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星屑の鍛冶師  作者: タクミンP
第3章 箱庭の人形劇
27/45

27・刹那の一閃

 画面に映る出来事から、一拍時間を空ける形で、周囲の観客から歓声と悲鳴が巻き起こった。


「え? は? 何、今、切ったの?」


 振動する大議堂の中で、ファムは周りに視線を向けた後で画面を再び眺め、困惑気味に言葉を漏らす。

 彼女がそう判断したのは、皮鎧を斜めに切り裂かれ、そこから大量の血を流すレオの姿が見えるからだ。対するヤカタは、剣の柄に手を掛けたまま微動だにしていない。

 画面に集中していたというのに、結果だけが突如として出現しただけの、過程が抜け落ちた謎の現象に、理解が及ばないのだ。


「シロエ君、これは……?」


 今の出来事を見極められなかったのは、彼女だけではない。ユアンもまた、今の不可解な一幕を理解出来ず、シロエに説明を願った。


「……「鮮血武具ブラッドウェポン」」


 ユアンからの質問に、シロエは画面に顔を向けたまま、搾り出すような声で答えを出す。


「ちょ、嘘でしょ!?」


 シロエの言葉に、ファムは大声を上げてそちらを見た。その反応は、その存在を知る者からすれば、無理からぬ事だった。

 人を狂わせる道具のは、何も「魔王の肉芽」のような悪魔の所業だけでは無い。人の中にもまた、それに等しい業を生み出す者たちが居る。

 心力とは、文字通り心の力だ。鍛冶師が武具に心力を流す時、その感情も同じく作品へと込められていく。込められたそれらの想いは、触れた箇所から他者へと流れ、時として担い手たちの心に微々たる影響を及ぼす。

 そんな、鍛冶師たちの中には、当然心に深い闇を持つ者も存在している。怒り、悲しみ、憎しみ――それらの想いが極限まで込められた武具たち、それが「鮮血武具ブラッドウェポン」だ。

 心弱い者が持てば、その場で武具に支配されてしまうと言われているそれらは、「呪われている」という表現が妥当だろう。

 破滅へと誘う波動は、普段人が付けているという心の抑制を解き放ち、限界以上の力を発現させる反面、その精神を確実に蝕み、使用者の心を暗がりへと傾ける。外から力を与えられるのでは無く、あくまで本人の資質を引き上げるだけの効果だが、それでも脅威である事に変わりは無い。

 たった一振りの「鮮血武具ブラッドウェポン」を持った狂戦士が、戦場で敵味方三千の兵を皆殺しにした挙句、最後に自刃にて果てた逸話は、その筋の者で無くとも耳にする、この国ではかなり有名な昔話だ。

 ヤカタは、何も特別な技や手品を使った訳では無いのだ。ただ剣を抜き、再び鞘へと戻しただけ。

 素人の目には止まらぬほどの剣速。今までの彼とは、一線を隔すその速さは、不吉を纏うその武具よりもたらされていた。

 因みに、武具にはこの手の負の産物はあれど、正の産物は無い。盲信に近い多大な感謝や幸福を噛み締めながら鎚を振るう行為は、結局狂気と何ら変わりが無いからだ。

 聖剣や聖具などと呼ばれる代物でも、人の感情を正しい方向に導く効果は存在しない。


「制作禁止武具じゃない! 反則負けよ!」

「いや、誤解してる方が多いんっすけど、この学園は、「鮮血武具ブラッドウェポン」の制作は禁止していても、所持や使用は禁止していないっす」


 ファムの怒鳴り声が、周りの観客へと小さな波紋となって広がる中で、デジーが横目で彼女を見ながら、小さく首を振った。

 学園では、その危険性故に「鮮血武具ブラッドウェポン」の制作は禁止とされているが、これを作り出す為に必要な負の感情は、並大抵のものではない。よって、その規則は実質意味をなしていないのが現状だった。


「何でよ!」

「貴族様方が、家元自慢で秘蔵の品を持って来るからっすよ。もしそれで、間違って問題が発生したとしても、身内で揉み消せる程度ならお咎め無しで済ませる為らしいっす」

「ふざけるんじゃないわよ!」

「オ、オイラに怒鳴られても困るっす」


 とことん貴族に甘い学園の方針を聞き、噛み付かんばかりの威勢を見せるファムに、デジーは困り顔で両手を上げ、彼女から身を引く。デジー自身は、ファムの質問に答えただけで、その規則を生み出した訳では無い。

 彼女から敵意を向けられても、細目の少年はうろたえる事しか出来なかった。


「衆人環視の大会で、こんなに堂々と使用している以上、彼は「鮮血武具ブラッドウェポン」を使えると見て良いのでしょうね」

「使えるって……使えるものなの!? 武具に身体を乗っ取られるんでしょ!?」

「ですが、現に彼は一度剣を抜いています」


 比較的冷静なユアンが、口元に手を添えて難しい表情をしている。言ったものの、自分でも信じられないといった風貌だ。

 性質や出自からいって、普段から見る機会など無い品なので、二人とも正確な情報を持ち合わせておらず、憶測でしか会話が出来ていなかった。


「イヌイの傭兵……噂に偽り無しっすね。これは、流石のレオン君も負けるかもしれないっす」

「そうならないよう、精一杯応援するのが僕たちの役割でしょう」

「そ、そうよね。レオン君! いけー! 負けるなー!」


 ファムが、レオたちの映る画面に向けて、腕を振りながら声援を送る中で、シロエは無言で同じ画面を――正確には、ヤカタの持つ剣を見つめ続けていた。

 一瞬だけ見えた刃は、見ているだけで呑まれてしまいそうになるほど黒く、そして、どうしようもなく美しかった。

 目に映った、常闇の欠片を前に、様々な想いが巡る。

 あんな武具があるのか。

 あんなものが、武具であって良いのか。

 ――違う。

 あれも武具なのだ。

 あれもまた、自分や師とは違う道の先にある、確かな戦いの道具なのだ。

 護る為に、助ける為に――そんな、今まで自分が作って来た武具たちを、真っ向から否定するかのように存在する、漆黒の鞘に納まった一振りの刃。

 切り、裂き、断ち、貫き、刻み、刎ね――そして殺す。

 ただそれのみを求め、誰も彼も、本人すらも貪り喰う為に産み出された、怨嗟の塊。

 込められた殺意は深奥より深く、天を呪い、人を呪い、いっそ世界よ壊れてしまえと、あらゆる呪詛を封じ込めた、非業の業物。

 あの剣を打った鍛冶師きっと、両の目から止まらぬ血涙を流し、その口から生きとし生ける者たち全てへの憎悪を、喉をからして留める事なく叫び続けてながら、鎚を振るっていたに違いない。

 映像の先にある一本の剣から、胸を鷲掴みにされるような恐怖と哀切を感じとり、シロエは堪らなく震える全身を、両手できつく抱きすくめた。

 感情の暗がりを一点に濃縮したような、その恐ろしくも悲しい剣を見る彼の頬を、一筋の雫が伝う。

 人は、あそこまで誰かを憎めるのか。

 人とは、あれほどまでに心を黒く染められるものなのか。


「レオ……」


 武具を託した最愛の友は、きっとあれに挑むだろう。怯まず、恐れず、自分を信じて。

 それは同時に、己の武具があれに挑む事も意味していた。鍛冶師としての敗北が、友の敗北へと繋がる事実に、今までとは別種の震えが起こる。


「レオ……っ」


 シロエは、ファムのように声援を送る事も、引き止める為の言葉を送る事も出来ずに、ただ両手を胸の前で組み、祈るように彼の名前を呼ぶ。怯え竦む今の彼に、出来る事など何も無い。

 画面の向こう側で、大量の血を失い、顔を青ざめさせたレオが、それでも瞳に強い灯を宿したまま、ゆっくりを構えを取り始めていた。







 ヤカタの振るった一刀は、空気の盾を易々と両断し、レオの皮鎧と共にその身を深く切り裂いた。


「ぐぅっ!」


 足元を、自分の血で赤く染め上げながら、強烈な痛みに脂汗を浮かべ、レオが苦しげな表情でうめく。


「今のは、やばかったな……っ」

「殺さずとも、それなりに深く裂いたつもりでござったが――中々どうして」


 構えを解きつつ、手は剣に添えたままで、ヤカタが感心した様子でレオを眺めた。

 彼の言葉は、誇張でも見栄でもなく、唯の事実だ。「ダハーカ」の作り出した不可視の盾が稼いだ一瞬の時間で、レオが咄嗟に足を止めていなければ、その時点で決着は付いていただろう。


「見えざる盾――か。成程、お主が第一試合で炎を退けたからくりは、その手甲でござったか」


 レオの両手に着けた「ダハーカ」を見やり、その効果を身を持って知ったヤカタが、感心しながら頷く。


「ぬぅぐっ!」


 このまま、血を流し続けるのはまずいと判断し、レオは心力を全身に回して筋肉を締め上げ、無理やり傷口を塞ぎ止める。

 失った血を取り戻す事は出来ないが、出血多量で退場する事態だけは、これで何とか避けられた。


「はぁっ、はぁっ……二刀流って雰囲気じゃねぇとは思ってたが、やっぱりそっちが本命かよ。まさか、「鮮血武具ブラッドウェポン」だとはな」

「左様、見事な慧眼でござるな。この「菊ノ丸(きくのまる)」は、拙者らの故郷では「呪品のろいじな」と呼ばれている、正真正銘の妖刀にござる」


 荒く呼吸するレオに、場違いなほど朗らかに笑いながら、自分の剣を軽く叩いて見せるヤカタ。見た目からは、彼が武具に心を蝕まれているようには見受けられない。

 その刃から送られてくる心への浸食を、鋼の精神で退けているのだ。


「一瞬だけだが、師匠並みの剣速だったぜ。マジでびびった」

「それはそれは。お主の師も、拙者の師と同じくかなりの人外でござるなぁ」


 レオの軽口に、ヤカタは思わず苦笑いをしてしまう。「鮮血武具ブラッドウェポン」という、反則染みた恩恵を受けていながら、それでも「並み」止まりでしかない感想は、彼の師にも言える事だったらしい。


「このままじゃ勝てねぇ、か――仕方ねぇ」


 そう言いつつ、大きく息を吐き出したレオは、剣を鞘へと戻し、両腕を動かして防御の姿勢を取った。

 片腕は横に、もう片方を腹の前辺りで水平に構える。それは、左腰に収められたヤカタの剣が、胴から上のどの角度で抜かれても、「ダハーカ」で受け止められる形だった。


「何のつもりでござるか?」

「剣の振りじゃ勝てねぇんだ。後の先取ってぶん殴るに決まってんだろうが」


 いぶかしむヤカタに、レオは構えを維持したまま挑発気味に笑ってみせる。


「一発食らって色々解ったぜ。お前は、ソイツを自由自在に扱えてる訳じゃねぇ」


 ヤカタの剣を見下ろしながら、レオは言葉を続けた。


「いっぺん抜いたら、何処に飛んでくかも解らねぇじゃじゃ馬を、無理やり押さえ込んで鞘に戻してるだけなんだろ? 振れる回数も、この試合中じゃ後二、三回が限界ってとこか」


 相手が、最初から奥の手を使わなかったのは、温存していたからではない。それは、回数制限付きの最終手段だからこそ、温存せざるをえなかったのだ。


「如何にも。それ以上は、拙者が「菊ノ丸(きくのまる)」に飲まれかねんでござるからなぁ」


 レオの考察を、ヤカタはあっさりと認めた。その身を犠牲にしながら、事実を看破してのけた彼に、僅かな嬉しさが入り混じっている。

 「菊ノ丸(きくのまる)」など「鮮血武具ブラッドウェポン」の浸食は、鞘から抜かれた時にこそ本性を表す。皮肉にも、ヤカタの剣が速ければ速いほど、振れる回数は増えるだろう。


「ついでに言っとけば、お前の剣は切れるようには出来てても、かち合うようには出来てねぇ」


 心力を込め、武具を強化するのにも限界がある。ヤカタの持つ剣の細い刀身では、大陸の基本形である肉厚の剣と正面から打ち合い続ければ、数合で簡単に刃こぼれを起こすだろうし、場合によっては折れてしまいかねない。

 それを証明するように、ヤカタはレオの剣や拳を一切受け止めず、捌いて受け流すか、回避するばかりだった。軽さと切れ味を特化させた事による弊害は、確実にその剣の弱点となっているのだ。


「故の構え、という訳でござるか。拙者の「菊ノ丸(きくのまる)」が、お主の手甲を切れんと考えているなら、それは見当違いでござるぞ」


 表情を崩さぬまま、ヤカタはレオの言葉に反論を返した。確かに、金属の板が六枚連なった「ダハーカ」の装甲は厚いが、心力を込めた「菊ノ丸(きくのまる)」の切断力は、それを凌ぐという自信を込めた台詞だった。


「口で言うなよ。ホラに聞こえるぜ?」


 戦況はヤカタに有利だ。彼には、最初に使っていたもう片方の剣で戦ったり、剣線を下げ、足元を切るという選択肢もある。

 それらを踏まえた上で、レオはヤカタを挑発しているのだ。

 切れるものなら、切ってみろ、と。

 ヤカタが剣を振り、レオがそれを防ぐ。たった一つの明確なルールを元に、男同士の意地を賭けた決闘へと、二人の意識は移行していていた。


「シロエの作ったこの武具は、お前のなんかにゃぜってぇ負けねぇ」


 小さな鍛冶師が全霊を持って鍛え、担い手であるレオが、毎日欠かさず手入れを続けている金色の手甲は、曇り空の下にありながら、それ自体に光が宿っているかのような輝きを見せる。


「だったら後は――オレがお前に勝てるかどうかだろうが」


 ヤカタの剣に敗北すれば、腕の切断という大怪我を負う局面を前に、レオはその可能性を欠片も考えていなかった。

 勝てるかどうか、ではない。勝てるのだ。自分さえ負けなければ、確実に。


「……その意気や良し。ならば拙者も、己が全てを賭して挑ませて頂こう」


 ヤカタもまた、レオの自信に押されて覚悟を決めていた。腰を下げ、柄を握るものとは逆の手が、ゆっくりとした動作で「菊ノ丸(きくのまる)」の鞘を掴む。


「すぅー、ふぅー」

「……」


 口での呼吸に切り替えたヤカタとは違い、レオは普段通り鼻で息を吸いながら、相手の動向を見逃さぬよう、瞬きさえも惜しんで黒髪の剣士を見据え続ける。

 練り上げられた心力が、手甲と剣、二つの武具へと注がれていく。硬度を上げ、威力を高め、際限無くその精度を上昇させる武具から、漏れた気迫が陽炎となって立ち昇る。

 周囲から音が消え、耳が痛いほどの沈黙が降りた。

 風の声すら失った岩の足場で、二人の呼吸音だけが、示し合わせた阿吽のように響く。次第にそれも消失し、完全なる静寂となる。

 レオの「ダハーカ」は、現在空気の盾を形成していない。「鮮血武具ブラッドウェポン」という圧倒的な凶器を前に、心力を無駄に消費する余裕など無かった。

 ただ、全力で手甲の硬度を高め、相手の剣を受け止める事だけを考える。「ダハーカ」はそんな彼の想いに答える形で、その心力を吸い上げ敵の一閃を待つ。


「はぁー――」


 最後に、黒髪の剣士が大きく息を吐き出した事で、緊張の糸が限界まで引き伸ばされた。

 全ての世界が、二人だけのものとなったその時、遂にヤカタが動く。

 何時から隠し持っていたのか、鞘を持った指先によって、一枚の硬貨がレオの顔面に向けて弾かれた。


「っ!?」


 予想外の奇襲に、レオの顔が驚愕に染まる。

 卑怯、とレオは感じなかった。勝負において駆け引きは当然であり、それは想定していなかったのは、彼の甘えに他ならない。

 水平に飛ぶ銅の塊が、高速でレオへと迫る。

 避ければ体勢が揺れ、防げば防御が崩れるだろう。どちらもほんの小さな挙動だが、その隙を逃す相手ではない。

 しかし、耐える事もまた難しい。

 右目に当たる軌道なのだ。まともに受ければ、最悪片目が潰される。腕の接合はともかく、眼球の再生は治癒魔法でも不可能だ。

 この、手を叩くよりも短い時間の中で、そこまで整然とした思考が出来るはずも無い。だが、だからこそレオは、本能で己の行動を決定していた。

 顔を引かず、逆に前へと出して打点をずらし、目頭付近で銭を受け止める。牽制とはいえ、心力の十分にこもった重い一撃は、歯を食いしばるレオの頭部を、情け容赦無く盛大に揺らす。


「――づぅっ!」


 顔が僅かに下がり――そこで止まった。視線も、体勢も、崩れてはいない。

 初撃は耐え切った。だが、牽制の次に来るものこそが本命だ。

 しかも、耐えたとはいえ無傷では無い。頭部へのダメージで心力の練りが落ちれば、ヤカタの凶刃は容易くレオの腕を両断するだろう。


「――っ」


 満を持して、乾坤一擲の心力を込めた「菊ノ丸(きくのまる)」が閃く。

 妄執の果てに産み出された怨嗟の集大成が、ヤカタの腕より死と勝利を求めて研ぎ澄まされ、全ての音すら置き去りにして振り抜かれる。

 闇の白刃と金色の篭手が交錯し――やがて周囲に音が戻っても、それでも二人は止まっていた。

 腕を振り切った状態のヤカタと、拳を握り締めたまま、微動だにしないレオ。

 まるで石造のように動かない二人だが、勝敗は既に決定していた。

 ヤカタの手にある刀身は半ばから折れ、衝撃により飛翔した刃の片割れは、岩場の段差を貫通しその姿を奥底へと消失させる。

 半身を失った「菊ノ丸(きくのまる)」は、武具としての死と共にその狂気を一瞬で霧散させ、金の手甲に付けた一傷を最後の誉れとして、空虚なる生涯を終結していた。


「――師匠の教えだ。「戦闘中に、例え何があっても心力の練りだけは乱すな」ってな」


 勝利の宣言と共に、右の目蓋を大きく腫らしながら、限界まで口角を吊り上げるレオ。未だ動かないヤカタへと向かって、大股で一歩を踏み出すと、その右腕を振り上げた。


「つー訳で、オレたちの勝ちだ」


 お互いに、掛け値なしの死力を尽くした勝負は、赤髪の少年に軍配が上がった。勝敗を受け入れたヤカタに、その拳を避ける理由は無かった。


「――お見事」


 勝者への感嘆を送るヤカタの顔面に、手加減など存在しない、遠慮呵責の無い豪腕が突き刺さった。

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