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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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その想像の先へ辿り着いた少女を僕は知りたくなかった

「パルティさんっ!?」


 思わず歓喜に叫ぶリエラ。

 その声を背後に、パルティは迫るタングスタートルを見据える。


「まずは一撃……巨人の槍ティタニウムランサー!」


 虚空に手を掲げるパルティ、その頭上に、タングスタートルに匹敵しそうな巨大なヤリが出現する。

 魔力を固めて作りだした紫電を纏わす凶悪な一撃。

 流石のタングスタートルもこれはマズいと気付いたのか即座に反射結界を発動させる。


 しかし、パルティはそれに気付くそぶりも見せず、思い切り槍を投げ飛ばす。

 パルティ、相手は魔法反射するから魔力をぶつけるの……は……あっるぇぇぇ?

 巨大な槍は跳ね返されること無くタングスタートルの甲羅に突き刺さった。


「嘘っ。あの甲羅を? 私じゃ傷すら付けられなかったのに……」


「この世界でのデバッグ中キャラだから不死身設定と破壊不能オブジェクト化してるのよ。それでも余程意味不明の攻撃を受ければ破損するみたいだけど」


 それはつまり、今の槍の一撃がこの世界の法則をぶち壊すバグ技の一つであることを暗に物語っているといえる。

 憤怒の顔をするタングスタートルに、パルティは溜息と共に声を掛ける。


「四聖獣タングよ。随分と楽しんでいるようだけど、お前は倒されたところで終わる手はずだったでしょう? 何のために破壊不能にしてあると思ってるの」


「ムゥ……ソレハ」


 あー、成る程、神様達が手を離せない間パルティが管理任されてたのかな? 皆がピンチになってたから慌てて上の世界からこっちに来たんだな

 そして戸惑い浮かべるタングスタートル。

 しばし憤然としていた彼だったが。仕方ない。とその場に座り込む。


「イイダロウ。試験ハ合格。ソレデ良イカ管理者ヨ」


「代行者だけどね。それでいいわ。貴方の役目を果たしなさい」


「ヨカロウ。土ト愛情ガアレバソレデイイ。ソウイウモノニ新タナル力ハ身ニ付ク」


 まだ暴れ足りなそうにつげるタングスタートル。

 パルティが来なければ僕らは全滅してたところだ。強過ぎるパーティーとなっていた皆の自尊心は完全に圧し折られたと言っても過言じゃ無い。

 自分たちでも敵わない存在はまだ居るのだと知らされたのは良い結果に繋がればいいんだけど……


 おお、幾人かが光り輝いたぞ。今のでスキルが身についたのかな? 身に付かなかったメンバーは? 結構いるけどこれは仕方ない。今回はタダ働きだったと諦めてくれ。

 そしてアルセ、砕かれたタングスタートルの甲羅の欠片なんか拾ってどうするの?

 あ、喰った!? 今タングスタートルの甲羅片食べたでしょ!? あんな硬いの食べられないでしょ。ぺっしなさいぺっ。


 えーっと、光ったのはローア、テッテ、ニンニン、アニア、ハイネス、セネカ、にゃんだー探険隊、ワンバーちゃんもか?

 他のメンバーは残念、こんな全滅必死の闘い終えたのに力を手に入れることは出来なかったようだ。


「あら、私も土魔法覚えてる?」


「お、おお? 私土属性に親和があったです?」


「忍っ」


「おお、落ちこぼれニンニンが土でできた龍の上に!? よーしアニアちゃんも手に入れた土魔法で対抗を……」


「チッ、なんだよこの地味魔法、いらないぞ?」


「私水属性だと思ったんだけどなぁ、土属性向きだったのかなぁ?」


「わんっ」


 セネカがうーんとうなりながら簡易ゴーレムを作って遊んでます。

 その横ではワンバーちゃんがふんっと力を入れ、のじゃ姫に手に入れたスキル、鋼鉄化を見せつけている。うん、防御力高くなったのは分かったけど、黒金化するのはなんとかならないの? 初見殺しに偏り過ぎだろ。


 もうプリカには食べられないぞ。と喜ぶワンバーちゃん。しかし彼は知らない。自分の目論見がいかに甘いのかということを。

 プリカとパイラの食欲を甘く見過ぎだ。


「お!」


「ワカッテイル」


 アルセに促され、タングスタートルが何かを指し示す。

 アルセはそこへと辿り着くと、なんとそこに落ちていた土を拾いあげパクリ。

 ちょぉぉ!? アルセ、そんなもの食べちゃ腹壊すよ!?


 そしてアルセ更なる進化。頭に生えた花の周囲に王冠……じゃない鉢が出現。緑色の土だろうか? 透き通った小型の土塊が無数に鉢に入り込んでいて、その中心にアルセの花が咲き乱れている。

 アルセの頭に鉢が出現しました。土食べるからぁ……


「やりました。これでアルセは離れた場所で起こった事象を知る術を手に入れました」


「え? どういうこと?」


 メリエの言葉にリエラが反応する。

 僕も知りたいんだけど、メリエ教えてくれそうにないなぁ。


「おっ」


「あら? これは? もしかして手伝った報酬でしょうか?」


 そして僕がメリエたちに気を取られた隙に、アルセはツバメにアルブロシアを手渡していた。

 僕が止めに入る暇などなかった。

 貰った果実をその場でしゃくり。ツバメの意識が一瞬で吹っ飛んだ。邪魔者には毒林檎なのかアルセーっ!?

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