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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その盗賊達がどうなったかを彼らは知らない
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その危険な依頼受けるつもりはなかったことを彼女は知らない

「はい、ここが冒険者ギルドになります」


 無数のゴンドラが停泊している桟橋の一つにゴンドラを止め、セネカが最初にゴンドラを降りる。

 揺れるゴンドラから降りる客の手を取り一人一人安全に陸へと上げる水先案内人。

 流石に慣れているだけあって多少足を踏み外しそうになってもしっかりフォローしてくれる。

 テッテがゴンドラと桟橋の間に足を挟みそうになって焦ったけどセネカが上手く助けてくれた。


 しかもジョナサン相手でも気にせず手を差し伸べエスコートする姿に僕は感動すら覚えたよ。

 ついでに僕もエスコートして貰いました。アニアの次に手を握って桟橋に上げて貰い、あれ? 今一人多かったような? といった顔で首を捻ったセネカを放置してアルセが桟橋に上がるフォローを行う。


 セネカと僕に両手を捕まえられて宙を浮くように桟橋に上がったアルセがお礼をいうように笑顔でおーっと告げる。

 セネカはそれに微笑みと軽いお辞儀で答え、全員が桟橋に上がった段階で僕らを案内するため先頭にやってきた。

 どうやら最後まで案内してくれるようで、ついて行けば問題ないようだ。


 ギルド内はかなり広い。多分マイネフランよりも二倍くらいの広さがあるだろう。

 その分人も多いけど、店内が広いためむしろ空きスペースが目立つ。

 入口を入ると対面するのは依頼表が貼られたコルクボード。

 五つ直列で並んだそこには所狭しと依頼書が張られ、中央のボードには全ての依頼を簡易で纏めた依頼表がずらっと並んでいる。


「凄い……」


「なんか空港のロビーみたいね。あのコルクボードにXYZとか書いた紙張っとけばいいのかしら?」


「なんですそれ?」


「何でもないわ」


 アカネが異世界人しか分からないネタを呟く。でもアレ、連絡用のボードはボードだけどコルクじゃないし、街の掃除屋さんはこの世界に居ないと思いますよ? 空港でもないし。


「右が初心者用の依頼、その横が中級者用ですね。中央は依頼表とギルドの緊急依頼が張られます。その横は上級者用、かなり危険な依頼が多いですね。最後に左端は塩漬け依頼。今あるのはだいぶ前からやり手の居ないモノが……あら? 新しいの出てますね」


 塩漬け依頼に緊急性の高い依頼が入ってます。

 街の皆を守ってください。という依頼、依頼人は冒険者ギルド。

 なんでもこの街の近くで恐ろしい魔物が出現し、街の人が被害に遭ったのだとか。詳細は受付嬢に聞いてほしいとのこと。


 んー、よっぽどの危険生物だったとしても僕らなら問題ない気がしないでもないな。王女様居るし、この国に恩を売るためにもこれ、受けてみたらどうリエラ?

 僕がそんな事を考えている間にボードの横を抜けて奥にある受付カウンターに向かう。

 

「中央にあるのが総合受付ですね。ここで一度受付を行って他のカウンターに向かっていただきます」


「このへんは病院みたいねー」


「アカネさん、病院ってなんです?」


 そういえばこの世界病院見掛けないな。これだけ異世界人が入り込んでるのに教会とかはあっても病院見たことないぞ?


「えー、あー、それよりリエラ、さっさと受付済ませましょ」


「あ、そうですね」


 アカネ、答えを濁すの図。


「いらっしゃいませ。本日はどういった御用ですか?」


 番号札を渡されるだけなので殆ど待つことなく僕らの番になった。


「えっと、アルセ姫護衛騎士団と言います」


「はい、ギルドカードをお預かりしますね」


「少し前にロリコーン紳士種による子供の拉致事件を解決したので、保護した子供達を各地に戻しているところです、ぺズン近くの子供達を連れて来ましたのでここから自宅へ向かわせるのをギルドにお任せしようと思いまして」


「ああ、話は伺っています。残るはぺズンとメリケンサック公国だとか? わざわざありがとうございます皆様」


「いえ、当然のことをしたまでなので」


 謙遜するリエラににこやかにほほ笑む受付嬢が木札を渡す。


「こちらをどうぞ、しばらくしましたら番号をお呼びしますのでそちらの椅子に腰かけお待ちください」


 と言われましたが、椅子は数人分しか開いておらず僕等全員が座る分は空いてません。これも病院の待合場所みたいだ。


「あの、それとですね」


「あ、はい。まだ何か?」


「いえ、なんか塩漬け依頼の緊急で倒してほしい魔物というのを見かけたので、どういう魔物かなぁーっと」


「まぁ! アフロ狩りガニを倒していただけるのですか!?」


 ぽわっと光が灯るように笑顔になる受付嬢。なんかもうすでに受けるフラグ立っちゃった気がします。

 どんな魔物か聞こうと思っただけのリエラもしくった。みたいな顔をしてるが遅かった。


「わかりました! 討伐依頼受理ありがとうございます! ギルド長から説明がありますので少々お待ち下さい!!」


 いや待って、私たちまだ受けるとは言ってない。

 そんなリエラを無視して、受付嬢はスキップしながらギルド長室向けて去って行った。

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