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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その盗賊達がどうなったかを彼らは知らない
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そのアフロを刈り取れないことを彼は知らない

「ぐおおおおおっ!」


 まさにマトリックス。

 アフロカッターがアフロに当る寸前、顔を逸らすことでアフロすれすれをアフロカッターが通過する。

 体勢を崩したジョナサンだが、両手をわたわたさせてバランスを取り直す。


「ジョナサン後ろッ!」


 ふぅっと息を吐いたジョナサンにアニアが叫ぶ。

 はっと気付いたジョナサン。でも遅い。

 既に背後でUターンしたアフロカッターが彼の後頭部からアフロを刈らんと襲いかかっていた。

 仕方ないので彼を蹴り倒してやる。


「ぐおっ!?」


 ぎりぎりでアフロカッターを回避したジョナサン。ブレイクダンスを披露しながら華麗に体勢を整える。


「クソッ、なんて攻撃だ!」


 ジョキンジョキン。アフロ狩りガニはハサミを開閉して威嚇する。

 貴様のアフロを刈るなど容易いのだ。そう告げているようだった。

 実際、僕が手伝わなかったら今の一撃でアフロ刈られててもおかしくなかったぞ?


 しかも、まだまだ余裕のアフロ狩りガニ。

 かぱり、ハサミを開いてジョナサンに向ける。

 次の瞬間、光の奔流が迸った。

 火炎放射だけじゃないのか!? あ、そうか。これがアフロバスター!


 ジョナサンはこの光の一撃を華麗なステップで回避。腰振りダンスしながらこの程度は余裕で避けれると挑発を行う。

 それを見たアフロ狩りガニは泡を噴き出し自身を隠す。

 チャンスとばかりに突撃したジョナサンが蹴りを放つ。

 しかし、泡を削り取っただけで、アフロ狩りガニはそこから消えていた。


「消えた!?」


 泡が消え去り、後に残るのは泥に塗れたアフロが一つ。


「潜ったか!? しかし頭隠してアフロ隠さず。貰った!」


 ジョナサン会心の一撃が泥の下に居るアフロ狩りガニに襲いかかる。

 しかし……その背後に、アフロ狩りガニがゆらりと現れた。

 あのアフロ、囮だ!?


 アフロ狩りガニのスキル影からアフロが発動。視覚外からの一撃でクリティカルヒットの一撃だ。

 当然、ジョナサンは自分のアフロが既に刈り取られる寸前だと気付いていなかった。

 これはマズい。思っても僕もリエラも彼を助けられる間合いじゃない。


輝く私フラッシュ・エインセル!」


 咄嗟にアニアが魔法発動。

 光り輝いたアニアの眩しさに思わずのけぞったジョナサンのアフロがアフロ狩りガニにクリティカルヒット。

 押し倒されたアフロ狩りガニが泥沼に沈み、その当った感覚でジョナサンも気付いた。


「後ろに居たのか!?」


 再び泥に沈み込むアフロ狩りガニ。その場にアフロが一つ、残される。

 この湿地帯はアフロ狩りガニの独壇場だ。ここでの闘いは彼以上のベテランはいない。

 さらにジョナサンはアフロ。対アフロを持つアフロ狩りガニの強さは通常とは比べ物にならない実力になっている。

 勝算は、限りなく低いと言わざるを得ない。

 最悪、ジョナサンからアフロが消えることは覚悟しなければならないかもしれない。


「くっ。アフロを刈るにっくき存在。なんという恐ろしき敵か」


「来るわよジョナサン! 気を付けて」


 アニアの声に気合いを入れるジョナサン。その真下から、アフロ狩りガニが奇襲を掛けた。


「何っ!? 下から!?」


 完全に無防備なジョナサンを掬いあげるようにカチ上げ、吹き飛ばす。

 ざばりと沼から現れたアフロ狩りガニ。

 倒れたジョナサンの前に仁王立ちしてスキル、アフロ狩りEXを発動。


「う、うわあああああああああああああああああっ!?」


 思わず叫ぶジョナサン。自身のアフロが消えるのを何も出来ず見守るしか……ぐちゃり。

 突如、ジョナサンの前に飛び出したそいつがハサミに貫かれた。

 飛び散る茶色。僕らの目の前で、ついにレーニャが重い腰を上げた。


 彼もアルセ姫護衛騎士団の一人なのだ。普段は寝てばっかりだが、やる時にはやる存在。

 全身カレーのカレー猫が仲間の危機に立ち上がった。

 彼は自身のカレーを使ってアフロを作りだす。アフロカレー猫に変化したレーニャ。それを見て珍しいアフロだとアフロ狩りガニがカレーアフロを刈り取る。

 しかし、そのアフロはカレーでできていた。

 ぐちゃりとハサミがカレー塗れになるだけで、アフロを刈り取ることが出来ない。


「レーニャー」


 焦ったようにレーニャのアフロを刈り取ろうとするアフロ狩りガニ。自分に刈れないアフロがあるなどと信じたくないようだが、目の前のアフロはアフロであってアフロではない。

 流動体であるカレーをハサミで刈り取るなど不可能なのだ。それを彼は気付きすらしていない。

 レーニャに夢中になったことでアフロ狩りガニに隙が生まれた。


「行きますっ!」


 リエラが背後から近付き二閃。一太刀で右のハサミを切り裂き、返す一撃で左のハサミを奪い去る。

 驚くアフロ狩りガニ。

 その目の前で、ジョナサンが怒りと共に立ち上がる。

 ボキリ、バキリ。両拳を鳴らして首をコキリとならし、手をぷらぷらとしながら構えを取る。


「残りの寿命を数えろ。なぁに……すぐに終わる」


 全国のアフロたちの怒りを一身に背負い、ジョナサン怒りの10倍舞踏拳が炸裂した。

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