれた気がします。きっとリエラさんとだって肩並べられるくらいには」


 うん、それはむしろ力付け過ぎてかるーく追い越してると思うよ。リエラの実力はこの世界では最強クラスになってるけど、パルティのは世界の枠超えてるし。


「でも、リエラさん、ちょっと見ない間になんだかリーダーって感じになってきてますね。ちょっと、妬けるなぁ」


 そう告げて視線をリエラへと向けるパルティ。

 リエラは皆に指示を出し、未だ気絶している仲間を発掘している。

 皆がリエラの指示を仰いで動いているのがなんとも不思議な気分だ。あのリエラが確かにリーダーしてるなぁ。ちょっと感動。

 父親が直面する娘の頼りにされてる姿のように。謎の感動が僕に湧き起こる。

 ああ、リエラ、大きくなって……いや、親じゃないけどね。


「とりあえず、神様たちはなんか別の世界で捕まったらしい女神の裁判がどうとか言ってたからしばらくは誰も見学しないようになってるから、私が見てたんだけど……どうしよう、戻り方わかんない」


 神々の世界からこちらに戻るのは楽なようだけど、外にある神々の世界に向かう術はパルティには無いらしい。慌ててこっち来てくれたのはいいけどどうすんだろ。


「まぁ、いっか。皆のこと助けられたし。透明人間さん、また、しばらく一緒でも、いい?」


 よろこんで。僕はパルティの手を取って握手を交わす。

 丁度リエラ達も全員快癒できたようで、僕らの元へと戻ってきた。


「パルティさん、遅くなりましたがお久しぶりです。戻って来て下さったんですね」


「ええ。もしかしたらまた神様に引き抜かれるかもだけど、しばらくはこっちに居るつもり。よろしくね」


 そんなパルティが僕と握手しているのを目ざとく見つけたルクルが僕の肩に顎を乗せ「るぅぅ」と睨んで来た。何をしてるのかな~? と責められてる気がして僕の全身が震えました。


「落ち着いたか?」


「タングスタートル……はい。でも、よかったのですか? 私達はほぼ全滅寸前でしたし……」


「いいのよリエラさん。こいつズルしてたんだから。どうせ自分が死ぬことはないからってデバグ状態で無双したかったんでしょ」


 リエラの言葉を遮るようにパルティが口にしながらタングスタートルに歩み寄る。


「それは……その、少し、な」


 認めちゃったよ。そっぽ向いた巨大怪獣、頬を赤らめているようだがよくわかりません。


「もう少しで全滅するところだったわよ。あんたやりすぎ。グーレイさんに報告しとくわよ」


「え、それはちょっと。我消される……」


「知らないわよ。調子に乗ったあんたが悪い。バグらなかっただけマシと思いなさい」


 あの、それって僕のバグの方がグーレイさんによる抹消より恐いってことですかね?

 パルティのあんまりなモノ言いに、僕は抗議すら出来ないでいる。

 こういう時透明だと辛いなぁ。


 パルティによるお小言を貰ったタングスタートルが丸まって不貞寝しだしたので、僕らは来た道を引き返すことにした。

 やることは既に終わってるし、後は帰るだけ、あ、待てよ。確か入口って……

 僕の心配を他所に、入口まで戻ってきたリエラ達。タイミング良くゴゴゴゴと岩戸が開かれる。

 リエラとツバメが顔を見合わせ、直ぐにはっとした。


「「アカネさん!?」」


 岩戸を閉じた人物を思い出し、僕らは慌てて外へと脱出する。


「あ、丁度良いタイミングだったわね。お帰り皆」


「あ、アカネさん。新聞社は!?」


「え? 何言ってるのツバメさん、新聞社? そんなもの、初めからなかった・・・・わよ?」


 笑顔で告げたアカネさんに、僕らは心底恐怖した。

 タングスタートル

  種族:魔カメ クラス:四聖獣

 ・硬質な甲羅を持つ世界を支える四聖獣の一人。ただいまデバッグ中により、無敵設定になっており、相手の動きも事細かに文字表示されているため、甲羅に引っ込んだ状態でも相手の居場所が分かる状態になっている。

  ニンゲンに倒せる存在ではないのは、全て駄女神のせい。本来の耐久値はマターラの攻撃3回程で倒せる。

 ドロップアイテム・聖獣の甲羅、伝説の亀肉、サイ(短剣)、カビの生えたピザ


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