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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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その裏切りの破壊神が何をするかを僕等は知らない

「ここです」


 ツバメに案内され、僕らは洞窟へとやって来た。

 ここが古の洞窟、タングスタートルの祠かぁ。

 入口デカイな。そして封印でもされているかのように巨大な岩が入口のすぐ奥に入り込み道を塞いでます。入れないよこれ?


 三メートルはあるだろう高さと、10人くらい並んで入れる横幅の洞窟だ。

 これ、祠って言っちゃっていいのか? どうみてもダンジョンだろ。

 今回の旅に付いて来た、アルセ、のじゃ姫、ワンバーちゃん、リエラ、ルクル、アカネ、アニア、ローア、マクレイナ、コータ、テッテ、バルス、ユイア、アンサー、落ちこぼれニンニン、ルグス、にゃんだー探険隊、ジョナサン、メイリャ、セキトリ、クルルカ、至高帝、ハイネス、レーニャ、ギリアム、セネカ、メリエに加え、ツバメと誰だっけ、唐沢兼重實近からさわかねしげかねちか?なんか覚えづらい名前だよね、とりあえず兼重といえばいいんだっけ。ツバメさんと兼重さん加えたメンバーがこの洞窟に挑みます。


 一応、連絡役としてマホウドリが一羽付いて来てる。アルセがこの鳥に乗って行くぞーと拳を突き上げていた。

 マホウドリも嫌ではないらしく、一緒にまっほーう。とか叫んで翼を突き上げていた。意外とノリがいいぞこのマホウドリ。

 ついでにのじゃ姫もワンバーちゃんの上でのじゃーと拳突き上げてたけど、直ぐに飽きたようで眠りだした。


「ルグス。にゃんだー探険隊が突出しないように見張っていてね」


「心得た。流石に危険な場所では突出はしないだろう。なぁにゃんだー一世」


「にゃー」


 にゃんだー探険隊の一人が当たり前だ。とでも言うように声を返すが、その尻尾は未知の冒険に打ち奮え、猫まっしぐらしてしまいそうだ。


「さて。まずこの洞窟ですが、絆を確かめる絆の試練というモノがありまして、タングスタートルに辿りつくまでいくつかの試練を受けざるをえないようになってます」


「え、試練……ですか」


 ツバメがコホンと咳払いして話を戻す。

 祠の説明を聞いてリエラが尋ねるのと、アカネが起き上がるのは同時だった。

 あ、ちゃんと女性陣により服は装備済みだよアカネさん。流石に全裸のままここまで連れて来るのは危険だからね。


「……んん? 私、なんで?」


「あ、気付きましたかアカネさん。ほら、起きたなら説明一緒に聞きましょう。タングスタートルの祠に入りますよ」


 アカネが思い出すより早くリエラが告げる。

 アカネも頭が回ってないらしく「ええ」と答えてツバメの説明を聞くためリエラの横に並ぶ。


「まずはこの入口です。ここは一の試練。一人だけ、あちらにあるスイッチを押し込む人が必要になります」


 指し示された先には洞窟のすぐ脇に人一人が座れる場所があった。

 ここに誰かが腰かけている間だけ祠を塞いでいる岩が退けられるらしい。

 つまり、仲間の一人をここに置いておかねばならず、その人物がもしも裏切れば、僕らは一生を洞窟の中で過ごさなければならなくなるのである。

 だから絆の試練か、残る人を信頼しないと中には入れないね確かに。


「じゃあ、誰か一人ここに残るのね」


「メリエさん、誰が残れみたいなのはあります?」


「いいえ。とりあえずセネカさんとリエラは絶対に奥まで辿りつけと言われたくらい……ああ、あとそこにいるニンニンもかしら。それ以外の誰かが残るべきね。私でもいいけど」


 一応毒電波受信中のメリエは付いて来て貰った方がいいだろう。彼女の言動を元に行動してるようなものだし。

 となると、探索したいにゃんだーどもとルグスは探索確定だし、あんまりこういうの行きたくないハイネス辺りが妥当かな?


「そうね……ああ。じゃあ私が残るわ」


「え? アカネさんが?」


「ちょっと頭を冷やしたくもあるし。しばらくそこに座ってるわ。魔法使うにも全裸にならないといけない訳だし、魔法を反射するんでしょ。なら私は足手まといになると思うわ」


「そんな事はないと思いますけど……いえ。わかりました。ではアカネさんを信頼して、お願いしますね」


 アルセがリエラの裾を掴んだことでリエラも決心したらしい。

 アカネ結構精神に来てるしなぁ、ここらでちょっと一人でゆったり休ませるか。鬱にならないといいけど。

 アカネが所定の場所に腰掛けると、ゴゴゴゴと音を立てて岩戸が開いて行く。


「ではアカネさん、行って来ます」


 一言づつ声をかけながら、僕らは洞窟へと入って行く。

 あ、ちょっとアルセ、先行しないで。マホウドリに乗って駆け抜けるアルセ。暗がりの中自らを発光させて突撃です。暗闇に光るアルセ。これはこれで神々しい。


 ゴゴゴゴゴ……


 ……って、あれ?

 音に気付いて僕らは思わず足を止める。

 岩戸が閉じ始めていた。


「え? なんで……アカネさんっ!?」


 洞窟の手前で、アカネが立っていた。所定の位置に座ってなければ岩戸は閉じる。それを理解しているのに彼女は席を立ったのだ。


「大丈夫よ皆。やること・・・・終えたらまた座りに来るわ。ええ、新聞社の撃滅を終えたら、ね」


 笑顔で手を振るアカネが岩戸の向こう側に消えた。

 慌てて岩戸を叩くリエラだが、既に閉じた岩戸は彼女の力では開くことはなかった。

 アカネは狙っていたのだ。僕たちの邪魔が入らなくなり、一人で自由に行動できるこの瞬間を……だから、僕達にはもう、彼女を止める術はない。

 野獣が……解き放たれた。

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