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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十四部 第一話 その少女が求めるものを僕らは知らない
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その事件があったことを彼らは知らなかった

「実は、日頃お世話になっているというか、いつも応援してくれてる皆に何か恩返ししたいと思うんです」


 パティアの話では、もともとは賞金首だったヘイオ・ロリコーンという魔物がオッカケと化したことで彼女にオッカケが付きだしたらしい。

 オッカケはパティア好きで、常に彼女と一線を敷き、彼女の喜びを最上位に、時折無理矢理彼女の可愛さを愛でることで自分たちの欲望も発散する、ハタ迷惑だけど彼女を救う専用ロリコーンと化しているらしい。


 オッカケに勧誘されたロリコーンたちもオッカケになるらしく、オッカケとオッカケ紳士なる存在がピンクの法被にメガホン、パティアたんTシャツというパティアグッズフル装備で彼女を常に守護しているらしい。

 やることは主に彼女の護衛で、今は定時になるとパティア祭を無理矢理開きパティアに歌って貰い、それをオタ踊りしながら見学する。あとはパティアファンがパティアに迷惑をかけないように取り仕切るといったことを自分たちで行っているらしい。


 彼らは常にパティアの為に行動し、パティアが何か欲しいなぁと呟けば命がけでソレを取ってくる、まさに親衛隊であった。

 そんな彼らはギルドのお願いを律儀に守り、パティアの邪魔にならないようギルド横で彼女を護衛し、時折パティアたーんとエールを送っているのである。


 初めはヘイオのこともあり恐怖しかなかったパティアだが、彼らがパティアを最上級に持て成すために、次第愛着というべきか、まさにアイドルとファンの関係を構築し始めたらしい。そのためパティアも彼らのねぎらいに何かしたいと思ったようだ。

 けれど、パティアはオッカケたちが何を求めているか良く分からないらしい。


「まぁ、確かにロリコーン種ならパティア見てるだけで良さそうな気もするけど……」


「できれば、皆にいつもありがとうって、でもいつもみたいにライブのついでに一声かけるだけっていうのも、なんだか味気ない気もして……お菓子とか手作りの物を差し入れようとした時もあったんですけど……」


「あはは。バレンティン毒殺未遂事件ね」


 なんだそりゃ。


「ほら、年一でバレンティンが大漁出没する日があるじゃない。あの日に入手したチョコを使ってケーキを焼いたのよ。予想以上にオッカケが増えていたせいで暴動に発展してね。殴り合いに発展、しかも入手したオッカケたちが食べた瞬間泡吹いて白目でびっくんびっくんと。あれは凄かったわ」


「オッカケさんたち、カカオ中毒だったらしいです。知ってたら作らなかったのに……」


 クスン。と鼻を鳴らすパティア。どうやらロリコーンの亜種であるオッカケたちは犬や猫と同種らしい。紳士は確かハロイアの作ったチョコケーキ普通に食べてたよな。違いはなんだろう?


「なるほど……物をあげるにしても相手にとっては毒になるかもしれないわけかぁ」


 思わず顎に手をやって考え込むリエラ。そんな真剣にならなくてもいいと思うよ。ほら、セネカさんも真剣な顔で悩まなくてもいいし。で、至高帝さんよ、あんたなら何貰ったら嬉しいのかな?


「そうですな。私が貰って嬉しいモノと言えば……」


「言えば?」


「幼女からのキスでしょうな。ホッペにチューやらデコチューなどされればもう天にも昇る気持にございます。アルセお嬢様、私はいつでもお待ちしておりますよ」


「お?」


 にこやかに告げる至高帝に小首を傾げたアルセ。唇を付ければいいの? と頭のお花が変態紳士をバクリと頭から咥え込む。

 ちょ、アルセ、それキスじゃなくて捕食だから。

 散々涎塗れにされた変態紳士は恍惚の笑みを浮かべながらびっくんびっくん床で跳ねる魚と化した。うーん、あの花部分はアルセの唇といっていいのだろうか? 僕にはアルセの生態が謎過ぎて判断付かないや。まぁ捕食用の口だと思っとこう。今のところあそこから何か捕食したなんてのは見たことも無いけど。


「き、キスって、そんなの無理だよぉっ」


 刺激が強かったようで顔を真っ赤にして伏せるパティア。

 ふむ。でもアイドルだっていうなら、ファンサービスはアレでいいんじゃないかな?

 僕は隣に居たルクルさんの手を徐ろに掴む。

 る? と小首を傾げたルクルさんと握手。


「るるる?」


 意味が分からないながらも顔を赤らめるルクル。

 そんなルクルを移動させ、リエラの手を取らせる。


「え? 何ルクル?」


 そして両手でしっかりと包み込んでの握手。

 最初何やってるんだろう? と疑問に満ちた顔のリエラとルクル。しかし、セネカさんは気付いたらしい。


「あ、そうか。これならオッカケさんたち全員に気軽に出来て、皆さん喜びますね」


「へ? 何がです?」


 セネカの言葉にテッテが小首を傾げる。


「ファンサービスとして、握手会、開いてみてはどうでしょう?」


「握手会?」


 今度はコリータとパティアが小首を傾げた。


「はい。普段見ているしか出来ないパティアさんと手だけでも触れられるという素敵なプレゼントだとは思いませんか?」


「な、成る程確かに……」


 うなるコリータ。こういうのはアカネさん主導の方がいいんだけどなぁ、異世界人組どこ行った。一人もいないのが悔やまれるな。

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