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Boo Bee MAGIC/鈴木紗理奈

続・イタリア紀行(Boo Bee MAGIC/鈴木紗理奈)

 時計、重金属がドウドウドドドウっと宮沢賢治のような形容詞を伴ってがちゃがちゃと段ボールに引き込まれていく。金の切れ目が縁の切れ目、私が切れても知らないからね、と鈴木紗理奈はかつて歌ったわけだが今回はブービーマジック、金がなければ首も回らない。回る回る。会議は踊る、されど進まず。世界は回る。今日も地球はミスター・ローレンスと君を乗せて回る。我らが住むハビタブルゾーンができる以前の遥い過去、138億年の大いなる昔に起きたビッグバンから、太陽クラスのらき☆すたな恒星が生まれ、悠久の有給な時を経るのだったらどれほど幸せなことか、と影のパックの声に幾千度も耳を澄まし、何度も何度も水素、ヘリウム、水素、ヘリウムの核融合を繰り返し、巨大な恒星たちが何度も何度も超新星爆発を起こし、少しずつ少しずつ、水兵リーベぼくの舟、なあぁんと間があるシップスクラークか、カッカスコッチバクロマン、テコでドアがゲアセブルク!と周期表をメンデレーエフの掛け声とともに駆け上り、電子を取り込み、電子殻を徐々に拡張させ、中世から近代の錬金術師たちが血海鼠になって錬成したがってやまなかったレアガチャ金卵+が産まれた。岩石の歴史を讃えてやまない金はエレクトロン金貨に、またある時には中尊寺金色堂に、ギベルティやドナッテロが金細工職人として受注を争った。そしてまたある時にはクリムトのクリムとらしさとして欠かすことのできぬ要素として組み込まれている。金の歴史は血塗られた業のエゴの歴史である。春秋に義戦なく、トランスヴァール・オレンジ共和国にもシリアにも義戦無し。みんな金が欲しいのだ、さうして金のほかにはなにも欲しくはないのだ、と漱石は語ったが漱石自身もまた金の虜であり、かくいう私自身も金のトリコロールである。差し押さえられた時計、重金属の貴金属はメッキも含めて競売にかけられて補填の費用に回される。金は溶かされまた金は巡る、巡る巡る季節の中で。

 それから個人情報の特定できるもの、液体、ゴミと段ボールにそれと分かる印を付けてベルトコンベアのように黙々と淡々と朴訥にドアへ送る。写真アルバムなんかを段ボールに入れる時には業者や先輩もの目を盗んで一瞬チラ見して、箱に詰める。家族でディズニーランドに行ったのを見た日には盛者必衰の理をあらわすで~す(イクラちゃん風、cv:桂玲子(1940年生まれ))!で時計、醤油、塩、胡椒、ありとあらゆるものを撤去する。文字面通り、部屋を空にする。正真正銘一切合切部屋を禅寺の空気で満たす。これでルンバも困らない。東風吹かば、湿った埃まみれのにほひおこせよ、梅の花。主なしとてDa Sein忘れなそ。

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