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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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そのヒャッハーどもがなぜいるのかを僕らは知らない

 僕は頑張った。

 身振り手振りすら使えないので用意された羊皮紙に絵を書いて何があったかを伝えたのである。

 アルセが斬られそうになったので相手を倒して、バグ弾連射。

 格子が眼だらけになって男が女になって、男の髪が根っこになって、そして女男がモザイク人になった。

 そしてモザイク人がモザイク人を量産しはじめた。


 言葉にすればこれだけのことを、二時間掛けてフリップで伝える。

 なかなか伝わりにくかったけどアカネが居てくれたのでなんとか伝わりました。

 別地球らしいけど絵ならある程度意味は伝わるようで、リエラの首を横か縦に振らせることで僕とのコミュニケーションを計ってくださいました。


 ええ、あの全裸卿あることないこと皆に吹き込みやがって。全裸になったのは僕のせいじゃなくて自業自得じゃないか。

 自分悪くないアピールはさせないぜ。アルセ強制ドロップキック食らわせてやったぜ。

 反撃にルクルから奪ったカレー投げられたけどね。

 連射は反則だよ。アクアリウスベアーがカレー塗れになったじゃないか。カレーグマ出現しちゃったよ。え? 僕、当然避けたけど。アクアリウスベアーを盾にして。


「とりあえず、神様がバグ禁止を告げた理由はわかりましたね」


「いちいち反応が過剰過ぎるのよコイツ。アルセが絡むとほんと暴走するんだから」


「でも、本人もバグ? っちゃい始めてるんですよね。大丈夫です?」


 リエラの言葉にアカネが溜息を吐き、テッテが心配そうに尋ねる。ルクルも心配なんだろう。るー。と心配そうに同意した。

 と言われても、僕自身はバグってるかどうかとかわからないし。いつも通りな気分なんだけどなぁ。確かにアルセの危機には時々自分でもやり過ぎかなって思う時もあるけど、まぁ、基本そこまで酷い状況にはなってないし、まだ魚人島と盗賊洞の二つだけだよ。


「とにかく、これからはこいつがバグ使わないようアルセの安全を確保するのは確定事項ね」


「そのようですね。私が常時張り付いてればいいんだろうけど……」


「リーダーにこれ以上負担かけるのはどうかと思うです。思ったのですが私がアルセちゃん護衛しちゃうですよ」


「あんた紫炎蜉蝣どうすんのよ。一応部隊として活動できる実力を取り戻したら赤い太陽の絆に戻るんでしょ」


「え? あ。そっか。私そっちのパーティーでしたね。なんだかアルセたちと一緒に居た時間が凄く長かったような気してましたです」


 そりゃ新人として紫炎蜉蝣に入って幾らもしないうちにこっちのパーティーで濃密なハードスケジュールこなしたもんね。


「よし、じゃあちょっと赤き太陽の絆抜けて来るです」


「おいおい、勢いで滅多なこと言うなよな。それじゃウチのパーティーがお前引き抜いたみたいじゃないか」


「別に問題無いと思うですよ。アレンさん絶対笑ってしゃーねーな。とか了承しますし」


「一応戦乙女の花園抜けてこっち来た身としては結構他のパーティーメンバーとの衝突が凄いわよ。得に第一パーティーに居たのに別の冒険者パーティーに行くとかありえないと妹候補生どもがモーネットお姉様に代わって天誅とかいいながら襲いかかってくるのよ」


 なにそれ恐い。アカネそんな状況だったのか。全然気付かなかった。


「まぁ、物理無効になってなきゃちょっと危なかったかな。その点ではエロバグに感謝してるわ」


 アカネは実は結構豆腐メンタルなのにバグって魔法使うと全裸になって、命まで狙われてた……と。ごめんアカネ、僕、これからはもうちょっと君に優しくするよ。

 そんな感じで話が横道にそれだし、気付いた時にはさらに二時間経過。


 対策と方針、あとテッテが正式にこっちに加入することが本決まりになって、アカネとテッテがギルドに手続きに向かった。後で赤き太陽の絆に正式通達しに行くらしい。アカネ連れて行ったら喧嘩腰になるんじゃないかな。まぁ、頑張れ。


 他のメンバーもちりぢりになり、アルセ教本部で合流することだけを決め、僕とリエラとアルセ、そしてルクルの四人は武器屋のおっさんがいる鍛冶屋街へと向かった。

 なんだか活気が生まれているのは鍛冶屋街を行きかう人々の中にツッパリやレディース、ヒャッハーといった魔物がいるからだろう。鉢巻き巻いたりして気合い入ってるけど、どうやら手伝いをしているようだ。

 魔物も働く時代になったのか。世も末だな。


 武器屋に入るがおやっさんがいなかったので解体場へと向かう。

 そこにはバイクを整備していたヒャッハーと辰真。そしてそれを見て指示だししている武器屋のおっさんとバズがいた。

 おお、バズだ。エンリカさんとは何度か会ってるけど夫のバズと会うの久しぶりだな。


「お」


「ぶひ!?」


 アルセの短い挨拶に驚くバズ。見覚えのある顔を見て歓喜に打ち震えた。


「お久しぶりですバズさん。エンリカさんたびたび呼び出してすいません」


「ぶひぷひ」


 気にするな。妻が役に立ってくれたなら喜ばしい事さ。

 みたいなニュアンスの鼻息鳴らすバズ。その姿はなんだろうな、休日の親父って感じの貫録があります。

 ところでバズ、なんでヒャッハーマイネフランに来てんの? コルッカに居たよね。いつの間にか辰真と凄い仲いいんだけど。

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