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星屑の鍛冶師  作者: タクミンP
第1章 プロローグ
5/45

5・始まり始まり

 それから少しの日々が過ぎ、いよいよ三人が村を離れる時が来た。

 娯楽の少ない小さな村にとって、その門出をお祝いしない理由はない。

 昨夜は子供たちの出立を祝した宴会が行われ、飲んで食べてと村の総出でどんちゃん騒ぎを楽しんだ。

 一夜明けた今、村の住人たちは惰眠を貪るか家の中で吐き気と戦っている事だろう。

 そんな悲喜こもごもな村の中で、便乗させてもらう行商の馬車を待たせながら弟子たちとそれぞれの師が別れの挨拶を行っていた。


「はいこれ、頼まれてた武具だよ」

「ありがとう、大事にするよ」


 まずはシロエから、ディーエンに両手で抱えるほどの麻袋が渡される。


「手入れや調整の方法も、後で教えるから」

「うん」

「おいシロエ、オレのは?」

「もう、ちゃんと別の袋に入れてあるよ」

「おぉ、マジで間に合ったのかよ? 流石シロエだぜ」

「……もぅ」


 ガモフから合格を言い渡される以前から、シロエはすでに様々な武具の作成を行っていた。あの時の試験は、ガモフがシロエの腕を再確認する為の意味合いが強い。

 数年前から、レオンとディーエンの武具は基本的に全てシロエの作である。今回渡している品も、シロエが二人から受けた様々な要望の全てを出来うる限り自分なりに再現した作品だった。


「学園に行ったら、ボクなんかよりずっと才能のある鍛冶師の生徒が居て、きっとその人の武具を使うようになるだろうから……最初だけ、入学の時だけは、ボクの武具を持ってて欲しかったんだ」


 自信なさげに俯き、視線を逸らして寂しそうに語るシロエ。自分が学園でおちこぼれになる事を確信しきったような、深く沈んだ声音だった。


「……シロエや」


 どうにも自分の才覚を自覚しない愛弟子に、ガモフは困ったような、呆れるような、そんな複雑な表情をしてその両肩に手を添える。


「世界は広い。時代や文化、伝統、そこより生まれた新たなる風達を、学び舎で知るがえぇ。それらはきっと、お主の糧になるからの」

「……はい」


 言い聞かせるように両の瞳を見据えて告げられる言葉に、シロエは時間を掛けてゆっくりと頷く。


「レオ。お前に与えた力の使い道を、見誤るなよ」

「解ってるって!」

「ディー君も~、みんなと一緒にがんばってね~」

「行ってきます、ルシエラ先生」


 他の二人の弟子たちも、各々の師から見送りの言葉を受け旅支度を片手に馬車の荷台へと乗り込んでいく。

 子供たち三人が乗り込んだ事を確認した行商は、先頭に立つ二頭の馬に指示を出し出発を開始する。


「行ってきます! お爺ちゃん!」

「土産話たくさん作って来るから、楽しみにしといてくれよな!」


 全身を使って両手で手を振るシロエの隣で、レオンが拳を突き上げる。

 ディーエンは何も言わず、ただ深く頭を下げて今まで育ててくれた大人たちへの感謝を示す。


「達者でな!」

「いってらっしゃ~い!」


 徐々に遠くなっていく三人へガモフとルシエラが手を振り返す中、ファウストは腕を組んだまま静かに彼らの旅路を見送った。

 やがて、その姿が見えなくなるまで手を振り続けたガモフが、少し寂しげに呟きを漏らす。


「……行ったか」

「行ったわね~」


 それに答えるのは、子供たちが消えていった道の先を眺め続けるルシエラだ。

 変わらぬ笑顔のはずなのに、その表情はどこか憂いを帯びている。


「神父さんは~、心配~?」


 腕を組んだまま無言のファウストに、ルシエラがその横顔を見ながら悪戯っぽく質問した。


「……さぁな」


 長年連れ添った経験により、ルシエラは彼の答えの中に僅かな感情の揺らめきを読み取った。

 無言実行の関白な男だが、だからこそほんの僅かに心揺れるその姿があの子たちをどれだけ想っているかを現していた。


「うふふ~」


 ルシエラは笑みを深めてファウストの右腕に自分の腕を絡めると、次いでその肩口へと自分の身を抱き寄せた。


「おい」

「――幸せよ。私は今、ちゃあんと幸せ」


 ファウストの声に被せ、唐突に、彼女が口調を変えてそんな事を口にする。

 その言葉は、例えもしこの場で彼女の事情を知らない者が聞いていたとしても、その重さが理解出来るほどの感情を伴って発せられていた。


 こんな幸福があるなんて、知らなかった。

 こんな幸福がゆるされるなんて、思わなかった。

 こんな幸福が、二人で一緒に迎えられるだなんて――想像すら出来なかった――


「……そうか」


 万感を滲ませたルシエラの言葉に、ファウストは少し時間を置いた後ただ短くそう答えた。

 二人だけに重なる、二人だけの想いが通じ合っていた。


「おい、久々に三人だけで飲まんか? 割と上等な酒を買っておいたでな」


 しばらく二人の睦言を黙って眺めていたガモフが、不意に片手を上げてそんな提案をする。

 彼自身も、子供たちの巣立ちに思う所が多い様子だ。


「あらあら~。こんなお昼からお酒だなんて~、いけないわ~」


 すると、途端に普段の調子に戻ったルシエラがニコニコと笑いながらのんびりとたしなめ、ファウストと腕を組んだまま村へ向かって歩き出す。


「ふんっ。そんな事を言いつつ、足はしっかりワシの工房に向いとるぞ?」

「あ~れ~」

「……やれやれ」


 寸劇をする彼女に呆れながら、ファウストはルシエラの腕を振りほどく事なく共に歩む。

 弟子を見送り終えた三人は、僅かな感傷に浸りながら日常へと戻っていった。







「うお~! でっけ~!」

「もぉレオ~、あんまり乗り出すと危ないよ~」


 馬車の窓から上半身を丸々乗り出し、遠目からでも解る街の中央にそびえ立った巨大な塔を見ながら感動するレオンと、それを必死に中へと引き戻そうとするシロエ。

 他の乗客からはそんな二人に向けて、微笑ましいものを見るような視線が送られていた。

 行商の馬車で二、三の町を進み、そこから更に相乗り馬車を乗り継いだ一行は、王国都市の一つギラソールの間近まで近付いていた。

 時にして五日を要する長旅の道中に大した揉め事はなく、あったとしてもレオンとディーエンだけで解決出来る瑣末な出来事のみだった。

 比較的治安の良い地域な上に平野が多いので、野盗の類も拠点を作り辛く数が少ないのだ。

 入学前の最後の乗車になる相乗り馬車の中で、ディーエンは騒がしい二人に我関せずを貫き物静かに本を読み耽っている。


「坊主たち、ギラソールにある学園の入学生だろ?」

「そうですが……」


 そんなディーエンに向けて、一緒に乗り込んでいた壮年の男性が声を掛けて来た。

 確信を持ったその問いに答えつつ、視線で何故解ったのかと言外に問い返すディーエン。

 男は気を悪くした様子もなく、シニカルに笑いながら事情を説明する。


「地方から学園に来る連中は、だいたい同じ反応だからな。田舎者は馬鹿にされ易いから、気ぃ付けろよ」

「なるほど」

「ま、生活が変わって色々大変だろうが、頑張ってりゃその内芽が出るだろうさ」

「ありがとうございます」


 男の親切な助言に頭を下げるディーエンの横では、親友の二人が相変わらずぎゃーぎゃーと無駄に元気な声で騒ぎ続けている。


「おいディー、お前も見てみろって! ちょーでっけぇぜ!? ありゃなんなんだろうな!?」

「レオ~、他のお客さんに迷惑だよ~」

「よし! じゃあ、まずはシロエからな! よっ、ほれ! な? すっげぇだろ!?」

「あわわわわわわわわ!? お、おち、落ちちゃうよ~! 下~ろ~し~て~!」

「……」


 完全におのぼりさん状態ではしゃぎ回るレオンと、そんな彼に振り回され絶叫を上げるシロエ。

 止まらない二人の馬鹿さ加減に頭痛を感じたのか、片手で額を押さえるディーエンに向けて先ほどの男は同情気味な視線を向けながら少年の肩を優しく叩いた。


「見た所同郷なんだろ? ま、しっかり手綱を握ってやんな」

「……はい」


 猪突猛進で好奇心旺盛なレオンと、天然で無自覚でシロエ。

 ディーエンは幼い頃からの付き合いで、この二人の手綱がそう簡単に操れるものではないという事を、いやと言うほど理解している。


「……はぁっ」


 学園に入学する前から、騒がしい二人の幼馴染はこれからの学園生活が平穏無事で終わる可能性を諦めた。






 巨大な七つの建造物を背景に、まるで一つの生き物のように群集がうごめく。

 大通りを抜けた三人は、馬車から見えた結界塔を通り過ぎ入って来た門とは丁度真反対に位置する場所にある王国最大規模の学園、イサラ・アルコリス学園に辿り着いていた。

 シロエたちと同じ大勢の今期入学者たちが、学園の門を潜る為に集まっているのだ。


「入学書類を確認していまーす! 入学者の方はこちらに並んでくださーい! 書類確認を終えた方は、中央の大議堂に向かってくださーい!」

「押さないでー! 慌てずに列を守って下さーい! 授業の開始は三日後からになりまーす! 入学式に参加しなくても、成績に影響はありませーん!」

「授業内容については、明後日に説明会を行いまーす! 文字の読めない方もご安心下さーい!」


 期待や不安の入り混じった様々な話し声の遥か遠くから、学園関係者だろう何人かが精一杯の大声でこの大人数を整理しているのが解る。


「うっげぇ、なんだよこの人数。うぜー」

「今は僕たちも、そんなうざい人垣の一つだよ」


 学園の敷地に入って早々嫌そうに表情を歪めるレオンに苦笑しながら、ディーエンはシロエと逸れないように彼の手を引いて五つある入学者の列の一つへと並ぶ。


「はい、入学おめでとうございます。書類を確認しますので、こちらにお出し下さい」


 自身の緑髪で目元を隠した受付の若い人間の女性は、長蛇の列に相応しい長い時間を待たされたディーエンにそう言って書類の提出を促した。


「お願いします」

「――正式な書類ですね。受理させて頂きます。文字が読めるようでしたら、学園の内容を説明した紙をお渡ししていますが、どうなさいますか?」

「それじゃあ、貰っておきます」

「はい、どうぞ。書かれている内容が把握出来るのであれば、説明会への参加は必要ありません。しばらくすれば入学式が始まりますので、中央の大議堂でお待ち下さい。では、ようこそイサラ・アルコリス学園へ」

「ありがとうございます」


 僅かに早口の入学手続きを済ませた後、ディーエンは自分より前に並んで手続きを先に済ませたシロエとレオンに合流する。


「うぅ、緊張したよぅ」

「おいおい、たったあれだけでかよ。これから先大丈夫か?」

「だから、ボクには無理だって言ったのに~」

「しばらく生活していれば慣れていくよ。ほら、他の人の邪魔になるから、大議堂に行こう」


 弱気になるシロエを慰めながら、受付嬢に教えられた大議堂へと移動する三人。

 何百人もの人数を収容出来るだろう巨大な建物の中には、すでに百人を越す生徒たちが大量に配備された椅子に座っていた。

 良く見れば少量の前方とその他の後方の二つに区分されており、造りの豪華な舞台間近の椅子は所謂貴族たちが座る為に用意されているらしい。

 軽く距離を開けられた前と後ろとでは、着ている服の質や生徒たちの出で立ちがまるで違っている。


「入学おめでとう。三人とも友達? だったらこっちに座ってね」

「はい。ありがとうございます」


 職員の指示に従い、レオン、シロエ、ディーエンの順番で近くの椅子へと腰掛ける。

 


「よいしょ」

「また待たされんのかよ。ったく、入学するだけで一苦労だな」

「入学式自体は、別に参加しなくても良いみたいだよ。移動の関係で遅れて来る人も居るだろうからね。なんだったら、レオは先に寮に行ってても良いよ?」

「あー……いいや。もう来ちまったし」


 僅かに逡巡するレオン。

 そんな彼の僅かな変化を、機微に敏いディーエンが見つめる。


「……もしかして、レオも不安なの?」

「馬鹿言うなよディー。何でオレが」

「別に、隠す必要もないと思うけどね」

「隠してねぇっての。なんだよその目は、違うって言ってんだろ。くの、くのっ」

「あうあう~。見てたのはディーでしょ~」

「手が届かねぇから、代用だ」

「横暴だよ~」


 大議堂の中央辺りに腰を下ろした三人は、しばらく他愛もない話に花を咲かせる。

 そうして再び待たされた後にようやく始まった入学式は、退屈そのものだった。


「えー、玉石混交。この学園に入学する者たちが、全て輝かしい玉となって卒業出来る訳ではない。あー、しかしじゃ、逆に例え今は石にすら届かない塵芥だとしてもじゃな――」


 学園長代理補佐という謎の役職の老人が切々と入学の訓示を述べる中、気の短い生徒は船を漕いだりすでに夢の世界へと旅立ちを果たして始めたりしている。


「すぴー、すぴー」

「ちょっとレオ、ちゃんとお話し聞かないと駄目だよ」

「放っておきなよ。別に重要な話をしてる訳でもないし」


 そんなご多分に漏れず、鼻提灯でも出しそうな勢いで爆睡するレオンを横からシロエが起こそうとするが、ディーエンが呆れ顔でそれを止める。三人とも、話の内容は右から左だ。

 その後、今期の最優秀生徒からの祝辞、入学生代表からの答辞、学園生活での諸注意などが語られ、入学式は問題なく幕を閉じる。

 一同に解散が宣言され、生徒たちの大移動が再び開始される。


「ふぁ~あ。ルシエラ先生の説教よりは、寝心地良かったな」

「もぅ」


 大議堂を出たレオンの開口一番に、眉を潜めてたしなめるシロエ。

 ディーエンはそんな二人の前を歩きながら、入学書類の受付で渡された紙を眺めて先導する。


「次は寮だね。右端の建物がそれみたい。左端のは、貴族用の寮だって」

「おいおい、どっちも同じ位の大きさだぜ? 入学式で前の方に座ってた連中、それ以外の奴らの十分の一も居なかったじゃねぇか」


 突っ込みを入れつつ、レオンは敷地の両端にある建物を見比べた。

 大きさはどうあれ、如何にも普通の建物といった自分たちの寮に比べ貴族用の寮は明らかに良質な素材が使われており、更には塗装や装飾に至るまで遠目からはまるで新品同様にしか見えない。


「やっぱり、貴族の見栄とかあるんじゃないかな? 実家がの部屋が広いから、狭い部屋だと我慢出来ないとか」

「うへー、面倒臭せー」


 ディーエンの予想に、そんな虚栄心は心底理解出来ないとレオンがうんざりと吐き捨てた後で舌を出す。


「彼らと会う時は、少し注意しておいた方が良いかもしれないね」

「え? どうして?」

「以前都市に行った時も感じたし、馬車の中でも一度聞いたけど、僕たちみたいな田舎者とは、どうやら問題になり易いみたいだからね」

「?」


 生活費を稼ぐ為、都市部へと出掛けるファウストに同行する事もあったレオンやディーエンとは違い、シロエは村と隣町以上の場所へ外出した事のない。故に、ディーエンからの忠告の意味が解らず小さく首を傾げる事しか出来ない。

 背後に大きな権力を持つ子供は、とにかく厄介だ。そういった者は、甘やかされて育てられている場合も多く、権力によって我侭が通る事を知っているので性質が悪い。


「入学者の皆さんは、張り紙にある部屋番号へ向かって下さーい! 文字の読めない方は、近くの人に聞くか職員に質問して下さいねー!」


 寮に入ると、入り口のホールでは最初と同じように数名の職員が大声で新入生たちを案内をしていた。

 壁の一面に張り出された巨大な紙には、入学者の部屋割りが名前順で列記されている。


「僕たちは三人とも2-10だって。多分、故郷が近いメンバーで固められてるのかもね。二、三階が一年生の部屋で、それより上の階は上級生が使うみたい」

「どうでも良いからさっさと行こうぜ。人ごみに長く居過ぎて、なんかうんざりしてきた」

「だねぇ」


 格式ばった行事が苦手な為か半日も経たずに疲労した様子のレオンに、隣の二人は苦笑しながら自分たちに宛がわれた部屋へと向かう。

 到着した部屋を開けると、中は三人が想像していたよりも広がりのある空間だった。

 四隅に一人用のベッドが一つずつと、同じく人数分の机と椅子。部屋の住人で共有するのだろう大き目のクローゼットと、四つ仕切りの箪笥が一つ。

 それぞれが少し傷付いていたり、痛んだりしているのはご愛嬌だ。恐らく、前にこの部屋を使っていた歴代の生徒たちの名残だろう。


「四人部屋か」

「後一人は、どんな人だろうね」


 シロエたちが手荷物を置いた所で、部屋の扉がノックされた。


「どうぞ」

「お、もう誰か来てるんっすか」


 ディーエンの許可を聞き、三人の居る部屋へと入って来たのは線の細い身体をした人間の少年だった。

 赤茶けた頭髪を隠すように、頭へと巻いた薄緑の刺繍の入ったバンダナ。糸目に近い細い目をしたその顔は、人好きのする表情で笑っている。


「おぉー。オイラを含めて、なんともバラバラなメンバーみたいっすねぇ」


 日々の鍛錬で鍛えられた肉体に、快活な雰囲気を持つレオン。

 背が高く、理知的な印象を与えるディーエン。

 四人の中で最も背が低く、庇護欲を訴える童顔をしたシロエ。

 身長も体格も違う三者を見比べて、少年はにこやかに笑う。


「オレら三人は同郷だけどな」

「なんと、それじゃあオイラだけが余所者っすか」

「気にしないで。最初は僕たちだけが気心が知れてて窮屈させるかもしれないけど、同室同士仲良くしたいよ」


 ばつが悪そうに頭を掻く少年に、フォローを入れるディーエン。

 その後すぐに、シロエが長く付き合う事になるだろうルームメイトに向けて自己紹介を始める。


「ボク、シロエ。入学学科は「スミス」だよ。レオンは「ソード」で、こっちのディーエンは「フォース」。よろしくね」

「レオンンだ。よろしくな」

「ディーエンエンだよ。入学おめでとう」

「オイラは「ビジネス」の学科で、デジー・フォーユニバスっす。デジーと呼んで欲しいっす。家は商家なんで、何か入り物があれば勉強させてもらうっすよ」


 どうやらお互いに仲良くやっていけそうだと安心しながら、握手を組み交わす四人の入学生たち。


「皆さんはどこから来なすったんっす?」

「西にある、ソレルの隣村だよ。名前もないど田舎村だ」

「オイラはソレルの二つ隣の町で、ボステゾンからっす。いやー、結構な距離だったっすよねー。これからの学園生活、お互いに頑張りましょうっす!」

「うん」

「応よ」


 新たな仲間を加え、村を出た三人の入学初日は平穏のまま幕を閉じていく。

 先に待つ未来は何も解らぬまま、学園という新しい場所での生活が始まる。


最後は駆け足気味でしたが、ようやく始まり。

今度は頑張ります。

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