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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その盗賊達がどうなったかを彼らは知らない
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その囚われた存在を僕は知りたくない

「全員散開、いい、街の人の安全最優先。でも自分たちの命も優先して!」


「アカネさん、先に行きます、私の攻撃なら襲撃者全てにダメージが行く!」


 空軍カモメ達に乗り、アルセ姫護衛騎士団緊急出動。

 僕とアルセ、ルクル、アカネ、ついでにセネカが一緒の場所に降り立つ。

 少し離れた一番危険そうな場所にはリエラとアンサー、マクレイナ。


 率先して舞い降りるアンサーはペリルカーンに跨り特攻。

 文字通り空からの追突に戦場が一瞬でカオスへと移行する。

 他の場所にも次々とアルセ姫護衛騎士団が落下。


「のーじゃー!」


 のじゃ姫はワンバーちゃんと一緒に地面に降り立つと同時に魔物召喚。切り捨て御免と殿中でござるが次々に出現を始める。

 アニアと坊主ニンニン、ジョナサンチームは噴水広場前に降り立ち周囲の人々巻き込んでサタデーナイトフィーバー。

 ローア、コータ、テッテ、バルス、ユイア、ハイネスはメイリャの指揮のもと人々の避難誘導を補助に向かった。


 セキトリ、クルルカ、ギリアムは至高帝と共に子供達の保護、というか至高帝の歯止め役に纏まって降り、ルグス、にゃんだー探険隊、レーニャの猫とガイコツ部隊は街門前に降り立ち新たに流入しようとしていた襲撃者達の牽制に向かう。ルグスの魔法、当らないけど派手だから牽制にはもってこいなんだよね。

 容姿も容姿なので近づく気にすらならないし、生気吸収があるから接近戦ではむしろ無敵の存在だ。

 門番としてはこれ程適した存在はいないだろう、多分。


「失礼、貴方達はアルセ姫護衛騎士団でいいのか?」


「ひゃ!? え? あ、はい」


「誰よあんた? マッシュ……いえ、何者?」


 突然声を掛けられ驚いたセネカが思わず返答する。逆に警戒したのはアカネだ。

 何しろ僕らはまだこの国に入国手続きすらしてない。

 なのに空から降りて来た僕らをアルセ姫護衛騎士団と認識出来るのはおかしいんじゃないか?

 そう思って声を掛けて来た男を見る。

 アカネさんがなんか言い掛けてた言葉を思わず飲み込んだ理由を知った。


 うん、なんていうか……ブラウンマッシュルーム?

 いや、そのモノじゃなくてね。髪型が、茶髪でさらさら艶光してるマッシュルームカットのお兄さんだったんだ。

 マッシュルーム兄さんはにこやかに笑みを浮かべ、軽く頭を垂れる。


「初めまして、メリケンサック公国で勇者をやっている。ハレッシュだ」


「え。ええ。この国の勇者、ね。でも何で私達の事を知ってるのかしら?」


「ゼオス王がカイン王の結婚式に出ていてな、そちらのアルセ神とやらに世話になったそうだ」


 ああ、あの結婚式に参加してた王様かぁ。

 じゃあアルセたちの非常識さが分かってるから協力的ってことでいいのかな。


「なるほど、それで、現状教えてもらえる?」


「ええ。どうやらこの近辺で最近活発化していたデニム盗賊団が国取りを行っているようです。まさか来るとは思いませんでしたが、人数は千人を越え、看過できない盗賊団になっていました」


「千人規模って、何でそんなになるまで放置してたのよ」


「巧妙なんですよ。部隊を分けて一つの村を徹底的に襲撃するせいで報告が来た時には既に村を滅ぼした後ですし、彼らの寝床も未だに分かっていません。この近辺としか分からないので探りようも無く、腕利きの冒険者に頼むも行方知れず。近く城の騎士団と私で山狩りを行おうとしていた矢先のこの襲撃です」


「それは、時期が悪いというか……」


「いいえセネカ。むしろ僥倖。私達が間に合ったのならこの国をオトさせはしない。アルセ、盗賊団は壊滅させるわよ! 全員戦闘態勢! アルセの御加護を存分に示しま……あら?」


 勢いよく叫んだアカネだったが、ふと気付いてきょろきょろと周囲を見回す。

 どったのアカネさん?

 アカネが何を探しているのかと僕も周囲を探す。

 ルクルとセネカもどうかしたの? と周囲を探す。


 うん、何も違和感が無いと思う……ん?

 アルセが、居ない?

 はっと気付いた僕は遠くに視線を走らせる。

 居たっ!


 見付けた緑の少女はおーっと逃げて来ていた子供達に手を振って合流。

 なぜかその手を掴まれこっちだ! と連れ去られていた。

 いやいやいや! アルセ何してんのっ!? ってかそっち盗賊さんが手ぐすね引いて待ってるじゃーん!?


「ああ、しまった!」


 アルセの腕を掴んでいた少年が気付いた時には遅かった、子供達が捕えられ、牢屋付きの馬車に投げ込まれる。

 僕らが駆け寄った時には馬車が走りだした後だった。


「ちょぉっ!? 嘘でしょ!?」


「アルセちゃんが!?」


「るぅぅっ!?」


 アカネもセネカもルクルも何も出来なかった。

 群がる盗賊達が立ちふさがる。

 牢屋に入れられたアルセはきょとんとした顔をした後、僕等に笑顔で手を振りながら遠ざかって行く。待ってアルセ、君現状わかってないよね!?


 アルセが……

 アルセが攫われたぁ!?

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