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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その盗賊達がどうなったかを彼らは知らない
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その馬の口の悪さを僕しか知らない

「ヒヒーン(セネカたんがわざわざ吾輩の元に来てくれたから出て来てやれば! 野郎が寄ってくんじゃねぇよクソが、死ね! 死に腐れ! ギリなんとかぁ? こっちゃ覚える気ね~んじゃボケが、消えろアホ、カス、ボケェッ!)」


 たった一鳴きで物凄い言葉を込めて、オヒシュキと思しきお馬さんがギリアムを蹴り飛ばす。

 近くに居たセネカにすり寄り、セネカがオヒシュキ様ったら。みたいに困っていた。


「ヒヒン(セネカた~ん、男を見て傷付いた吾輩の心の傷を癒してぇ~ウホホ、ええのぅええのぅ、このお胸さんが柔こいンじゃぁ)」


 ド変態馬じゃねぇか!?


「あ、そちらの方がオヒシュキ様ですか?」


「あらリエラさん。もうよろしかったので?」


 迎えに行きましたのに。と苦笑するセネカにすいませんと謝り、リエラは皆と合流する。

 今ここに居るのはセネカ、アルセ、リエラ、ルクル、アカネ、アニア、テッテ、落ちこぼれニンニン、ジョナサン、メイリャ、至高帝、ギリアム、アフロ狩りガニ、子供四人か。

 で、ギリアムがふっ飛ばされて、ジョナサンが地面に頭から突っ込み尻だけ出している、と。

 多分ジョナサンは後ろの方で踊りだしたんだろう。男の踊りなど見たくも無いわとか言って蹴り飛ばされたんだと思われます。


「では改めまして、こちらがぺズンの守護精霊オヒシュキ様になります」


「ブルヒヒヒン(吾輩がオヒシュキである。娘子たちよ近こう寄れ。吾輩女子おなごには優しいのだぞ? あと男どもは死ね。滅びてしまえ!)」


 良くもまぁこんなの守護精霊にしたなぁ。


「水先案内人たちは皆オヒシュキ様に認められた女性なの。水先案内人になるにはオヒシュキ様からご加護を受けないといけないんです」


「ブルル(どや? おいちゃんのほっぺにキスしてくれたら皆にも加護つけたるでぇ? ほれ、ほれぶちゅっと一発やってかんか?)」


 僕は無言で落ちこぼれニンニンをひっつかむと、思い切り顔をオヒシュキの頬に押し付けた。

 ほーれキスだぞー。


「ぐぼぁ!?」


「ひゃぁ!? オヒシュキ様っ!?」


「ブルヒヒヒーンッ(ワレェなにさらしとんじゃコルァ! いてまうぞクソが! アホボケカスシネ、尻から腕突っ込んで奥歯カタカタ言わすぞゴルァ!!)」


 影からニンニンを蹴り飛ばし足蹴にしてげしげしし始めるオヒシュキ。しかし僕が手伝った御蔭か代わり身の術を無事に発動させた落ちこぼれニンニン君はなんとオヒシュキに跨って出現。その辺りが残念なんだよ君は。


「ブヒヒンっ!?(あ、こら、何跨っとんねんキサン舐めンのも大概にせぇよ! ぶっ殺すぞクソザルッ!)」


 暴れ馬と化したオヒシュキが影からニンニンを引き離そうと必死に暴れ狂う。

 湖の方へと駆け去りそのまま湖の中に、あ、影からニンニンが消えた!?

 湖に沈んだオヒシュキ、次に浮上した時影からニンニンが居なくなってました。

 まさか湖に沈んじゃったのか!? やべぇ悪いことしちゃった。


「大変、影からニンニンが!」


「おじちゃん、忍者さん助けてあげてっ」


「仕方ありませんな。では皆、ぜひとも私を応援してくださいますかな?」


「「「「がんばれー全裸おじちゃーん」」」」


 子供達四人の声援を受けた至高帝が衣類を脱ぎ去り湖に飛び込む。

 全裸の彼を真正面から見たオヒシュキがうげぁっと吐き散らしていたけどアレ、湖にどばどば入っちゃったぞ……

 なんとか無事に影からニンニンを救出した至高帝。そう言えば影からニンニン禿げ散らかしたままだったな。こっから見るとお坊さんみたい。というか陽の光を浴びて眩しい。


「ブルヒヒン(なんなのだ貴様等は! 吾輩に喧嘩を売っているのか! セネカの紹介でなければタイダルウェイブで皆殺しにしているところだぞ男だけだがな!)」


 怒り心頭のオヒシュキ。

 そんな彼が岸辺に戻ってくると、アルセが近づき「おっ」と挨拶。


「ヒヒーン(どうしたねお嬢さん。おや? これはまた変わったお嬢さんだ)」


「お!」


「ヒヒン(ほほぅ! そんなものが欲しいのかね。しかしただでという訳には……)」


 ちょいちょいっとアルセがジェスチャー。オヒシュキが頭を下げると、その頭をアルセがなでなでし始めた。


「ブルル(こ、これは、何だこの感覚は!? 美少女に頭を撫でられる。ただそれだけなのに、この胸の高鳴り、心地よさ、こんな感情は初めてだ。ホッペにチューよりも何倍も、うおおおおおっ猛ってきたぁぁぁぁ!!)」


 凄い気持ちよさそうにしたと思ったら次第鼻息荒くし始めたオヒシュキ。

 まさかアルセに襲いかかったりしないよな?

 アルセが撫でるのを止めると、興奮したオヒシュキはアルセを血走った眼で見つめ、そして……湖からあがり、水を滴らせながら尻をキュッと締めてアルセの背後を歩く全裸紳士を見てしまい一瞬で萎えた。


「ぶひん(よかろう、少し待つがいい幼子よ)」


 オヒシュキが再び湖の中へと入って行く。

 何をするつもりだろうか? と思っていると、湖の中から何かを咥えて現れた。

 口に咥えていたモノをアルセに渡すオヒシュキ。

 多分水草か何かだと思うんだけど……あ、食べるんだ。


 迷わず食べるアルセ。頭の上の花というか木というかに水の膜が張り付いた。

 どんどん変化していくねその頭。アルセはホントに何処に向かって成長してるの?

 そしてお礼にここでもヒヒイロアイヴィを置き土産にするアルセだった。

 ところでアルセ、なんで蔦で馬の形を作ったの?

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