表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
1145/1818

その会議が終わってないことを僕は知りたくなかった

「向かう場所はロックスメイア古の祠タングスタートルの祠、ダーリティア活火山エベレトス、人類未踏区にある伝説の湖トココカ、最果ての妖精郷ユグドラシル。ここにこの世界の歪みを修復していると言われる聖獣がいます。今回の目的は聖獣たちとアルセの邂逅、そして彼らから必要な素材を貰うことです。素材についてはアルセが知ってますわ」


 要領得ないけど、とりあえずアルセが会えれば問題無いってことかな?

 僕はアルセが行くところに行く予定だからいいとしてリエラ達はどうす……あ。うん愚問だったね。アルセ姫護衛騎士団やる気満々です。


「それからカイン様」


「ん。お、おう。なんだ?」


「アルセが蔦をプレゼントするそうなのでツッパリたちのバイクをヒヒイロアイヴィ製にするように鍛冶屋街に通達してください。あと裁縫店などでヒヒイロアイヴィ製のシャツをコルッカから取り寄せるように、それと……」


 当然のように話してるけど、アルセが各国に蔦振りまいてるのなんで知ってるの?

 各国で作った物をマイネフランで購入して他の国にも流通するようにしろって、またなんかアルセ素材で戦争になりませんかねメリエさんや。

 そんな事になったら流石に黙ってませんよ、僕が。


 あれ? でもアルセ御推奨なの? うーん、だったらいいか。

 アルセがノリノリだったので差し出がましいことする必要はないかと自重することにしました。

 それからメリエは色々な指示を出して来る。


 なぜか初めて会ったはずのクルルカやらセネカさんにまで指示を出し始め彼女達を驚かせていた。

 セネカには一度ぺズンに戻ってもいいが、直ぐに合流してユグドラシルへ向かえってことらしい。

 そこにセネカが行くべきなのだそうだ。アルセもお辞儀でお願いしていたので、セネカは戸惑いながらも了承してしまっていた。

 頼まれると断れない人なんだなぁ。苦労性の王女様だ。


「あー、とりあえず報告とかは以上でいいのか?」


「そうですね。後は現地での話になるかと」


 メリエの目的が終わったのでとりあえず解散。

 他に何か決めることあったような気もするけど、これで終わりってことで。


「リエラ。現状アルセ姫護衛騎士団に加入したっぽい人教えてくれる? とりあえずリスト作るわ」


「んじゃ、皆解散。自由行動でいいわ。宿はアルセ教本部だから。で、明日まで自由行動」


 ネッテとルルリカが早速クラン設立に向けて登録人物の特定を始める。リエラとアカネがそれに加わり、アルセ姫護衛騎士団解散。皆思うまま動くようで、会議室を後にしていく。

 しかし、一部の人物たちはそのまま会議室に残ったばかりか、アカネ達の元へと集まりだす。


「アカネさん、あのこと、どうするです?」


「これからよ。だから私達が残ってるの」


 残ったのはアカネとリエラ。ルクル、アルセ、テッテ、アンサー、ニンニン、ジョナサン、至高帝である。

 また、ネッテたちと話をしていたルルリカは書類を纏めると代表して冒険者ギルドへと向かう。

 それをカインが眼で追って、部外者が居なくなったのを確認。


「おい、そこのストーカー。テメーも今回は退出しとけ」


 と、アルセのストーカー影兵のおっさんを指摘。

 影兵さんたちが動いて彼を拘束すると、会議室の外へと叩きだした。

 何故バレた!? とか言ってたけど丸見えだったからな。というか途中で力尽きて一度落下しただろ。

 気付いてないと思ってたのか。皆気付いたけどスルーしてたんだよ。


 ゴールデンベアーやハーピークイーンたちも部屋でゆっくりするそうで部屋から出て行き、眠ったままのアクアリウスベアーとレーニャだけが取り残された。

 のじゃ姫も眠ったままだったけど、ワンバーちゃんが気を効かせて席を立ちました。


「さて。残ったのはこの面子か。メリエは?」


「ルルリカに連れて行って貰ったわ。まだ何か言いたそうだったけどこの会議には必要無いもの」


 ネッテの言葉に成る程、と頷くカイン。

 って、カインも部外者じゃないの? 僕のこと知らないでしょ。それとも影兵さんから教えて貰ったとか?


「さて。アカネさんよ。この面子は透明人間についての話をしても大丈夫。と思っていいんだな」


「言っちゃってから確認というのもどうかと思うけどその通りね。ジョナサンとか至高帝はよくわからないけど別に問題はないでしょ」


「事前に聞いたんだけど、神様からバグ使用禁止令が出たとか、どういうこと?」


 ネッテたちには既に報告済みなのか。


「エロバグの奴アルセが攫われたことで張っちゃけちゃってね。私も実際に見た訳じゃないんだけど、どうも洞窟一つバグらせて神様でも手に負えない状態にしたらしいのよね」


「ああ、それで神の逆鱗に触れた訳な」


「次、彼がバグを使った瞬間、彼はこの世界から駆除される。本来バグは見付け次第駆除するのが妥当なんだけど、彼の場合アルセを守るためにしか使わないから、あとアルセの冒険が神々に大うけしてるっていう理由で見逃されていたのよ」


 アカネさん、カインにそんな話していいの?


「かぁ~。しっかし気付かないもんだなぁ。俺がアルセと出会った時には既に居たんだろ? つか空飛ぶアルセイデスと思ったのが勘違いで、ただのアルセイデスだったアルセを透明人間が抱えて逃げてただけって……マジなんだよなリエラ?」


「えっと……はい。透明人間さんはいます。私を助けてくれたのも、本当はアルセじゃなく透明人間さんだったんです。アンブロシアとの闘いも、彼がいてくれたから私達は助かりました」


「セルヴァティアでも全滅しかけたもんな。あの時も助けてくれたのか。アルセが何かやったのかと思ったけどそれなら納得だ。ゴブリン討伐だって、突然くずもちが魔王に斬りかかったから不自然だったが、もう一人居たってわかると、納得だな」


「それに、カインと婚約の切っ掛けだって。急に現れたオリーの死骸や金貨の山、あれも透明人間さんとアルセの御蔭なのよ。私達の命も救ってくれたのね」


「マジかー。今更だがありがとな。えーっと……透明人間?」


 名前が分からず頭を掻きながら小首を傾げるカイン。

 僕は名前を伝えようと思ったけど、結局この面子相手に僕の名前読めないことに気付いて諦める。


「まぁそういう訳で、あんたこれからバグ禁止だから。絶対に、どんなに追い詰められても使っちゃダメよ」


「そうですよバグさん。使ったら、めってしますよ!」


 テッテにめっ。されるのは嫌というかむしろ御褒美のような……

 いや、なんでもない。なんでもないよルクルさん。だから僕の背後に立ってカレーを手に持つのやめてください。

 いやマジで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ