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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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その再会した人物を彼らは知らなかった

「ふはー。お、終わった」


 ライブ会場から最後のファンが去って行き、控室に戻ったパティアがようやく人心地付く。

 椅子に腰かけふしゅ~っと空気が抜けるようにへたり込んだ彼女をアルセとのじゃ姫がおつかれーっとねぎらってます。


 ほらアルセ、このアカネさんが作った団扇使って煽いであげな。

 何コレ? じゃなくてさ。ほら、こうやって……おーじゃないよアルセ。お口開けてあーとかしないの。

 あーって言葉はでてないけどさ。


「にしても、随分と盛況でしたね」


「まさかあそこまで盛大になるとは思わなかったわ……」


 アルセ姫護衛騎士団も辟易した顔をしている。

 列整理だけでも結構大変だったようだ。

 ファンの中には乱暴なのもいたらしいし、よくわからず並んだ人もいたようでトラブル続出だったみたいです。


 中にはファンの少女に手を出そうとした冒険者も居たらしく、至高帝ともめたり、ジョナサンが踊ったり、バルスがおっさんの寝ぐせにときめいたりしたらしい。

 ギリアムなどは何人かの女性に告白されてたりしたそうだが、もう、何が何やら、とりあえず大変だったようだ。


「皆さん、ありがとうございました」


 一息ついたパティアがコリータさんに差し出された飲み物を飲んで落ち付いた後、僕等に声をかける。


「オッカケさんたちも楽しんでくれたみたいで。またいつか同じように握手会、やってみたいと思います。今回のことでやり方もわかりましたし、ギルドと相談して護衛も付けて、楽しい恩返し、やりたいです」


「その時はまた、お手伝いするよ」


 クスリと微笑むリエラに、「はい。お願いします」と太陽のような笑みを浮かべるパティア。

 その笑顔だけでオッカケ共満足な気がするよ。

 僕はアルセの笑顔だけでご飯三杯は軽く行けます。


 ギルドスタッフやらアンサーたちが会場の後片付けをしている中、護衛任務中のリエラたちはパティアとしばしの談笑。

 そんな僕らの元に、戸惑った顔のクルルカがやってくる。


「あ、皆さん盛り上がってるとこすいません」


「クルルカ? どうしたの?」


「リエラさんたちにお客さんです。なんか、アルセ姫護衛騎士団の人らしくて、でも私見覚えない人で……」


「あなたが知らないアルセ姫護衛騎士団の人?」


 そんな奴いるか?

 僕らは顔を見合わせつつも、案内して貰うことにした。

 流石にパティアを残して皆が行く訳にも行かないので、逆にこちらの控室に連れて来て貰うことにしたのだけど……あー。成る程。そりゃクルルカ知らないわ。


 アルセ姫護衛騎士団から離れたメンバーを思い浮かべていた僕は、その人物を見て直ぐに納得した。

 そりゃそうだろう。クルルカ加入前に居なくなった人物だ。知ってるわけがない。

 その人はキツメの眼付きと巨乳を持つ女性だった。

 控室に入って来て一礼。懐かしい人物にリエラの顔が喜色変わる。


「メリエさんっ!?」


 そう、メリエ・マルゲリッタ。カインに惚れ込みアルセ姫護衛騎士団に無理矢理加入して来た人物で、アンブロシアの実を食したことで人とは違うナニカに進化して神の声が聞こえるとか言いだして消え去った可哀想な……げふんげふん。とりあえず懐かしキャラクター1号さんである。


「久しぶりリエラ。アルセ達も元気にしてたみたいね」


「突然いなくなったから皆心配してたんですよ。いろんなところ回ってたみたいですけど何してたんですか」


 メリエさん、空からの声が聞こえるらしくてその声に従って世界旅行してたそうです。

 毒電波受信しちゃってたようだ。アンブロシア、人が食べるべきもんじゃないみたいだなぁ。

 もちろんアンブロシアだけじゃなくアルブロシアも食べない方がいいと思います。


「いろいろと準備をね。もうやるべきことは大体済んだからまた合流することにしたんだけど、いいかしら?」


「あ、はい。大丈夫です。いいですよねアカネさん?」


「スキルのパーティークラッシャーが気になるけど、その辺りどうなの?」


 魔物図鑑開いて相手を確認してからアカネが尋ねる。メリエは恥ずかしげに頭を掻きながらもこくりと頷いた。


「我が神カチョカチュア様にお聞きしましたが、今回は問題が無いと言っていただいたので、気にするほどではないと思います。それに、アルセちゃんがいるし」


 まぁ、流石に神様候補のいるパーティーまで瓦解させたりはしないか。アルセ超幸運持ってるし、問題はないと思いたい。

 それよりも、メリエさんや。あんた毒電波に名前までつけだしたのか。なんだよカチョカチュアって。ちょっとグーレイさん、また変な名前使ってる奴いるよ。例の駄女神じゃないの?


 しかしリエラ達はそのことについては追求する気はないらしい。

 メリエとの再会を喜ぶリエラとアルセ。おお、アルセも珍しく喜んでる。

 まぁ、アルセが喜んでるならいいか。暖かく見守っておこう。

 最悪僕が瓦解するパーティー繋ぎとめるしかないだろうけど、そうなったらそうなっただ。


「あの、それでですね。緊急でアルセ姫護衛騎士団会議を開いてほしいのですが」


「また、突然ね。まぁ私もいろいろ決めようとは思ってたし、明日の朝から教会の会議室借り切ってやりましょうか。今日はその下準備するからリエラ達はゆっくりしておいて、後、皆に明日は会議だって伝えといてね」


「ローアさんたちは文句言いそうですけど、任されました」


 これもリーダーの仕事かぁ。と嘆きつつも了承するリエラ。

 僕はテッテとルクルに挟まれながら3人してリエラ大変だなぁーと暖かく見守るに務めるのだった。

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