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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その盗賊達がどうなったかを彼らは知らない
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その綺麗な国がどんな場所かを僕らは知らない

「ぺズンとうちゃーく」


 エアークラフトピーサンに乗って僕らはぺズンへと到着した。

 空から見える王国は、水の王国と呼んでも大差ない。

 ブルーエメラルドに煌めく湖に囲まれた王国で、国内も水色が基調らしいので凄く綺麗だ。

 噴水が所々に設置されており、僕らは思わず期待に胸を膨らませてしまうくらい魅入っていた。


「これがぺズン……我が国に対を成す国か」


 本当について来ちゃったギリアムが思わず呟く。

 ナーロイアでも別れの際にアルセが蔦をプレゼント、兵士達に鎧を作るように告げ、ここではアルセ神スピアをお願いしてました。


 別れ際に良い年のおっさんと青年がとうちゃーん、ギリアームとか言いながらぐあしっと抱き合ってたのはうわぁっと思ったけどさ。しかもギリアム顔が綺麗になったせいでどことない犯罪臭が漂ってました。

 マクレイナとアニアがなぜか興奮してたのは見なかったことにしてます。


 エアークラフトピーサン内で他のメンバーに適当に紹介。

 アニアやらテッテ、メイリャまでにこやかなギリアムスマイルにぽけーっとしていたのが恐い。

 この野郎、スケコマシになりかねないぞ。アルセ達に手を出すんじゃないぞー。バグるからな、本気でバグるからなっ!


 国の入り口近くにエアークラフトピーサンを降ろし、リエラが交渉に向かう。アカネさんが梃子でも動かない様子だったので見かねたアンサーとギリアムが交渉補助の為に一緒に降りた。

 ちくしょう、なんかリエラとギリアムが良い雰囲気な気がする。

 なんか、なんかさぁ、ガッデム!


 こうなったらもう、この人を復活させてギリアムを牽制してもらうしかないな。出るぞ魔人アカネ!

 引きこもってカレーかっくらっていたアカネさんを無理矢理立たせて外へと連れ出す。抵抗された際に胸を揉んだのは不可抗力です。肘で殴らないでっ。


「やめてよエロバグっ。私はもう無理なのよ」


 いやいやいや、どんだけやさぐれてんの!? というか絶望したような顔しない。


「枢機卿とか名乗ってアルセに神罰食らったのよ、もう私は……」


 そんなアカネの頭にチョップ。大したダメージにはしてないけど、衝撃で思わず頭を押さえるアカネ。


「いたっ!?」


 僕の言葉はどれだけ尽くしても彼女には届かない。それが今は歯がゆい。

 だから、問題ないよとアルセを連れて来る。


「あ……な、なんでアルセを……」


「おー?」


 アルセを持ち上げた僕はアカネの頭上にアルセの手を乗せる。

 それでアルセも気付いてくれたのだろうか?

 笑顔でアカネの頭を撫で始めるアルセ。


「な、何してんのよ。なによ……私に神罰下したんじゃ……」


「窘めただけですよきっと」


「……クルルカ?」


「だってアカネさんはアルセにとって仲間でしょ。アカネさんがちょっとやり過ぎてたからそれ以上はダメって止めてくれたんだと思います。だから、神罰って程じゃないと思いますよ」


「そ、そう……なの?」


 実は結構怯えてたのかアカネ。普段ツンケンしてて腹黒なのに、いや、だからこそ頼りにしていた権力に切り捨てられたと思って塞ぎ込んでたのかな。

 アカネははふぅと息を吐き、両手で思い切り頬を叩く。


「ああもう、私らしくないわねっ」


「あはは。アカネさんらしいって腹黒じゃ……っとなんでもないです」


「クルルカ、今のは聞かなかったことにしておくわ。ただ、後で私の事どう思っているのかオハナシしましょうか?」


「それ、聞かなかったことになってませんよね!?」


「ふふ。じゃあ、今回は皆で出ましょうか? 個人デートとかはせずに」


「そうですね、たまにはいいかもしれません。明日は個別行動でいかがでしょう」


「やっぱりデートするつもりか」


「あたりまえじゃないですか、セキトリ様とぺズンのデートスポット網羅するつもり満々です!」


「あ、それいいわね。バルス、私達も明日はデートしましょ」


「へ? あ、うん。ア……ユイアとデートだね」


 今、アホ毛って言おうとした? 言おうとしたよね!?


「んじゃ、全員出陣っ!」


 というわけで、今回は アルセ、のじゃ姫、ワンバーちゃん、リエラ、ルクル、アカネ、アニア、ローア、マクレイナ、コータ、テッテ、バルス、ユイア、アンサー、落ちこぼれニンニン、ルグス、にゃんだー探険隊、サタデーオールナイッ、メイリャ、セキトリ、クルルカ、至高帝、ハイネス、レーニャ、ギリアム、子供八人が全員出陣です。


 で、早速街に入った瞬間探検に出掛けるにゃんだー探険隊。ルグスがやれやれと言いながらも彼らに付き添って行ってしまった。

 即座に全員じゃ無くなってしまった。

 それでも僕らは気にせずギルドへと向かうことにした。

 エアークラフトピーサンは他のカモメたちと共に門番たちの目の前でゆっくりしてます。

 彼らに攻撃しようとした冒険者とかには門番たちが止めに入ってくれるようだ。ありがたいことです。

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