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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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その全滅の危機を僕は知りたくなかった

 無数の悲鳴が轟く。

 鎧袖一触とはこのことか。

 ゴブリンの大軍勢だろうが魔王の群れだろうが撃破すると思われるアルセ姫護衛騎士団が……壊滅した!?


 不規則に甲羅を回転しながら独楽のように縦横無尽に駆け巡るタングスタートル。

 逃げるだけでも一苦労。押しつぶされたテッテは無事だろうか!?

 アルセがヒヒイロアイヴィで押し止めようとするが、なんとこれをぶっちぎりアルセに迫る。


「の、のじゃー!?」


 アルセーっと叫ぶのじゃ姫。そこで彼が覚悟を決めた。


「ワォーン!」


 一声鳴いて、思い切り巨大化するワンバーカイザー。

 アルセに迫るタングスタートルに割り込み、巨大亀VS巨大ハンバーガー犬の激突が……パンが飛び散ったーっ!?

 ルグスがアルセを掻っ攫い、粉砕されたワンバーカイザーから落下したのじゃ姫をベテラン影からニンニンが捕まえムササビの術で緊急退避。


 それでもタングスタートルは止まることなく周囲の敵を弾き飛ばして行く。

 ジョナサンが空飛んだ!? まだまだ死なぬわが死んだ!? 殿中でござるたちがどんどん潰されてくぞ!?

 セネカはぎりぎりオールでガードしたが、壁に背中を打ちつけ血反吐を吐く。慌てて回復魔弾を打ち込んでやる。

 こ、この位は手伝ってもいいよね? というか、バグ、使った方がいいのかこれ?


「マズい、ユイア!?」


「へ、きゃああああああああああ!?」


 ふっ飛ばされたユイア、被りを振るって起き上がった先に迫り来るタングスタートル。

 ぎゃああユイアが轢かれた!? 死んだ? これユイアさん死んだ!?


「あー、びっくりした。死ぬかと思った」


 アレで生きてた!? あ、そっか、ユイアの本体アホ毛だからアホ毛が傷付かない限りダメージないんだっけ。


「るーっ!」


 巨大カレーライスを思い切りぶつけるルクル。

 最初の不規則移動でふっ飛ばされたせいで身体は既に満身創痍だ。

 そのため決死の一撃も軽々ふっ飛ばされる。

 ああもう、回復魔弾、装填の時間すら惜しい大混乱だよ!?


「ツバメ様退避を!」


「何処に逃げろと!? 参戦してしまいましたから逃げても追われます!」


 なんとか札を使ったスキルで今のところダメージなしのツバメだが、その表情はかなり悪い。

 何しろリエラですら壁に埋まったまま動かなくなってるし、頼みの綱が一人もいないのだから。

 ルグスについても大魔法は時間がかかるし、それに……


「ライトニングボルト!」


 ルグスの魔法がタングスタートルにぶち当たる。雷撃なら甲羅の中にも浸透すると思っての一撃だったのだが、タングスタートルに当った瞬間雷撃が弾け飛び周囲に伝播する。


「きゃああぁ!?」


「うわわ、危ねぇ!?」


 ローアに当りそうになってぎりぎりコータがローアを飛び込みで救いだしそのまま二人揃って地面を転がる。

 マクレイナがなんとか止めようと爆竹っぽいのを甲羅の先端部に投げ込むが、回転する甲羅を止めるには至らない。


「クソ! 硬過ぎて武器じゃダメージを与えられない。魔法も反射しだした。これでどう倒せと」


「私の能力でも拡散攻撃が使えないのがつらいですね、他の亀攻撃してダメージ与えられませんかね」


「亀が全滅するだろ」


 ギリアムが毒付きアンサーが思わず亀を探す。それをセキトリがツッコミ入れて押し留める。


「マターラをあの頭の穴辺りにブチ込めば何とかなるかな?」


「それは良い案だ。手伝ってやる」


 アニアがふと思いついたことを呟くと、その近くで瓦礫から起き上がったジョナサンが同意する。


「よし、援護は任せて! 惑わしの草地ストレイ・ソッド


 さらに不規則に動き出すタングスタートル。あれ、失敗した? アニアが思わず告げる。

 お前はアホか!?

 そしてジョナサンは身を低くして走りだす。ちょ、アニアの援護失敗してるよジョナサン!?


 爆心地の中央にいたマターラに辿りつくジョナサン。アメフトのようにマターラを抱えあげた瞬間、彼に影が差す。

 しまった! と視線を向ければタングスタートルが独楽のように回りながら近づいている所だった。


「ぬぅぅぅん! お嬢様方、私に、私に声援を、負けぬだけの声援をををっ!!」


 ジョナサンに迫るタングスタートルに、そいつは思い切り身体でぶつかった。

 両手で甲羅を押しとどめようとただ一人、タングスタートルに挑みかかる。

 しかも全裸で。ええ、全裸で。いつ脱いだの至高帝?


 全身に力を入れ、青筋浮かべながらの筋力勝負、絶対に留めるという気概に、アルセとのじゃ姫の声援が飛ぶ。

 その御蔭か、ジョナサンへ迫る甲羅の速度が弱まってくる。


「ぬおおおおおおおおおおおおおっ。お嬢様方が、見ているのですぞォォォォッ!!」


 さらに力を入れる至高帝。

 徐々に動きが収まって行く甲羅の回転。

 好機と察してジョナサンが動き出す。


「頼むぞマターラ!」


 狙いを定め、ジョナサン渾身の投擲が発動した。

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